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ぶろぐ猫の目

笑う門には福来る・・

実験中

破獄 吉村昭

2023-06-01 06:08:48 | 読んだ本の紹介

破獄 吉村昭



昭和の脱獄王と言われた白鳥 由栄、戦時中の食糧難の時代に収容先の刑務所で次々
と脱獄事件を起こした男

白鳥をモデルにした、半ノンフィクション。

戦前から戦後にかけての動乱期の刑務所事情を克明に描いています。



主人公、青森出身の佐久間は素行が悪く、青森刑務所に入れられます



1936年 青森刑務所を手桶の箍で手製の合鍵を作り、開錠して脱獄。

これを皮切りに脱走を繰り返します。



1942年 秋田刑務所 を収監された鎮静房の天窓の釘が腐りかけていることに気づき、

布団を丸めて立て、そこによじ登って脱獄。



1944年 網走刑務所を 味噌汁の塩分で手錠と視察孔の釘を錆びさせた後に外し、

関節を脱臼させ、監獄の天窓を頭突きで破り、煙突を引き抜いて脱獄。



1947年 札幌刑務所を 床下からトンネルを掘り、脱獄。

視線を上に向けて誤魔化しながら隠し持った金属片でノコギリを作り、床板を切断。

食器で穴を掘って逃走。



1948年 府中刑務所に収監、模範囚として過ごし、1961年に仮釈放。



青森刑務所の脱走以降、刑務所長、看守長は佐久間の脱走を阻むべく

ありとあらゆる対策を講じます

手錠のカギを外すなどたやすい佐久間に対し、鍵穴の無いボルト締めした手錠を使っ
たり

20kgもの重さの手錠を使ったり

3mもの高さの天窓しかない独房に入れたり、

日々の検査を念入りに行ったりしたが、佐久間はことごとく脱獄に及びます。



常人では考えられない怪力をもち、体の関節を自由に外すことができた。

やもりのように壁を上り、逃走経路を一瞬で記憶する頭脳も持ち合わせている

看守に対しては、「脱獄してお前の家族を殺してやる」と脅し

意のままに操ったりしていました。



時は、2次大戦にかけての話。

大戦中の食糧難の話は恐ろしいですね。

食べるものがなくなる。しかし囚人たちには規定通りの配給を行わないと

暴動を起こす恐れがある。看守よりも良い食事が提供されていました。

また看守たちも体格の良い体力のある看守は

戦争に召集され、残った看守たちは囚人たちより見劣りのする

人間しか残っていない。

そんな過酷な状況下、佐久間は最果ての網走刑務所に送られるのですが

冬の寒さに耐えきれないと、脱獄に及びます。



脱獄してはつかまり、また脱獄する。

終戦後は、GHQの指示により

より設備の整った府中刑務所に送られることとなる。

そして最後は、府中刑務所で温情をもって接してきた、刑務所長鈴江の心に

打たれたのか、模範囚となり刑期を全うした。



事実をもとにした小説であり、当時の社会状況がありありと書かれていて

一気に読まされてしまいます



これを読んで思い出したのが、漫画ゴールデンカムイの白石由竹。

脱獄王としての特技を生かして、主人公杉元を助ける超バイプレーヤーとして

ユーモラスに描かれてます。

小説「破獄」とはまったく趣が違うキャラですが

現在に存在してたら、SASUKEの完全制覇も楽勝ですね








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雪冤

2023-05-29 06:14:40 | 読んだ本の紹介



雪冤(せつえん)は、大門剛明による日本の推理小説。



15年前、京都。男子学生と十九歳の女性が殺され、一人の男が逮捕された。

元弁護士の八木沼悦史は、死刑囚となった息子・慎一の冤罪を信じ、一人活動をしていた。

だが、息子は面会を拒絶、弁護士に無罪を訴える手記を手渡す。

一方、殺された女性の妹・菜摘に、真犯人を名乗る人物・メロスから電話が。

メロスは悦史に自首の代償として五千万円を要求するが――。

驚愕のラスト、横溝正史ミステリ大賞の傑作・社会派ミステリ!





