うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

錦織圭がマリン・チリッチとの5時間に及ぶ死闘を制す

2010年09月03日 | テニス
テニスの4大大会の今季最終戦、全米オープンは2日に男子シングルス2回戦を行い、錦織圭が第11シードのマリン・チリッチ(クロアチア)を相手に5─7、7─6、3─6、7─6、6─1の逆転勝利を収め、3回戦進出を決めた。

 錦織は3回戦で第21シードのアルベルト・モンタニェス(スペイン)と対戦する。

〔ロイター 2010年9月3日の記事より、写真も〕


                            *  *  *  *  *


女子シングルスはクルム伊達公子と森田あゆみが敗れて日本勢は全滅しましたが、唯一男子シングルスで出場した錦織圭は2回戦で世界ランキング13位で第11シードのマリン・チリッチ(クロアチア)に5時間にも及ぶフルセットの死闘の末に逆転勝利。錦織は一昨年に日本男子として71年ぶりに全米でベスト16入りして以来の3回戦(ベスト32)進出となりました。

対戦相手の21歳のチリッチは、身長198cm、体重81kgと大柄の選手。一昨年の全豪で4大大会初出場を果たし、錦織やアルゼンチンのフアン・マルティン・デル・ポトロ(昨年の全米の優勝者)らとともに、注目の若手選手として一躍脚光を浴びているトップ選手です。今年の全豪でベスト4に入った後、チリッチは初の世界トップ10入りを果たしました。

しかも、試合展開が本当に劇的でした。身長178cm、体重70kgと体格が決して大きくない錦織は、常にチリッチにセットを許す苦しい展開でした。灼熱のコートの中、両者とも途中で足が痙攣してトレーナーに治療を受けるなど、次第に苦境に陥ります。だが、第2&第4セットをともにタイブレークに縺れ込みますが、錦織はそれを全て制して踏み止まります。ちなみに、イメージとは裏腹に、錦織はタイブレークを異常なほど得意としております。

チリッチにとっては、勝負を賭けたこの第4セットを落としたのが大きく響きます。ファイナルセットは気力と体力で上回る錦織がペースを完全に掌握。第1ゲーム、勢いに乗る錦織がいきなりのブレークに成功し2-1とリードを奪うと、ここから一気に4ゲームを連取。このセットを6-1でものにして壮絶な死闘に終止符を打ちました。正直言って、自慢の体躯を活かしたビッグサーブを操るチリッチに対し、現在の錦織ではまだ厳しいだろうと予想していたので、今回はまさに大金星だと思います。



思えば、ここまでの錦織は苦難の道のりでした。一昨年2月の「デルレイビーチ国際選手権」で予選から勝ち上がって優勝し、松岡修造以来の2人目のATPツアー制覇を成し遂げ、彗星の如く登場。4月には世界ランキング99位に入り、松岡以来の2桁順位入りします。そして8月の全米では、3回戦で当時世界ランキング4位で第4シードのダビド・フェレール(スペイン)をフルセットの末に下す快挙を成し遂げました。錦織は2008年度のATPワールドツアー最優秀新人賞を受賞し、ランキングを自己最高位の56位にまで上昇させます。

しかし、昨年5月に右肘の疲労骨折が判明。元々、錦織は負傷が多いことでも有名でしたが、得意技である“エアーK”の多用が災いとなりました。結局、錦織はリハビリの為、このシーズンを棒に振ることになります。更に、全米でベスト16に入りして稼いだポイントも1年が有効期限のため失効。今年2月にツアー復帰を果たしましたが、焦ったのか、かえって痛めた患部を悪化。世界ランキングは898位にまで急落。ついには、3月に世界ランキングから錦織の名は消滅しました。

しかし、その後5月に米国で開催されたATPの下部ツアー大会である「サバナチャレンジャー大会」で優勝するなど、どん底から這い上がります。次第にランキングを上げ続け、4月に799位、5月に246位、6月に189位、7月に194位にまで急上昇。現在のランキングは147位にまで上げました。その後、最も重要なトーナメントである四大大会に5月の全仏から参戦。全仏では初戦で2セットダウンの末の逆転勝利し、久々の4大大会での勝利を挙げて復調の気配を感じました。

その後、2回戦で世界3位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)、全英の初戦で世界1位のラファエル・ナダル(スペイン)にストレートで敗れるものの、これは抽選の運が悪かったので仕方がありませんでした。むしろ、実力者を相手に健闘した部類に入ると思います(なお、ナダル戦は、日本人選手として松岡以来14年ぶりにセンターコートでの対戦)。今回は最も得意なサーフェス(ハードコート)であり、ゲンのよい大会だったこともあったので“大物食い”の本領を発揮しました。

次の世界ランキング23位のアルベルト・モンタニェス(スペイン)はクレーを得意としており、体格的にもさほど変わらない相手です(ちなみに、2年前の対戦では錦織が敗戦を喫してます)。なお、今大会のモンタニェスは2回戦ではストレートで勝利しているので、錦織は前戦の長丁場の影響で体調面が心配されます。ただ、もしモンタニェスに勝てば、4回戦では第5シードのロビン・ソダーリング(スウェーデン)との対戦が予想されので、是非とも頑張ってほしいです。そして、目標である2桁順位に再び入る足掛かりを掴んでほしいです。


☆右肘の負傷のブランクを乗り越え、フルセットの末にシード選手を撃破

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。