冷蔵庫の中で
賞味期限切れのファンタジー
The Novembersと言えば、
最初は俗に言うギターロックやオルタナティブロックというジャンルから始まったと思うんだけど、
この曲に関して言えば完全にヒップホップの領域に足突っ込んでるんですよね
まずABメロがラップ調だし、サビはちょいメロディアスっていうのが
正(まさ)しくヒップホップ的なサウンドデザインというか...
それも日本で培われたものに近いと感じる。
今でこそ、
この曲はファンに受け入れられてる感じ強いですが
初めて聴いた時はその衝撃的なアプローチにビックリしましたね(笑
ただ、
3年前くらいのレビューでは
「薔薇と子供」「Hamletmachine」そしてこの「New York」を推しの3曲に据えてたんですよね
なので今「New York」が高確率で披露される定番曲の一つに成ってる~って事実は
少しだけ先見の明があったかもしれないですね
とは言え、
今年その3曲全曲ライブで聴けたんですけどね!(嬉々)。
歌詞に関しては、
引用させて貰った上記のフレーズがある意味この曲のすべての様に思えます。
例えば、
「今は疲れてるから後にしよう」
「その内やろう」
「機会があったら」
「また元気な時に」
「いつかはやってみよう」
これらの考えって、
後々振り返って見れば全部無意味且つ自分で自分を追い込んでる悪手だったりもしたんです。
人生長いって云うけど、一番大事な思春期辺りってすぐ終わっちゃうでしょう。
その時期に「すべきだったこと」に今気付いても遅すぎるというか。
人間は、
人間が思ってる以上に時間って無いし、
若い人がおじさんおじいさんを笑っていても、
あっという間に自分自身もおじさんおじいさんになっていくものですしね。
全く上手く行ってない事柄を全く上手く行ってない方法論でいつまでも無為にやっていると、
最終的には持ち抱えたままで腐らしてしまう最悪の結末に自分で自分を導いてしまう。
それがサビで思いっ切り痺れる様な歌声で歌われてるのがこの曲の素晴らしい部分ですし、
だからこそ強いメッセージ性も内包されている様に感じられる名曲だと思いますね。
打ち込み中心の鮮やかでポップなアレンジもまた聴き心地が良い一曲です。
ところで、
この曲はライブでめちゃくちゃ育ちまくった一曲でもあります
ライブでは小林さんがお立ち台に登って扇動し、
「あ~あ~あ~あ~あ」の不気味で気持ち良いコーラスワークも今や
シンガロングの領域まで突入し(それが民族音楽っぽくもある)、
更に、
アレンジもよりダンサブルに変化して最近では❝暗黒ディスコ❞みたいになってますね笑
ネガティヴをネガティヴなままにせず、むしろカタルシスにまで昇華させるエネルギッシュさを感じます
その独特で癖になるトリップ感は音源以上の迫力に満ちているので生でも体感して欲しい一曲です。