死刑制度の是非に一石を投じる一作といわれていますね。



前半のグダグダに耐えられれば、後半は一気に読ませます。

しかし、文章の相性は私とは合わない感じです。

説教臭い、自分本位の強い語り口。

最後の章で「雪冤」という単語がどんどん出てきます

浜ちゃんのプレバトの俳句で、歳時記で調べたむつかしい季語をつかって

悦に入ってる芸能人並みですね

そんなことどうでもええんです



内容ですが

本来無罪である息子の考えや気持ちが理解できないまま話が進みます

私の理解力が足りないならそれまでの話

結局最後まで、息子は何がしたかったのかわかりませんでした。

前半だらだらですが

後半は、怒涛のように展開が進みます。

一介の、ろーとる元弁護士が、簡単に真相にたどり着くのは

ある意味滑稽でした。そんな簡単にわかるんかよ

端折りすぎ



ラストのどんでん返しも、作者はやった気になっているんでしょうね

作者の高揚感が伝わってきます

お前ら読者は、俺の手の上でおどっていたんだ。

このどんでん返しはすごいだろうってのが

行間ににじみ出ていますw

べつにそんな大したどんでん返しでもないんですけどね

面白いか面白くないかでいえば、面白かったです。





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死刑に至る病

2023-05-22 07:02:12 | 読んだ本の紹介

死刑にいたる病、櫛木理宇による長編サスペンス小説



あらすじから



稀代の連続殺人鬼である榛村大和から手紙を受け取った大学生の筧井雅也。

そこには「罪は認める。しかし最後の1件だけは冤罪だ。

最後の1件を誰が行ったかを調べてほしい」と認められていた。

中学生の頃、近所でパン屋を営んでいた榛村に恩を感じていた雅也は手紙の内容を理
解して、

独自の調査を始めることになる。





思ってたのとちょっと違いました。

13階段のように冤罪を晴らすような内容を想像してました。

ネタバレごめんであらすじを追記すると

中学のころまで、優秀な成績であった筧雅也

高校に入ると、勉強についていけずFランクの大学に

父親の過大な期待を裏切る形になり、心を病んでいる。

そんな雅也に届いた1通の手紙

それは、雅也が中学時代通っていたパン屋の主人、榛村大和からでした

榛村は、少年少女を監禁しいたぶり殺害するという、シリアルキラー

9人の少年少女を嬲り殺した罪で起訴され

1審で死刑の判決を受けたが、9人目の被害者である成人女性への殺害は

自分の仕業でないと控訴中。

なぜか、過去にパン屋の客であった雅也に送られてきた手紙の内容は

9件目の殺害の真犯人を探してほしいという依頼でした。

なぜか?なぜ自分なのか?

雅也は、拘置所の榛原に会いに行くのでした。

榛原は一見優男で残酷な事件を起こすような人間には見えませんでした

雅也は、榛原の言葉に操られるように、9人目の被害者の真犯人を探すことになりま
す。

榛原の顧問弁護士から事件の詳細なデーターをもらい

事務所の助手の名刺を使い、榛原の過去をたどります

関係者の証言をたどるうち、榛原の壮絶な過去があきらかになってきます

そして、意外な人物が浮かび上がり榛原と雅也の関係が浮かび上がってきます

とまあこんな感じ



まあ幼少期からひどい虐待を受けた、榛原がその恨みを晴らすかのように

少年少女をいたぶり殺していく

たまたま最後の被害者がうまく逃げたため、事件が発覚し

榛原は捕まるのですが、もし最後の被害者が逃げなかったら

榛原は人を殺し続けていたんでしょうね

恐ろしい話



そしてもう一人重要な登場人物がいます

雅也の中学の同級生の加納灯里です

灯里は、中学時代優秀だった雅也に憧れていました

大学で偶然再会したとき、病んでいた雅也をなにかと気にかけるようになります

雅也に恋心を抱いているようでした

雅也はそんな灯里の気持ちを無視し、真犯人を探す作業にのめりこんでいきます

そして事件は、意外な結末を迎えるのですが

エピローグではもう一つどんでん返しが待ってます

これは秀逸でしたね



一介の大学生が、1人で協力者もいないなか

真犯人を見つけることができるのか?

