うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
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史上初のJ2勢同士の対決となった今年の天皇杯サッカー決勝

2012年01月06日 | サッカー(クラブ)
◆サッカー・第91回天皇杯全日本サッカー選手権大会(2012年1月1日 @東京・国立競技場)

・決勝
FC東京 4(3-1)2 京都サンガ
得点者:FC東京)15分 今野泰幸、36分 森重真人、42分&66分 ルーカス
       京都)13分 中山博貴、71分 久保裕也

※初優勝を飾ったFC東京は来季のACLの出場権を獲得


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今季の決勝は、J2で優勝して来季のJ1昇格を決めたFC東京と、J2で7位に終わった京都サンガとのとの対決となりました。FC東京は初の決勝進出。一方、京都は朴智星や松井大輔などを擁して初優勝した2002年度以来9年ぶり2度目の決勝進出でした。両チームのJ2での対決は、昨年5月28日に京都の西京極で行われた第14節では4-1、9月10日に味の素スタジアムで行われた第27節では6-1といずれもFC東京が圧勝してます。

今回の決勝は、色々な意味で注目を集めました。なぜなら、J2勢同士の決勝対決だったからです。1972年に天皇杯がオープン化されて以降、過去に国内2部リーグのチームが決勝進出したことは、1980年の田辺製薬、1981年の日本鋼管(優勝)、1982年のヤマハ発動機(優勝)、1994年のセレッソ大阪の4度あります。しかし、国内1部リーグ勢以外同士の決勝戦は、今回が史上初めてです。また、今大会の優勝チームには来季のACLの出場権が与えられますが、来季もJ2で戦う京都がもし優勝し場合、2006年の東京ヴェルディ以来となる「J2チームのACL参戦」の珍事でした。ちなみに、FC東京の大熊清監督と、京都の大木武監督は、奇しくも岡田武史監督時代の日本代表のコーチの間柄でした(なお、大熊監督はイビチャ・オシム監督時代からのコーチ)。下馬評では、戦力的に上回るFC東京が有利でしたが、京都は準決勝で横浜Fマリノスに延長戦の末に4-2で逆転勝利して勝ち上がって来ただけに、非常に見ものでした。

開始序盤は地力に勝るFC東京が優勢に展開。しかし、前半13分、ドゥトラのドリブル突破したボールがゴール前でこぼれ球となり、走り込んでいた中山博貴がシュートを決めて、京都が先制点を奪います。FC東京は前半15分、CKから今季でG大阪に移籍が決まっているDF今野泰幸のヘッドですかさず同点に追いつきます。更に、前半36分にはDF森重真人が右足で見事なミドルシュートを決めて勝ち越しに成功。畳み掛けるように、前半42分にFWルーカスが相手のミスを拾ってドリブルシュートを右足で決めて引き離し、FC東京が前半を3-1で折り返します。後半21分にも、FC東京は速攻からルーカスが決めてリードを広げます。後半26分に、途中出場した京都のU-18日本代表の久保裕也にCKからヘディングで1点決められて2点差までに詰め寄られるも、その後FC東京は堅い守りで凌ぎ切ります。結局、FC東京が4-2で京都を下して初優勝を飾りました。同時に、来季のACLの出場権も獲得となりました。なお、既に退任が決まっているFC大熊監督にとって、J2優勝に続くタイトルを獲得して、最後のシーズンを締めくくりました。

今大会はFC東京の健闘が光ったとはいえ、裏を返せば、それだけJ1勢がだらしないことを意味します。なにせ、J1勢が4回戦までに半分の9チームが敗退するなど、嫌でも目立ちましたから。ただ、このような結果になるのも、やむを得ない事情があります。というのも、この時期は既にリーグ戦が終了しており、各チームとも編成や監督人事などで多忙な時期であります。それに、リーグ戦の期間中だと、各チームとも優勝争いはもちろんのこと、残留or昇格争いを優先するので、天皇杯は必然的に軽視されます。なぜなら、クラブの経営問題に直結するからです。また、外国人選手の中にはクリスマス休暇で既に帰国している選手だっております。一方、所属クラブから「0円提示」をされて、来季の契約を結ばない選手までが大会に参加してます。ましてや、勝ち上がるにつれてオフが必然的に短くなるので、選手にとっては負担が大きいです。3年後の2015年に豪州で開催されるアジア杯は、前回のカタール大会に続いて1月開催なので、大会のスケジュールの見直しは喫緊の課題です(もしかしたら、2022年にカタールで開催されるW杯も1月開催かも?)。

やはり、こうした国内スケジュールの歪な状態を解消する為には、決勝の元日開催の変更、更にはJリーグの「秋春制」の導入など、天皇杯のあり方を含めた突っ込んだ議論はもはや不可避でしょうね。



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2 コメント

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とりあえずカップ戦の醍醐味としておきましょう (こーじ)
2012-01-17 22:28:43
 とりあえずカップ戦の醍醐味ではありますけどね。

 なぜか‘サッカー日本一を決める大会’と吹聴しているマスゴミのセンスの悪さには呆れますし、ここまで欠陥だらけの大会も珍しいでしょう。

 格下のチームがJ1と戦えるなら、せめてJ1勢が相手のホームに乗り込まないとJ1のホームで行ってもありがたみがないので面白味がありません。

 一発勝負のトーナメント方式など、まさしくサッカーがマイナー競技だった頃からの負の遺産だと思ってしまいますよね。

 まぁ毎年のようにJ2勢が優勝を争えばトップも考えるかもしれませんが、そうなったらそうなったで変に改悪しそうで怖いですよ。
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コメントありがとうございます (猫なべ)
2012-01-18 22:57:07
こんばんは、こーじさん

記事に書きそびれましたが、天皇杯の最大の問題点は、昇降格争いをしている最中なのに、出場チームに「ベストメンバー」を課していることですよね。
あと、会場が事前に決められているので、予想外の結果に終わった場合、試合会場の地元とは何の縁もゆかりも無いチーム同士のカードとなって、集客がすこぶる悪くなることも挙げられます。

ハッキリ言って、ナビスコ杯にJ2チームを参戦させて大会の価値を向上させた方が、よっぽどマシな気がしますね。
少なくとも、今の欠陥だらけの天皇杯よりも、ナビスコ杯の優勝チームの方が、ACLに出場する資格は相応しいと思います。
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