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国のかたち 民主は大事な争点隠すな

2010年06月28日 | コラム
国のかたち 民主は大事な争点隠すな

 参院選の争点として、憲法改正問題をはじめとする「国のかたち」をめぐる各党の主張の違いにも注目したい。

 野党・自民党は政権公約(マニフェスト)の冒頭で「自主憲法制定」をうたい、「自衛軍の保持」などを明記した新憲法草案の概要を示した。さらに、「わが国のかたちを守ります」として、選択的夫婦別姓制の導入と永住外国人への地方参政権付与に反対する姿勢を明確に打ち出した。

 たちあがれ日本、日本創新党、連立与党の国民新党も、ほぼ同じ主張である。

 これに対し、与党・民主党の政権公約は、これらの問題に全く触れていない。枝野幸男幹事長は参院選後に党憲法調査会を復活させる意向を示しつつ、「憲法改正は喫緊の課題ではない」とも述べた。党内に護憲勢力を抱えていることもあり、改憲に消極的な姿勢はほとんど変わっていない。

 その一方で、民主党は「国のかたちを変える」と唱え、大胆な地域主権改革などを実行するとしている。閣議決定された地域主権戦略大綱によれば、明治以来の中央集権体質から脱却し、この国のあり方を大きく転換する改革で、憲法の地方自治の本旨にも沿ったものだとしている。

 主権は、政治のあり方を決める権利という意味で「国民主権」という使われ方もするが、第一義的には、国民の安全確保や領土の保全(防衛)など、国家統治の最高・絶対の権力を意味する言葉である。菅直人内閣は「地域主権」をどんな意味で使っているのか。自民党などの政権公約にある「地方分権」と、どこがどう違うのか。首相は、これらの点を有権者に分かりやすく説明すべきだ。

 菅首相は所信表明演説で、政治学者の松下圭一氏から学んだという「市民自治の思想」や「官僚内閣制(官僚主導)から国会内閣制(政治主導)への転換」を強調した。松下氏は昭和40、50年代の革新自治体に影響を与えた“進歩的文化人”として知られる。

 菅政権は憲法を変えず、一方的解釈により国のかたちを変えようとしているようにも思われる。

 外国人参政権や夫婦別姓制の導入は民主党の基本政策だが、これら左派色の強い主張は、昨夏の衆院選の政権公約でも封印された。有権者は、民主党政権があえて触れようとしないこれらの争点にも注意を払ってほしい。

2010.6.28 主張


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