疑問を持ちながら読み続けることになりますが

犯人探しがメインではないことに気づくと同時に

ラストの展開へつき進みます。

なかなか読ませましたね



これ余談ですが

映画化されてますが、榛原役が阿部サダオですからね

みませんでした。

名前に阿部貞とつける神経が嫌いで、この俳優嫌いです

できるだけ見ないようにしてますが

たまに見ると上手いですね

こういうサイコキラー役に向いてます。
























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東京物語 奥田英朗 懐かしいバブル前夜

2023-04-18 09:29:44 | 読んだ本の紹介

東京物語 奥田英朗



1970年後半から1990年までの時代背景の自伝的小説です

名古屋から東京に出てきた田村久雄が時代の波にもまれて

成長する物語です。



年代が私に近い。奥田先生が1959年生まれ、私が1962年生まれですから

ほとんど同時期に青春時代を過ごしてます。



1978年久雄は浪人し、東京の予備校に通うため上京。

家族から解放されての一人暮らしを満喫しようと意気込むのですが

やっぱり一人は寂しいもんで、同郷の友達を探しに下宿を出ます。

友達の家に行く途中、後楽園球場ではキャンディーズの解散コンサートをやってました。



1979年 大学に入った久雄は、演劇部に在籍。つかこうへいを演じたかったが

唐十郎路線の先輩たち。クールな先輩に、ほのかな恋心を抱くがそれは幻想にすぎず

本当に必要だったのは身近な存在だったと気づく。



1980年 大学を中退し弱小広告代理店に入った久雄。コピーライターの卵として

奮闘します。そんな久雄に飛び込んできたニュースは、

ジョンレノンの暗殺でした。



1981年 そこそこできる君の久雄は、部下を持つようになるのですが

頼りない部下に怒り心頭。しかしその実自分を見失っていたのは

久雄でした。

ちっとばかし仕事ができると過信し、部下やクライアントを見下す久雄

そんな久雄の鼻は、クライアントの大人にへし折られ

自分を見直します。



1989年 30歳になった久雄は、独立し小さいながらも事務所を持つように

時はバブル全盛。

久雄は、金無垢のロレックスをはめ地上げでもうけをむさぼるクライアントに振り回されます。

周りの友達は、結婚するやつもおり久雄自身、青春の終わりを感じます。



キャンディーズ、松田優作、ソウルオリンピック、ゴーストバスターズ

ジョンレノン、江川、ベルリンの壁

私の青春時代を思い出されるフレーズが出てきて当時の記憶がよみがえります

わたしも若いころは、こんな感じだったかな

根拠のない自信と、上司や部下が馬鹿に見えた時代。

そんな天狗の鼻はいつの間にかぽっきりと折れてしまうんですね

でもそれが青春ってもんでしょうか、なんか楽しかったかもしれない

大人になるって、賢くなることかもしれませんが

つまんなくなっていくのと同じかも。

そんなことに気づかされる本でした

ぜひ読んでみて



















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イン・ザ・プール 心を病む人へ

2023-04-15 05:54:21 | 読んだ本の紹介

イン・ザ・プール

奥田英朗



精神科医 伊良部一郎 伊良部総合病院の息子。色白デブでマザコン

総合病院の地下の部屋で神経科を診ている。

愛車は黄緑のポルシェ。

患者が来ると、「いらっしゃーい」と出迎える。

助手の看護士は、まゆみちゃん。肉感的な美女で露出癖あり。



今でいう心療内科を訪れる心を病んだ患者を診るのだが、

いかんせん、いい加減で自分本位の治療とも言えない治療をするのだが

それがまたなぜか、患者をいやしていく。



体を鍛えなくてはいけないと思い込むサラリーマン。

勃起が収まらないサラリーマン。

どんなことをしてでも売れたいモデル。

携帯電話が離せない、高校生

たばこの火の始末が気になって仕方がない編集者。



面白い

まず装丁がええてすね

プールに赤ちゃん

ぐっと視線を引き寄せますね

20年以上前の作品で、一回読んで面白かった記憶があるのですが

忘れてしまってていたので再度読み返してみました、



強迫観念っていうんですか、こうしないと落ち着かない

そういう気持ちって誰でもあると思うのですが

それが度を越した人の話。



特に、面白かったのは携帯電話が離せない高校生津田君の話

四六時中携帯をいじっている。メールは日に何百と打ちますが

返事が来ないと不安で仕方がない。

同級生やバイトの同僚とずーっとつながっていたい

関心をひくために、CDの新譜は速攻で買う

無視されるのが死ぬほどつらい。

携帯を不良にカツアゲされ、友達と連絡がつかない

待ち合わせをしていたが遅れると連絡もできない

公衆電話を使おうにも電話番号も携帯が無いとわからない

不安で手が震えてくるのだが

しかし、友達だと思ってた相手は津田君のことなんか

なんとも思っていない

津田君がいようがいまいが、どうでもいいんですよね

落ち込む津田君

助けを求めるように伊良部に電話すると

「友達なんて必要?一人がいいじゃん」といい放つ



たしかに、今ではLINEにとって代わってますが

わたしも送ったLINEが既読になってるかどうか?気になりますし

既読なのに返事が来ないと、なんやねんと怒りがこみ上げる

または、悲しくなります

こんな還暦のじじいですら、こんな風に思うのですから

世の中の若人には津田君と同じような悩みがあるだろうな

そんなことで悩むくらいなら、友達なんていらないと言い切る方が

よっぽど精神衛生に良いんじゃない

伊良部先生は、意外と名医なのかも



孫がこんなことで悩みはじめたら

この本を読むように言おうっと

















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罪の轍

2023-03-31 07:16:50 | 読んだ本の紹介

罪の轍 奥田英朗





まずはあらすじから

昭和38年、私が生まれたころの話です

世は、39年の東京オリンピックに向けてなにかと

浮足立った時代でした



北海道の礼文島という最果ての地で、コンブ漁の手伝いをしている

宇野寛治20歳。脳に障害があるのかすぐ物を忘れるため

手伝いしかできない。

周りのみんなから馬鹿にされ虐げられる日々。

手癖が悪く、島のあちこちで窃盗を繰り返すうちに

大きな事件を起こし島にいられなくなる。

なんとか島を脱出した寛治は

窃盗を繰り返しながら東京へ向かい、チンピラの明男と知り合う



寛治は空き巣を繰り返すうちに、殺人事件に巻き込まれる

明男と明男の姉や労働組合の協力でねぐらを転々とし、警察の目から逃れる寛治。

そんなある日、下町の豆腐屋の末っ子吉夫ちゃんが誘拐される。

犯人の要求は50万円



誘拐事件を追う落合刑事は、吉夫ちゃんが北海道なまりの若い男と

歩いていたという情報を得る。

先に起こった殺人事件に絡んでいた空き巣と風貌と北海道なまりが

一致し、警察は総力をあげて寛治を追う



寛治を追ううちに、寛治の生まれてからの経緯を追う落合刑事

なぜ寛治は脳に障害を抱えるようになったのか

その壮絶な過去が明らかになる



身代金受け渡しのチャンスに警察はミスを重ね

犯人を逃してしまう。

いったい、犯人は寛治なのか?





