思考の踏み込み

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祝 一周年6

2014-10-29 05:36:20 | グルメ
まだまだ行きます。

次もショートで、と希望。

カウンターの横で、冒頭でも登場して貰った女性客が、連れの男性とお酒の話を色々しながらわからない事は無邪気にマスターに質問している。

中途半端なウンチクを語るマニア客より遥かに清々しいお客さんである。

マスターの丁寧で、それでいて余分な言葉は省いた謙虚な対応と回答を脇で聞いているのも、これまた楽しい。



そうこうしている内にお酒が来る。

コザックの変形ヴァージョン。
これもブランデーが効いている。
コザックなんて初めて聞いたカクテルだが、スタンダードがライムを使うところをレモンで作っているらしい。

詳しい事は知らないが、他にも分量の変化や微妙なオリジナリティが加えられ、仕上げられている様だ。

まるで、まるっきり楽譜通りには弾かないが、楽譜の ー その曲の魅力を全て出し切ってしまう名ピアニストの様でもある。

ギャンブラー氏、こちらのコザックの軌道に寄せたくなったのか、また急旋回してウォッカを希望している。

ー 少しマスター考えてサッと出して来たのが、ザクロを漬け込んだスミノフ。
もちろん自家製。
そこにシェリー酒を合わせてシェイク。



色も美しいが、味も当然素晴らしい。

これまた世界で一杯だけのショートカクテル。
スタンダードなごく普通のスピリッツやリキュールを使って、まるで錬金術の様に質の事なる一杯を生み出す。

これぞカクテルの醍醐味であるが、ここまでのパフォーマンスをサラッとできるバーテンダーが果たしてこの東京でも何人いるだろうか。

祝 一周年5

2014-10-28 06:24:23 | グルメ
三杯目のブラーは前回来た時に目を付けていたもの。

ジャックローズを飲んでしまうと、やはりアップルブランデーのつながりで飲みたくなってしまう。

まさかジャックローズのときからマスターに誘導されていたのか?
カクテル縛りは私も三杯目にして早くも崩れた。

一口。

陶器瓶特有のお酒の静けさ。
だが、しばらく舌の上で転がしていると遠慮深げに、しかし着実にリンゴの香りが開いてくる。
ブランデーとしての甘みより、味わい深い苦味の方へと針が振れたお酒といえるかもしれない。

マタタビのピクルス。


今思い返してみると、一杯目のベルモットのビター感から一本の線で繋がっている様にさえ思う。
しかしこれはさすがに偶然だろう…と、思うがどうだろうか。

さて、一方のギャンブラー氏はペルノで一気に高々と舞い上がって、そこから大きく急旋回しようとしているらしい。



ようやく写真が追いついてきた。
マスターのオリジナル。
ジェット27を使ってミルクとシェイクし、ジンジャエールでフルアップしたもの。

このミルクの泡立ち加減が、マスターのシェイクの技術の並々ならぬ事を物語っている。

甘いモノ好きのギャ氏、ペルノから一気に回帰するのにこれ以上のモノはないかもしれない。
一口頂く。

グラスホッパーのロングカクテルバージョンといったら、少しイメージし易い。

文句なく美味しい。




祝 一周年4

2014-10-27 06:29:50 | グルメ
ジャックローズは有名なショートカクテルだが、初めて飲んだ。
もっと甘いイメージをしていたが、割とアルコール感がしっかりしていて、どちらかというと硬派なお酒という気がした。

もちろんそれはカスクドールスタイルなのかもしれない。
これは飲み比べしてみなければわからないが、少なくとも私の味覚にはピタッとはまる仕上がり。

三杯目 ブラー。

一杯目アメリカーノがスムーズな離陸だとすれば、見事にジャックローズで上昇軌道に入った。
この軌道だと今日はどのくらいの高度まで飛翔させてもらえるのか、楽しみだ。

ペルノオールドも味見させてもらったが、言うまでもなく美味しい。
横に座っているだけで、ニガヨモギ系の独特な香りが伝わって来てクオリティの高さを物語っている。
一応、現行品のペルノも一口出して貰ったが如何ともしがたい薄っぺらさ。

