『黒書院の六兵衛』(くろしょいんのろくべえ)は、浅田次郎による日本の時代小
説。
Wikiから
江戸城不戦開城の史実を舞台にしたフィクション時代小説で、
一切口を利かぬまま江戸城内に居座り続ける御書院番士・的矢六兵衛と、
六兵衛排除を任じられた官軍側尾張藩下級藩士・加倉井隼人との交情を描いた。
あらすじ
慶応4年(1868年)3月、勝海舟が西郷隆盛に談判し、江戸城の明け渡しが決まった。
期日が迫る中、尾張徳川家江戸定府徒組頭の加倉井隼人は、開城のため官軍の先鋒隊
長として送り込まれた。
勝海舟に伴われ御書院番の宿直部屋で見たのは、
無言で居座る御書院番士・的矢六兵衛の姿だった。
隼人は勝海舟から、御城明け渡しの勅使が到着するまでに六兵衛を城の外に出すよう
に頼まれる。
西郷との約束で、城内で些細な悶着も起こすことはできない。
力ずくで六兵衛を引きずり出すと江戸城が戦になるため、
隼人はあの手この手の策を講じて説得を試みる。
しかし六兵衛は、日を追うごとに城の中枢部へと居座る部屋を移していく。
転載ここまで
浅田さんの時代小説。なかなかおもしろかったです。
1868年、私が生まれるほんの100年ほど前の話なんですね
大政奉還、尊王攘夷、社会で勉強した、歴史の出来事から100年しか経っていない
という事実に
まずはびっくり
政権が侍から公家に返される。侍の世の中が終わる日の話。
勝海舟のおかげで平和裏に江戸城が公家に明け渡されるのだが
その江戸城に一人、座り込みを決め込む侍が一人。
しかし、読み進むうちに、的矢六兵衛の正体が少しづつわかってきます
的矢六兵衛は、実は本当の六兵衛ではなく、
六兵衛の地位を金で買った、金あげ侍だったのです
ある日を境に入れ替わった六兵衛
本当の六兵衛はどこへ消えたのか
江戸すみの尾張藩士、下級武士の加倉井隼人は、主命にて江戸城明け渡しの
先遣隊として派遣されるのですが
侍側の勝海舟に、六兵衛の始末を頼まれ、六兵衛を脅しすかし、宥めおだてて
動かそうとするのですがまったく意に介さない六兵衛
元の上司、同僚から情報を集め、六兵衛が金でその身分を買ったというところまでは
わかるのですが・・だから何なの
一体六兵衛は何ものなのか
六兵衛の上司、そのまた上の上司、そのまた上の殿様、の説得にも一切応じない
だんまりを決め込む六兵衛
江戸城の奥深く、身分相応の部屋があるのですが
六兵衛は日を追うごとに、高貴な人用の部屋へ体を移していきます
そして江戸城から侍が退去し、公家の親玉天皇が江戸城入りした時には
かつては侍の将軍が使う黒書院に陣取る始末
いったい彼は何者で、何が目的なのか?
黙って切り捨てるなり、みんなでけり倒して運び出すなりすればいいのに
と思って読んでました。
周りの隼人以下、勝海舟や福地源一郎、西郷隆盛、など幕末の有名人が
六兵衛に振り回されるさまがユーモラスに描いてあります。
そして、最後
江戸城に入った、明治天皇に相対する六兵衛
そして六兵衛は・・・・
その姿を見守る、隼人は・・・
200年続いた侍の世界が、なぜ終了したのか
侍とはいったい何なのかを問うた本でした
面白かったです