なかなか面白い小説でした

800ページを超える大作。

前半は、礼文島での事件

中盤は、東京での殺人事件

ここまで長かったですが

ここまで我慢出来たら、あとは一気です

吉夫ちゃん誘拐からは、息をつかさぬ怒涛の展開です

威信をかけて吉夫ちゃんの救出に全力をかける警察に

ヤクザ、労働組合、新聞記者が入り乱れながら寛治を追います。

最後の200ページは目を離せませんでしたね。

昭和38年の事件を題材にということですが

先入観ないほうが面白いと思います

当時の、社会環境が垣間見えて面白かった

労働争議の絶えない山谷という土地柄や

電話の逆探知なんかできない時代。

新幹線すら走っていない。

懐かしいにおいを感じながら読んでました

おすすめ

















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死にゆく者の祈り 中山七里

2023-03-20 06:24:56 | 読んだ本の紹介

中山七里 死にゆく者の祈り





あらすじから





僧侶の高輪顕真は、東京拘置所に教誨師として派遣され、

講話をしている時に囚人である大学時代の同期である関根要一と出会います。

関根は自分の容姿を嗤われた事に腹を立てカップル二人を殺害し、死刑判決を受けていました。

顕真には大学時代、山岳サークルで登山していた際、関根に命を救われた過去があります。

顕真は関根の人間性から関根の犯した事件に違和感を持ち、再捜査にのりだします。



転載ここまで



教誨師という職業があるのはなんとなくは知っていましたが

宗教に興味がないので、死刑囚の心の平安を担う人くらいに

思ってました。まあ当たらずとも遠からずか。





教誨師の顕真が、命の恩人の関根の冤罪を晴らそうとするのですが

肝心の関根が罪を認め、刑を甘んじて受けようとします

顕真は、関根の言動に違和感を感じ無実を確信します

関根を死刑に追い込んだ刑事に冤罪を見逃すのかと訴え

再捜査を促すのですが

一旦判決が下りた事件を再捜査するのは容易ではないです

顕真と刑事はプライベートで事件を洗いなおします

すると意外な事実が浮かび上がってきました

真犯人は別にいる?!

しかし、法務大臣が変わり

死刑推進者の大臣は、関根の執行に決裁をおろしました

真犯人を上げるのが先か死刑が執行されてしまうのか?



