触れることもできるはずのない微笑みを
ただ頷いてその胸に染み込ませる
この曲は中盤に入っているミドルテンポのややバラッドっぽい曲です
淡々と、しかし切実に鳴らされる物寂しげな音像が聴いていて胸を打つ一曲
正直新譜の中でも凄く好きな楽曲ですね。
例えば、
有り体な正論だったり、
理論上の正解だったり、
まあ色々ありますけど・・・
そういう言葉や思慮では割り切れない「何か」がこの世には存在するじゃないですか?
なんかね、そういう“化け物みたいな寂しさ”を目の前にした時に物凄く響く一曲なんじゃないか・・・って
個人的にはそう感じてます。
思えば、こういう限りなく詩的で深い意味を持つ楽曲は初期の頃にはあまりなかったように思う
いや、それだと語弊があるな 初期はもうちょっと曖昧で断定的ではなかったんですけど
この曲はそこから比べると本当に心情を美しく詩的に表現している曲で、
ある意味今のロストエイジだから「こそ」作れた曲のように感じるんですよね
自分が「そこ」に至らない人間だと気付いてしまった、
それは努力だとか、
センスとかの問題ではなく、
ある種の絶対的な感覚ですよね・・・
頑張れば分かり合えるだとか通じ合えるとかは正直幻想に過ぎなくて、
この曲みたいになってしまうのがまた現実だとも思うんですけど、
それをただそのまま描くのではなく、
詩集にしてもいいぐらいのクオリティで描き出しているその描写力が何よりも優れている楽曲だと思っています
同時に、この曲はロストエイジが普遍的な名曲を追求している(と、聴いてて思える)本作に於いて、
「ポケットの中で」に並ぶくらいシンボリックな一曲にもなっている・・・と感じますね
シングルっぽいタイプとはまた違いますけど、
この曲もまたCMで流れててもそんなに違和感が無さそうな曲かなあ、と
別に、
そこから答えを導くのではなく、
過剰なまでに絶望するのでもなく、
ただただ途方に暮れているような、
放心しているような、
届かない感覚に苦しんでいるような・・・
そんな「そのまんまの悲しみ」の表現に終始してるのがまた粋に思える、
決して派手さはないですが、聴き込めば聴き込む度に味が出て来る、隠れた名曲・・・だと、個人的には。