イン・ザ・プール
奥田英朗
精神科医 伊良部一郎 伊良部総合病院の息子。色白デブでマザコン
総合病院の地下の部屋で神経科を診ている。
愛車は黄緑のポルシェ。
患者が来ると、「いらっしゃーい」と出迎える。
助手の看護士は、まゆみちゃん。肉感的な美女で露出癖あり。
今でいう心療内科を訪れる心を病んだ患者を診るのだが、
いかんせん、いい加減で自分本位の治療とも言えない治療をするのだが
それがまたなぜか、患者をいやしていく。
体を鍛えなくてはいけないと思い込むサラリーマン。
勃起が収まらないサラリーマン。
どんなことをしてでも売れたいモデル。
携帯電話が離せない、高校生
たばこの火の始末が気になって仕方がない編集者。
面白い
まず装丁がええてすね
プールに赤ちゃん
ぐっと視線を引き寄せますね
20年以上前の作品で、一回読んで面白かった記憶があるのですが
忘れてしまってていたので再度読み返してみました、
強迫観念っていうんですか、こうしないと落ち着かない
そういう気持ちって誰でもあると思うのですが
それが度を越した人の話。
特に、面白かったのは携帯電話が離せない高校生津田君の話
四六時中携帯をいじっている。メールは日に何百と打ちますが
返事が来ないと不安で仕方がない。
同級生やバイトの同僚とずーっとつながっていたい
関心をひくために、CDの新譜は速攻で買う
無視されるのが死ぬほどつらい。
携帯を不良にカツアゲされ、友達と連絡がつかない
待ち合わせをしていたが遅れると連絡もできない
公衆電話を使おうにも電話番号も携帯が無いとわからない
不安で手が震えてくるのだが
しかし、友達だと思ってた相手は津田君のことなんか
なんとも思っていない
津田君がいようがいまいが、どうでもいいんですよね
落ち込む津田君
助けを求めるように伊良部に電話すると
「友達なんて必要?一人がいいじゃん」といい放つ
たしかに、今ではLINEにとって代わってますが
わたしも送ったLINEが既読になってるかどうか?気になりますし
既読なのに返事が来ないと、なんやねんと怒りがこみ上げる
または、悲しくなります
こんな還暦のじじいですら、こんな風に思うのですから
世の中の若人には津田君と同じような悩みがあるだろうな
そんなことで悩むくらいなら、友達なんていらないと言い切る方が
よっぽど精神衛生に良いんじゃない
伊良部先生は、意外と名医なのかも
孫がこんなことで悩みはじめたら
この本を読むように言おうっと