とまあこんな感じですが

死刑については、先日13階段(高野和明)を読んだので

その仕組みについては、おおよその知識がありました。

13階段の緻密な、死刑制度の記載からすると

この小説は、甘いとこだらけで

そんなうまいこと話が進むかよって突っ込みたくなるシーンが多かった

最後の50ページは、時間との戦いで読ませますが

ラストがねえ

最後のどんでん返しが、なんとも言えない拙速感

んなわけないやろって言いたくなること必至w

まあ読まなくてもいいかも

30点













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ノースライト 横山秀夫

2023-03-10 05:53:51 | 読んだ本の紹介

ノースライト 横山秀夫



まずはWikiのあらすじから



一級建築士の青瀬稔は、吉野という夫婦から、信濃追分の土地に

「あなたが住みたい家を建ててください」との依頼を受ける。

設計した家は「Y邸」として雑誌で紹介され、青瀬の代表作となる。

引き渡しから4ヶ月後、雑誌で「Y邸」を見て現地を訪ねた人から、

人が住んでいる気配がないと聞かされた青瀬は、建築事務所所長の岡嶋とともに現地へ向かう。

鍵は空き巣に入られたのか壊されており、家は無人で、電源の入った留守番電話と、

一脚の木製椅子だけが残されていた。

電気・ガス・水道料金は口座引落できちんと支払われていた。

岡嶋は、残されていた椅子がブルーノ・タウト作のものではないかと気づく。



青瀬は、「Y邸」建築中に顔見知りになった役場職員のつてで、

吉野一家の信濃追分への転入状況を調べるが、転入した形跡はなかった。

青瀬は、何度か吉野一家と顔を合わせた際の違和感を思い出す。

さらには、吉野を追う男の存在も浮かび上がる。



Wikiから転載ここまで



追記すると

バブル時代、浮世の春を謳歌していた建築士青瀬、

バブルがはじけ妻とすれ違い、離婚し職も失う。

青瀬をひらったのが岡嶋でした

やる気を失った青瀬はなげやりに日々のルーティンをこなすのみ

一旗揚げる気が満々の岡嶋だがしかし岡嶋は青瀬の実力に嫉妬していた。

そんな中、青瀬の顧客吉野が失踪してしまう

自信作のY邸を放棄して失踪した吉野。

プライドを傷つけられた青瀬は吉野を追います。

唯一の手掛かりが、タウト作の椅子でした

吉野を追う作業は、タウトの生きざまをなぞる作業でもありました

タウトを研究する新聞記者の力を借り

吉野の過去をつかみます。



かたや岡嶋は、画家の故人藤宮春子の作品を展示する美術館の建設のコンペに

食い込むことに成功し、自分の代表作を残すべく奮闘していた。

しかし、大手事務所との競合や建設をめぐる政争に巻き込まれる



吉野の過去と設計士としての矜持とタウトの生きざまが交差していきます

そしてそれが「Y邸」として集約されていくと。。





横山秀夫といえば、「クライマーズハイ」「64」と読みましたが

クライマーズハイは、生涯5本の指に入るくらい読まされる本でした

64も相当に面白かった。



そして期待して読んだノースライト

中盤までは、作者の思惑がわからず主人公に感情移入もできないまま

進んでいき、これははずれかな?と思って読んでいきましたが、

ラスト100ページで盛り上がっていきます

そしてラストにはなんとも言えない感慨にふけることになりました。



NHKでドラマ化されているということでキャスティングを確認したら

主人公青瀬・・西島秀樹

建築事務所長、岡島・・北村一輝

失踪した吉野・・伊藤淳史

青瀬の妻・・宮沢りえ



このキャスティングけっこう気に入ってます














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蟻の棲み家 望月涼子 頭よろしおすなあ

2023-02-27 11:34:52 | 読んだ本の紹介

蟻の棲み家 望月涼子



ブックオフでお勧めにあったので買ってみました

女性の著者なのが気になりましたが読んでみました。

男性と女性では感性が違うので、同性以上にあうあわないがありますね

文体一つとっても、合わない人います。

今回はどうでしょうか?


ストーリー

主人公の雑誌記者、木部美智子が東京中野区で起こった殺人事件に迫ります。



冒頭、東京下町の小便が匂うような貧民街から物語が始まります。

吉沢末男は、シングルマザーの元に生まれ、妹の面倒を見て育つのですが

母親は、売春で男を引っ張り込むのが唯一の収入源。

DVの母親から妹を護り、まじめに生きようとする末男であったが

世間の風は冷たく、末男を翻弄する。



下町の弁当会社の工場長のもとに、弁当に異物が混入していると

クレーマーが脅迫におよんでいた。

その事件を取材する木部美智子。

クレーマーは、工場に務めるパートの娘、愛理とチンピラ海人であったが

その裏で、慶応大学の長谷川翼が愛理と海人を操っていた。

翼は、裏カジノで借金を重ね闇金から追われていたのであった。

弁当会社の恐喝くらいでは借金を返せない翼は、焦っていた。



ある日、東京下町で売春婦2人が銃殺されるという事件が発生。

犯人は、大手菓子メーカーを脅迫します。

3人目の被害者を出したくなかったら2億払えと。



ぐれていた末男は、街中で妹の友達であった愛理と出会います

愛理に誘われるまま、翼のマンションに逃げ込みます。

翼と末男は共謀し、菓子メーカーの脅迫を計画したのでした。

そんな中、川の土手で海人の死体が見つかります。



稚拙な脅迫事件で警察は、すぐに弁当工場の恐喝との関連を見抜きます。

末男、翼、愛理が警察に逮捕されます。

警察は、売春婦と海人を殺したのは、末男か翼か?

取り調べをすすめます。



かたや、記者の木部美智子は、弁当会社の恐喝事件から

事件の登場人物の詳細な過去を洗い出していきます。

弁当会社の工場長、パート従業員、娘の愛理、

末男の妹、被害者の売春婦、翼の家族

過去をたどると一つの線が見えてきました。

それは警察が追っていたものとシンクロするはずだったのですが・・



とまあこんな感じ

本の帯には、大どんでん返しのロワールミステリーとありますが

たしかにどんでん返しがありました。

しかし、しょうもないミステリーにありがちな

どんでん返しを目的にした、叙述トリックを駆使して

実は、犯人はこいつでしたみたいな

作者のやってやった感のある3流作品とは違いました。

どんでん返しには、そんなおおきな意味はありません

この作者は、一旦歯車が狂った底辺にうごめく人間は

絶対に這い上がれない現状を伝えたかったように感じます

貧乏人は、一生貧乏人なんです。一発逆転なんかありえない。

そんな蟻の棲家でうごめく底辺の人間を描いてます。

それは、良いのですが

いかんせん、読みにくい文体です

簡単に言うと、ええ格好しいの文体。

イキって格好いい、頭のよさげな文章を書こうという

作家の自慢げな顔が、思い浮かんでげんなりします

普通の文体で書けばいいのに

自分を頭がいいように見せたいんでしょうね



ということで、女の作家とは波長が合わないという

ジンクスを打ち破ることができませんでした。



ストーリー自体は面白かったですよ。

一読の価値はあるかもです。





























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しょせん他人事ですから

2023-02-13 11:25:12 | 読んだ本の紹介
しょせん他人事ですから~とある弁護士の本音の仕事~



本屋で見つけて読んでみたのですが

なかなか面白かったです



1巻のあらすじ

SNSで人気ブログを運営している主婦、桐原さん

ある日「人妻風俗で働いている」など誹謗中傷に加え

名前や電話番号までさらされ、炎上。



こまった桐原さんは、弁護士の無料相談に相談にいきます

応対した保田弁護士は、座右の銘が「他人事」という弁護士

桐原さんに、開示請求しても金がかかるだけ

無視すればすぐに収まりますよとにべもない応対

しかし、追い詰められた桐原さんは犯人を暴かないと解決しない。

犯人を割り出すために「開示請求」へ



桐原さんの本気をうけて保田弁護士は開示請求へ踏み切ります

判明した犯人はなんと、同じマンションに住むママ友でした

ママ友に謝罪と損害賠償を請求する訴訟を起こす桐原さん。

裁判所は、ママ友に謝罪と損害賠償100万円を支払う和議を提案する



ママ友は夫にも内緒で、自分だけで処理しようと

賠償金の分割払いで受け入れる。謝罪も口先だけでした。

納得がいかない桐原さんでしたが、司法の力もここまでとあきらめていました。

しかし保田弁護士は、このままでは終わりませんよとほくそえみます



横着なママ友は、裁判所の命令の賠償金の分割払いを滞ります

その瞬間、保田弁護士は次の一手、強制執行に

執行官は、朝1番ママ友の家に訪れ有無を言わさず

動産の差し押さえに取りかかります。その場にはママ友の夫もいました

果たしてどうなる?



