うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

10月10日は日本ボクシング界にとって記念すべき日

2009年10月10日 | ボクシング
●ボクシング・ダブル世界タイトルマッチ(2009年10月10日 @代々木第2体育館)

<WBC世界S・バンタム級タイトルマッチ>
西岡利晃(王者・帝拳)vsイバン・エルナンデス(挑戦者同級6位・メキシコ)

<WBA世界S・フェザー級タイトルマッチ>
ホルヘ・リナレス(王者・帝拳/ベネズエラ)vsファン・カルロス・サルガド(挑戦者同級7位・メキシコ)

<OPBF東洋太平洋フェザー級タイトルマッチ>
細野悟(王者・大橋)vs榎洋之(前王者・角海老宝石)

<日本S・フェザー級タイトルマッチ>
三浦隆司(王者・横浜光)vs小口雅之(挑戦者同級5位・草加有沢)

<S・バンタム級8回戦>
下田昭文(WBC同級10位・帝拳)vsセーンヒラン・ルックバンヤイ(元WBC世界S・バンタム級1位・タイ)


                           *  *  *  *  *


今日、東京の代々木第2体育館でボクシングのダブル世界戦が行われます。メインの2つの世界戦だけでなく、東洋と日本のタイトルマッチ、更に帝拳ジムのホープの下田昭文のノンタイトル8回戦も行われます(下田の対戦相手は、昨年6月に長谷川穂積に挑戦したクリスチャン・ファッシオからセーンヒラン・ルックバンヤイに変更)。日本、東洋、世界のそれぞれのタイトルマッチもさることながら、このノンタイトル戦も対戦相手の質も高く、今回の興行は本当に豪華で非常に楽しみです。ちなみに、三浦隆司が保持する日本S・フェザー級王座に挑む小口雅之とは、あの「かつらボクサー」です。話題性も豊富ですね。それだけに、興行規模に反比例して収容人員が約3000人しかない会場で開催されるのが、本当にもったいなく感じます。ただ、おかげで、チケットは即座に完売し、金券ショップでも高値で取引されているとか。まあ、本当にボクシングを愛するコアなファンに囲まれての試合ですから、今日のリングに上がるボクサーにとっても、張り合いがあるでしょう。

今回のメインである2つの世界戦に臨む日本のジムに所属している2人の世界王者は、共通の特徴があります。それは、西岡もリナレスも海外で防衛を果たしている事です。ボクシング王国メキシコの地で、元世界王者のジョニー・ゴンサレス(メキシコ)を3回逆転KOで下した西岡は、日本人としては渡辺二郎以来、実に24年ぶりの快挙を達成しました。一方、日本育ちのリナレスは、既に本場ラスベガスのリングでメインを張った世界王者でもあり、フェザー級とS・フェザー級の2階級制覇を成し遂げた本格派です。「ベネズエラのゴールデンボーイ」と称され、つい先日、オスカー・デラホーヤ率いるゴールデンボーイ・プロと3年契約を結びました(正確には帝拳ジムと共同プロモート)。

この契約は、リナレスのボクサー人生にとって、非常に大きな意味を持ちます。つまり、今後のリナレスは、米国での活動が主軸になるので、今日の試合は日本のリングで見られる貴重な一戦となります。今回の一戦は、リナレスにとって世界的なスーパースターへの階段を上る最初の一歩なのかもしれません。また、ラスベガスのリングに最も近いと評される西岡にとっても、この試合が試金石になると思います。最近のアジアのボクサーは、現在のパウンド・フォー・パウンドであるマニー・パッキャオ(フィリピン)だけでなく、WBA世界フェザー級王者のクリス・ジョン(インドネシア)も米国に進出しているので、彼らに負けずに日本人も続きたいところ。これは、米国進出を熱望している長谷川にも言えるでしょう。



そして、本日10月10日は、日本ボクシング界にとって記念すべき日なのです。それは、日本が世界に誇る2人の偉大なる世界王者が誕生した日だからです。日本人2人目の世界王者で、フライ級&バンタム級を制覇して日本ボクシング史上初の2階級制覇を果たしたファイティング原田が、ポーン・キングビッチ(タイ)を得意のラッシュ戦法で滅多打ちにして11回KOで下し、史上最年少(当時)の19歳6ヶ月でフライ級の世界王座を獲得したのが、今から47年前の10月10日です。そして、日本人歴代世界王者の連続最多防衛記録(13度)を誇る具志堅用高が、史上最短(当時)のキャリア僅か9戦目で、“小型フォアマン”と称された強打のファン・グスマン(ドミニカ)から3度のダウンを奪って7回KOで圧勝して、WBA世界L・フライ級王座を奪取したのが、ちょうど今から33年前の今日です。両者とも、圧倒的に不利な下馬評を覆しての戴冠劇であり、この日の勝利を切っ掛けに世界に誇る英雄となりました。

日本人初の世界王者である白井義男が、ダド・マリノ(米国)を15回判定で下して世界フライ級王座を獲得したのが、1952年5月19日。白井さんの栄光を称えて、この日は「ボクシング記念日」と呼ばれております。今日10月10日も、日本が世界に誇る2人の偉大なる世界王者が誕生した特別な日なので、日本人にとって決して忘れてはならない日です。それだけに、この記念すべき日に戦う、日本のジムに所属する2人の世界王者は、後世に語り継がれる素晴らしいファイトを期待すると同時に、本場ラスベガスのリングで戦う切っ掛けとなる試合であってほしいと、心から願います。

なお、今日のダブル世界戦は地上波ではありませんが、WOWOWで中継します。嬉しい事に今日は無料放送の日なので、ご自宅に衛星放送を取り付けてある方は視聴が可能です。4日前のチ○ピラ一家の低レベルなクソ試合を見て不快になられた方も多いと思われますが、お時間のある方は今日の試合をしっかりと御覧になられて、本物のボクシングを楽しんで下さい。普段ボクシングを御覧になられない方こそ、見て頂きたいと思う試合です。是非とも、お見逃しなく!


☆ファイティング原田が当時の日本人最年少で王座奪取(1962年10月10日 @蔵前国技館)



☆具志堅用高が当時の最短記録で王座奪取(1976年10月10日 @山梨学院大学体育館)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。