無名ロワの没ネタ、ナイン対ワーム。
そのうち雑多スレに投下しようと思ってたけど、タイミングを逃したのでここで。
アリアハン大陸南東部、山岳地帯の真っ只中。
二人の少女が……否、ただの少女に成り果てた天使と少女に化けた怪物が出会った。
「こんにちは、お嬢さん」
仲間を求める『偽』ルーナは、笑顔を浮かべフレンドリーに目の前の少女へ話しかける。対するナインも、それに合わせて顔に笑みを貼り付けた。
「こんにちは。そして……さようなら」
だがその笑みは、一瞬にして消し去られる。
言葉を切ると同時に跳躍したナインは、瞬く間に「ルーナ」へ肉薄。
そして、口から炎を吹き出した。
旅芸人時代に習得した特技、「ひふきげい」だ。
「くっ!」
とっさに、体をよじる「ルーナ」。直撃は避けたものの、彼女の長い髪が一部分だけ炎に触れ、無惨にも炭化して崩れ去る。
「ま、待ってください! 私は戦いたくありません!
私は、この殺し合いを共に打破してくれる仲間を捜しているんです! どうか力を……」
「嫌だね」
丁寧な物腰で、ナインの説得を試みる「ルーナ」。だが、ナインはそれを何の迷いもなく一蹴する。
「私もあの目玉のモンスターと一緒なんだ。もう、人間に愛想が尽きた。
人間が常に悪を生み出す存在だというのなら、いっそ滅んでしまえばいい。
だから、私は殺すよ。ここにいる人間は、全部」
「あなただってその人間でしょうが……。何様のつもりっ!」
ナインの言葉を聞いた「ルーナ」は、語調を荒げて叫ぶ。
その猛る言霊を浴びたナインは、冷たい笑いを浮かべながら言い返した。
「天使様さ。ただし、『元』だけどね!」
一歩踏み込み、ナインが手にしたハンマーを横に薙ぐ。「ルーナ」は、またしても紙一重でそれを回避する。
「へえ、それなりに戦闘には慣れてるみたいだね。けど、どこまで保つかな?」
冷徹な笑みを浮かべたまま、ナインはハンマーを振り回し続ける。
見たところ体格は一般人のそれとたいして変わらないというのに、恐るべき腕力である。
「交渉は決裂……。なら、戦うしかないか……!」
対する「ルーナ」も、いつまでも防戦一方ではない。
力を貸してくれない、それどころか自分に危害を加えようとしてくる相手は、倒すしかない。
「仕掛けてきたのはそっちなんだから、死んじゃっても恨まないでよ! イオナズン!」
両手をナインに向かってかざし、「ルーナ」は人間が使いうる最強の攻撃呪文の名を紡ぐ。
「ちぃっ!」
爆発系上級呪文の名を耳にし、ナインも顔色を変えて左腕のうろこの盾を正面に回す。
だが、何も起こらない。
「え……?」
自分が望んだ反応が起こらないことに、「ルーナ」は思わず困惑の声を漏らす。
自分はたしかに、イオナズンという呪文を「覚えた」はず。なのに、なぜ発動しないのか。
「どういうことよ! バギ! ルカナン! マヌーサ!」
額に汗を浮かばせながら、「ルーナ」は手当たり次第に呪文を唱える。
だが、何一つとして呪文は発動してくれない。
そのうち雑多スレに投下しようと思ってたけど、タイミングを逃したのでここで。
アリアハン大陸南東部、山岳地帯の真っ只中。
二人の少女が……否、ただの少女に成り果てた天使と少女に化けた怪物が出会った。
「こんにちは、お嬢さん」
仲間を求める『偽』ルーナは、笑顔を浮かべフレンドリーに目の前の少女へ話しかける。対するナインも、それに合わせて顔に笑みを貼り付けた。
「こんにちは。そして……さようなら」
だがその笑みは、一瞬にして消し去られる。
言葉を切ると同時に跳躍したナインは、瞬く間に「ルーナ」へ肉薄。
そして、口から炎を吹き出した。
旅芸人時代に習得した特技、「ひふきげい」だ。
「くっ!」
とっさに、体をよじる「ルーナ」。直撃は避けたものの、彼女の長い髪が一部分だけ炎に触れ、無惨にも炭化して崩れ去る。
「ま、待ってください! 私は戦いたくありません!
私は、この殺し合いを共に打破してくれる仲間を捜しているんです! どうか力を……」
「嫌だね」
丁寧な物腰で、ナインの説得を試みる「ルーナ」。だが、ナインはそれを何の迷いもなく一蹴する。
「私もあの目玉のモンスターと一緒なんだ。もう、人間に愛想が尽きた。
人間が常に悪を生み出す存在だというのなら、いっそ滅んでしまえばいい。
だから、私は殺すよ。ここにいる人間は、全部」
「あなただってその人間でしょうが……。何様のつもりっ!」
ナインの言葉を聞いた「ルーナ」は、語調を荒げて叫ぶ。
その猛る言霊を浴びたナインは、冷たい笑いを浮かべながら言い返した。
「天使様さ。ただし、『元』だけどね!」
一歩踏み込み、ナインが手にしたハンマーを横に薙ぐ。「ルーナ」は、またしても紙一重でそれを回避する。
「へえ、それなりに戦闘には慣れてるみたいだね。けど、どこまで保つかな?」
冷徹な笑みを浮かべたまま、ナインはハンマーを振り回し続ける。
見たところ体格は一般人のそれとたいして変わらないというのに、恐るべき腕力である。
「交渉は決裂……。なら、戦うしかないか……!」
対する「ルーナ」も、いつまでも防戦一方ではない。
力を貸してくれない、それどころか自分に危害を加えようとしてくる相手は、倒すしかない。
「仕掛けてきたのはそっちなんだから、死んじゃっても恨まないでよ! イオナズン!」
両手をナインに向かってかざし、「ルーナ」は人間が使いうる最強の攻撃呪文の名を紡ぐ。
「ちぃっ!」
爆発系上級呪文の名を耳にし、ナインも顔色を変えて左腕のうろこの盾を正面に回す。
だが、何も起こらない。
「え……?」
自分が望んだ反応が起こらないことに、「ルーナ」は思わず困惑の声を漏らす。
自分はたしかに、イオナズンという呪文を「覚えた」はず。なのに、なぜ発動しないのか。
「どういうことよ! バギ! ルカナン! マヌーサ!」
額に汗を浮かばせながら、「ルーナ」は手当たり次第に呪文を唱える。
だが、何一つとして呪文は発動してくれない。