こんな感じです

保田弁護士のやる気の無い態度が、依頼者が本気になったとたん

本気モードになるのが、なかなか面白かったです

わたしも、こんなくそブログ書いてますので

常に炎上の危機に面してるわけですが

幸か不幸か、まったく閲覧数も増えることなく

読者も顔を合わせたとことは無いですが、顔見知りみたいな方ばかり

特に炎上するような過激な話もなく

恥をさらしているだけですのでなんですが

これから、こういう状況に追い込まれることもあるかもしれませんので

参考にしたいと思います







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罪の声 なかなかおもろい

2023-02-09 15:24:21 | 読んだ本の紹介
『罪の声』(つみのこえ)は、塩田武士のサスペンス小説。2016年発表。講談社刊。

グリコ・森永事件をモチーフとしている



ストーリー

京都市内の紳士服テーラーの曽根俊也が実家の父親の遺品の中から

カセットテープとノートを見つける。

カセットテープには子供の声で場所を指定する声が入っていた。

ノートには、英文で書かれている菓子メーカー「ギンガ」「萬堂」の文字があった

俊哉は、テープの声が31年前の「ギン萬事件」につかわれていたものと気づく

ギン萬事件とは、怪盗21面相をなのる集団が、菓子に青酸を仕込み

ギンガや萬堂を相手に多額の金品を脅迫したいまだ未解決の大事件である。。

俊也は亡くなった、父親の友達の堀田に相談する。

堀田は、ノートの持ち主は俊也の伯父達夫ではないかと考える

当時の記憶を頼りに、俊也は堀田の協力を得て達夫の足取りを追う

それは、自分の親戚が未曾有の大事件の犯人であるのかどうかを確かめる

旅であった。

かたや、大日新聞の記者阿久津は、文化部でどくにもくすりにもならない記事を書いていたが

社会部のデスク鳥居に目をつけられ、ギン萬事件の洗い直しを命じられる。

事件当時ギン萬事件を追っていた、元記者水島の協力を得て当時の犯人の足取りを追う。

一つ一つ手がかりを追ううちに、当時の状況が明らかになっていく

31年の時を経て、同時にギン萬事件を追い始める俊也と阿久津。

やがて2人はお互いの存在を知ることになる。

そして警察も明かすことができなかったギン萬事件の全貌が明らかになるのだが・・



とまあこんな感じです

実際にあったグリコ森永事件をモチーフに、判明している事件の内容を

忠実になぞって、フィクションとして犯人像を描いてます。

グリコ森永事件は、1984から1985年にかけての事件で

私はちょうど学生でふらふら遊んでいた時代の事件

菓子に青酸を注入するという恐ろしい事件で

当時は、グリコ森永の製品が市場から消える事態になりました

犯人と目される、きつね目の男っていうのが連日テレビにながされて

あの顔は脳裏に焼き付いてますね

現実世界では、結局犯人は捕まえることができなかった

身代金も結局は手に入れることができなかったとの認識でしたが

この小説を読んで、株を使えば実際の現金の受けわたしをしなくても

合法的に利益を得る方法があるとわかりました。

簡単にいうと、グリコの菓子に青酸を入れたとメディアに公表すれば

翌日のグリコの株価はドスンとおちますから

カラ売りを仕掛けていれば莫大な利益を得ることができる

今でこそ、取引は監視されてますが

当時は好き放題できたのではないでしょうか



実際の事件をつかって、うまくフィクションにまとめてありますね

書き方も緻密で非常に読みやすいです。

映画化もされてますね。阿久津記者の小栗旬はナイスなキャスティグだと思います

一回見て見ようっと























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八甲田山死の彷徨

2023-02-06 06:38:38 | 読んだ本の紹介

八甲田山死の彷徨 新田次郎



1971年の小説ですね。1977年に映画化されてます。

北大路欣也さんの「天は我を見放した」というセリフが一世を風靡しました



1902年日露戦争前夜、青森県八甲田山にて行われた雪中行軍訓練時の事故を

描いた小説です

それは1月24日に起こりました。ちょうど先週の10数年に一度という大寒波と

時を同じくしてて因縁を感じました



あらすじ

弘前第八師団の第四旅団本部で、旅団長の友田少将と参謀長の中林大佐が

青森歩兵第五連隊と弘前歩兵第三十一連隊の連隊長以下を集めて会議を開いた。

議題は八甲田の雪中行軍演習であった。

ロシアの満州への進出で日露関係が緊迫して、第八師団では対露戦の準備に入っていた。

そこで課題として参謀長が挙げたのは寒地装備と寒地訓練の不足であった。

相手は零下40度の雪原でも闘えるロシア軍であり、日本軍にはそのような経験が無いので、

極寒対策や雪中行軍の注意点及び装備品の研究を行うために厳冬期の八甲田山を行軍して調査を実施するものであった。



