【時事(爺)放論】岳道茶房

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11/7中日春秋

2010年11月07日 | コラム
11/7中日春秋

 稲刈りの終わった田んぼはどこかさみしい。<物の音ひとりたふるる案山子(かがし)かな>凡兆。旧暦の十月十日(新暦の十一月十五日ごろ)、長野地方などでは田から案山子を引き上げ、庭先にまつる「案山子揚(かかしあげ)」の風習がある。いまも続けている農家はどれぐらいあるだろうか。

 今年の猛暑はキノコの豊作という意外な恩恵をもたらしてくれたが、稲の生育を直撃した。最も品質の高い「一等米」の比率は全国平均で64・4%。二〇〇〇年以降で最低だ。

 稲は昼と夜の寒暖の差がないと、おいしいコメができない。今年の夏は夜も気温が下がらなかったために、米の粒が小さかったり、白く濁ったりする高温障害が起きたという。

 知り合いの宇都宮市の専業農家に聞くと、夏の高温と害虫の大発生で収穫はかなり落ちた。さらに米価の値下がりが追い打ちになった。「コメ農家はやる気を失ってますよ」と言葉に力がない。

 農家にとって気が気でないのは、米国や豪州が貿易自由化を目指す環太平洋連携協定(TPP)の行方だろう。関税が撤廃されると、工業製品が安く輸出できる半面、食料自給率が40%から14%まで下がるとの試算もある。

 政府は交渉参加は明言せず、各国と協議を始めるという。菅直人首相が参加検討を表明したのは一カ月前。日本の経済、農業を激変させるテーマである。もっともっと熟議を重ねたい。


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