ここで、牛タンの塩釜焼き作ってみたんだけど食べる?
というマスターの一言。

否やもなく、是非。



美味しい。

味付けは塩だけらしい。
使っている塩と、その分量が絶妙。
今度、世界中の塩を取り寄せて「塩祭り」やりましょうよ、そんな話になる。

カクテルに食事を合わせる困難さを、この牛タン料理はまったく感じさせない、そういう酒の邪魔をしない見事な一皿だった。






祝 一周年3

2014-10-26 08:25:59 | グルメ
さて、前置きはこのくらいにして、この日のテーマはカクテル。

カスクドールは表向きシングルモルトのお店であるが、マスターはもともと渋谷の老舗カクテルバーで研鑽を積んだ方。

いつかその実力をしっかり味わいたいと、いつものギャンブラー氏と話していたが、あえてこの一周年目の日に実行してみた。

二杯目 ジャックローズ。


すでに一杯目は写真で投稿したが、私がアメリカーノ、ギャンブラー氏はソルクバーノ。

普通カクテルを何杯か飲んで楽しむ場合、ベースのお酒を決めたり、味覚の好みを指定して飲んでいくのがスマートであるが、この日ははじめから全てお任せ。

こちらの希望で伝えたのは今日はカクテルで統一したいということと、だいたいの金額の設定と、何杯飲みたいかだけ。

ベースになどこだわらなくても、マスターの力量であれば、我々それぞれの味覚のラインの把握からそれぞれに適した一杯を、適した順序で出してくれるだろう、という信頼があってこそできる注文方法である。

もちろんお店が満員だったりすれば、こんなわがままで身勝手な要求はしない。

アメリカーノはイタリア生まれのロングカクテル。一杯目としてまず喉を潤すには最適だろう。それでいてベルモットとカンパリのビター感がしっかりと厚みと深みを出していて、文句の付けようの無い出だし。

ペルノ60年代。

ギャ氏はラム好き。ソルクバーノをマスターは何も言わずに選択していた。

互いに一杯目はすぐになくなる。

二杯目をお願いする。

私にはジャックローズ。
ギャ氏はペルノ60年代のロック。
アブサンの話からペルノになり、じゃあオールド物を、となって早速カクテルで統一するテーマからそれるが、楽しければなんでもよい。
こちらが勝手に脱線してもそこからまたマスターが修正してくれる。



祝 一周年2

2014-10-25 08:01:21 | グルメ
カスクドールのマスターはそういうスタイルの方なので、一周年といっても花を飾ったり、前持ってアピールしたり、そういうこれ見よがしな事はしないー 。

ー だろう、と思って入店するとやはりいつもと何も変わらない。
お客にも何も言わない。

人によってはもっと営業しろと、カッコつけずに泥にまみれて宣伝しろと、そういう意見もあるかもしれない。

この日一杯目アメリカーノ。


"商売" という観点から見ればそれは正論であろう。
首相が海外に行って声高に「日本は儲かる国です!」と、節操もなく叫んでいる時代である。
どの国も、公的存在であるはずの国家が、私的な金儲け集団となっている様な現代である。

そういう時代、ここのマスターの様な "美意識" はナンセンスと言う人も多いだろう。
だが、少なくとも私個人としては、こういう時代だからこそ、その美意識はより際立つと思う。

"君子は為さざる有り" という。

本当に立派な人は、しない事がある。という意味だ。

誰にも語らず、一人淡々と一周年を迎え、かつまた自然体でその日をいつも通りに経過させたマスターの態度は、私にはどんなにきらびやかな花束で飾るよりも輝いて観えた。

ソルクバーノ。


とはいっても、やはりお身体は大切にして頂きたい。

ご本人は五年くらい休み無しでやってみたいけどな~、とおっしゃっていたが、どうか無理はなさらず、適当に休みも取って欲しい。

このお店が長く続き、そして世の人々にもっとお酒の素晴らしさをたくさん伝え続けて貰う為には何よりもマスターにいつまでも元気でいて頂きたい。

私はそう願っている。