青森歩兵第5連隊は神田大尉が責任者となり、雪中行軍を仕切り

青森側から八甲田山に入り田代温泉で泊まりさらに野営1泊で帰還する計画であった

弘前歩兵第31連隊は、徳島大尉が責任者で弘前から十和田湖を通り青森市に抜ける行程を計画。

途中ですれ違うことを、お互いが約束として意識していたと描いてありましたね



神田大尉は優秀な将校であったが、上官である山田少佐がよこから口を出し

中隊編成と大規模な行軍となる。

また拙速な準備をしいられ、経験不足であることも災いした



かたや徳島大尉は、雪中行軍の経験者で綿密な下準備を行い小規模な小隊編成としていた。

また地元の人間を案内役に雇用もしていた。



そして1月24日、記録的な寒波に見舞われた八甲田山は、神田、徳島に襲い掛かる。

神田中隊は、猛吹雪の中道を見失う。意を決して撤退を山田少佐に具申するも

山田少佐は反対し、指揮命令系統が乱れ立往生となる。

映画では、あまりの寒さにより脳がおかしくなり、熱さを感じ着ているものを脱ぎ捨てるという

まさに「天は我を見放した」と神田大尉が慟哭する結果へ

数多くの死傷者を出し失敗に終わります

かたや、徳島大尉は無謀な動きをせず、地元の案内役の指示に従い難を逃れる。





無能な上官の指示に抗えず、準備を怠った神田大尉。

それはすなわち冬山を軽んじていたことになるのでしょうか

どこにでもあるような話

日本の政治家も同じか

無能な総理。いくらスタッフが優秀でもねえ

やることやることが裏目にでて、だれも助けようとしない

自分のことを優秀だと思ってる親ばか

山田少佐は、生き残りましたが自責の念から自決しております。

無能な総理には、自決するまえに退陣したほうがええんではないの

親子なかよく、広島で余生をお過ごしください。









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BLUE GIANT 音の聞こえる漫画

2023-02-03 06:41:34 | 読んだ本の紹介

BLUE GIANT 石塚真一



いまさらのBLUE GIANTです

作者の石塚先生は、山の漫画「岳」を書いておられますね

「岳」の話は、拙ブログでも書いてますので

興味のある方は探して読んでみてくださいませ

さて「BLUE GIANT」ですが青色巨星の事です。

色は冷たい青色ですが、赤く燃える太陽よりもずっと熱い温度の高い星です

ビッグコミックで2013年から連載が続いているJAZZ漫画

数々の賞に輝いてます。

当時から、熱い熱量の漫画で続きが気になってしょうがなかった

いつかまとめて読みたいなって思ってたのですが

去年の年末、近所の古本屋で1~10巻(高校から東京上京編)をまとめて売ってて

正月休みに読もうと思って大人買いしました。



まずはストーリーから

仙台に住む高校生、宮本大は、まっすぐな性格で何事にも真剣に取り組む

好青年だが将来に対する希望がなく、漠然とバスケットに打ち込んでいた

そんなある日、ジャズの演奏を目にしてサックスの魅力に取り込まれる



サックスを買うためにバイトに励む姿を見た兄が楽器ショップで一番高い

サックスをローンで購入し大にプレゼントする。

サックスを手に入れた大は毎日毎日雨の日も雪の日も河原でサックスを練習する

楽器店の店主から音楽教室の由井を紹介してもらう

由井は、ヘタではあるが大の持っている素質にひかれ、大を指導する



プロのJAZZプレーヤーになることを決意した大は、東京へ出ることに

幼馴染の大学生、玉田の下宿に転がり込み、バイトをしながら

夜の河原でサックスの練習に励む



ある日、ライブハウスで天才ピアニスト沢辺と出会う

沢辺も大の才能に引かれ、2人でバンドを結成することに

紆余曲折があり、玉田が素人ながらドラマーとして参加し

ピアノ、サックス、ドラムのJAZZバンドJASSを結成する。



血の出るような練習を重ね、また人との出会いを重ね

大や沢辺、玉田の才能に気づいた大人たちが奔走し

そして、ライブハウス「SO BLUE」でのライブが実現することに

「SO BLUE」は海外や国内の超一流のジャズミュージシャンが集う

超一流のライブハウスであり、新人の登竜門でもあった。

そして、ライブ当日の日・・・



とまあこんな感じの熱い青春物語

大という若いサックスプレーヤーの成長譚です

いろんなスポーツではありますね

スラムダンクしかり、柔道物語しかり

未経験の素人が、努力を重ねその才能を開花させる話

スポーツでは描きやすいテーマかもしれませんが

音楽物は難しいですね

だって漫画は音が聞こえないから・・・



と思っていたら

この本は違いました

読んでると、音が聞こえてくるのです

鳴っていないのに胸の中に音が鳴り響く

手に汗を握る熱い熱量が伝わってきますぞ

そして、東京編のラスト10巻は涙無くしては読めません

どうしてそういう展開にするのか!?

涙をこらえて、次章BLUE JIANT SUPREME(欧州編)へと

続くのですが

この熱量に耐えられる心の準備をしてからでないと踏み込めません

そのくらい覚悟のいる漫画です

是非お読みください













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野良犬の値段

2023-01-30 06:28:00 | 読んだ本の紹介

野良犬の値段 百田尚樹



百田さんの本は、「永遠の0」や「海賊と呼ばれた男」を読みましたが

どちらも面白かったです

百田さんは、探偵ナイトスクープの放送作家を長年やられてたので

なんとなく親しみ深い

そんな百田さんが初めて書いたミステリーです



あらすじは

突如としてネット上に現れた、謎の「誘拐サイト」。

<私たちが誘拐したのは以下の人物です>

という文言とともにサイトで公開されたのは、

6人のみすぼらしい男たちの名前と顔写真だった。

果たしてこれは事件なのかイタズラなのか。

そして写真の男たちは何者なのか。

半信半疑の警察、メディア、ネット住民たちを尻目に、

誘拐サイトは“驚くべき相手”に身代金を要求する――。

日本全体を巻き込む、かつてない「劇場型犯罪」が幕を開ける!

とまあこんな感じ



もちっと詳しく

謎のサイトで、誘拐犯がホームレスを誘拐したことを公表します

世間は、やらせかと相手にしませんが

じょじょに口コミで評判になり閲覧者が増えていきます

そして、犯人は新聞社、テレビ局、出版社へ身代金を要求し

金を払わないとホームレスを1人づつ殺すと脅迫します

全く縁もゆかりもない、ホームレスの命に新聞社、出版社、テレビ局は金を払うのか

まったく相手にしない新聞社、出版社とテレビ局

犯人を非難するばかり、国民の金で運営している企業がわけのわからない

ホームレスの命を救うために金を出すわけにはいかない

その発言に、世の中のほとんどが納得していたが

ホームレスの1人が、本当に殺され

切断された頭部が見つかったことで、世間の風向きが一気に変わります

ホームレスの命は、1円の値打もないのか?



ここから、犯人と新聞社、テレビ局と警察の攻防が始まります

各々の思惑が交差するのですが

テレビ局に長年おられた、百田さんらしい

テレビ局や新聞社の上層部が考えそうなことを赤裸々に描いていきます

某テレビ局の24時間テレビを揶揄してるのは本当に面白い

何十億ものCM広告をもらい、出演者には何千万ものギャラが発生し

集まった募金が1億円って笑える。とんだ茶番



ミステリーとしては、余分で甘い部分が多いですが

一気に読ませます。面白い

しかしこの犯罪は、実際に起こったらどうなるのか

本当に興味深いです

その辺に寝っ転がってる、ホームレスのおっさんを誘拐して

なんの関係もない、メディアに身代金を出させるというのは

いいアイデアだと、しきりに感心しながら読んでました

自分が犯人だったら。。

なかなか面白いです









































































































































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新しい戦前 ファシズムが忍び寄る

2023-01-11 10:20:21 | 読んだ本の紹介

1月11日付けの朝日新聞の天声人語で、1991年のリトアニア独立時における
ソ連軍の侵攻による妨害について書いてありました。
大国は「国家と呼ばれる組織の意味はその領土を拡大させ不動にすることである」という
理屈を盾に小国を蹂躙する。という話
現在のウクライナ情勢と同じ。
天声人語では、タモリの「新しい戦前」という発言を取り上げてます

そこで思い出したのですが
中学のころ読んだ本で、心に残ってる一節があります

眉村卓の「狙われた学園」
主人公関の通う学園では、管理教育に反抗するこまかないたずらが横行していた
生徒会を牛耳る高見沢は、そうしたいたずらを取り締まるべく
「校内パトロール」制度を導入し、パトロール員である生徒会の役員に
他の生徒を取り締まる権限を与えた。
生徒会の活動は、どんどんエスカレートしていく

それを聞いた関の父親の発言です

「取り締まるものと取り締まられるもの、正しいものとそうでないものを、どういう基準で決めるんだね?、
こういうことは、ひとりでにエスカレートする。
生徒たちはいまのところ、そのパトロールなるものが、
正しい側に立っているように考えているのだろうが、
やがて、正義の名のもとに、いろんなことがおこなわれるようになる。
みんなはそのたびに、まあこの程度まではしかたがないと一歩ずつ譲歩し、
あるときはっと気がつくと、身動きできなくなっているんだ。
それがファッショというものだ」(眉村卓「ねらわれた学園」

この1節が忘れられない。

眉村卓は昭和9年うまれ、まさに第2次大戦前の日本が軍国主義に
向かっていた状況を知っているので、それを憂い、警告を発してたようです。

ロシアの力によるウクライナへの侵攻、
中国の南シナ海や尖閣への領土拡大の野望などを理由に
防衛の名のもとに軍国化が進んでいく

今の日本がまさに、眉村卓が恐れていた状況に近づいてきた
いみじくもタモリ氏が「新たな戦前」と言ったのも
同じ気持ちなのでしょうか


天声人語氏もリトアニアの独立指導者の民主平和を静かに説く姿勢を例に、
有事をめぐる懸念が高まる今、冷静さを求める政治の重みを思うと
締めくくってます。
ぬるま湯につかっているカエルが、いい気持ちになってるうちに
熱湯となって死んでしまうという
そういう状況にならないように、気をつけないとですね





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