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ぶろぐ猫の目

笑う門には福来る・・

実験中

お腹召しませ 浅田次郎

2024-09-13 15:03:55 | 読んだ本の紹介

お腹召しませ 浅田次郎



あとがきにも書かれてましたが

浅田さんの歴史小説は、時期が幕末のものばかりだそうです

そうしたほうが、時代背景を勉強する量が少なくて済むって。

200年以上続いていた徳川政権。いろいろな不都合が明るみにでて

いよいよほころびをみせ始める時代です。



6編の短編とそれに付随する、浅田氏の幼少時代祖父から受け継いだ

昔話をセットで書かれてます。

表題にもなった「お腹召しませ」は、

高津又兵衛の家督を譲った入り婿が、公金を横領し遊女と駆け落ちしてしまう。

お家を残すには腹を切るしかないと上司から説得される又兵衛。

妻や母も、しれっと「早くお腹を召しませ」とせっついてくる。

武士のたしなみとして、腹を切ることは怖くはない。

が、又兵衛の下した決断は?



安芸守様御難事

14代安芸守、茂勲は、老いた側役から「斜籠(はすかご)」というのを

練習させられる。それは庭に置かれた籠に飛び込み逃げる

というもの。なぜそんなことをするのかその理由は誰に聞いても教えてもらえない。

ある夜、老中の屋敷に呼ばれる安芸守。側用人が「今日こそ斜籠を披露するとき」と

言い出します。わけがわからない茂勲は・・・



とまあこのような話が6話続くのですが

なかなか面白い。

短い話なのですぐに読めますが、話の先がなかなか読めないw

どんでん返しというのもちょっと違うか?

幕末当時の時代背景、徳川の末期薩長の台頭の中で武士とは侍とはいったい何だったのか

を物悲しくもおかしく描いてますね。

お腹召しませの中で、腹を切るのは怖くない武士としてそう教育されてきたという

セリフがありましたが、武士とは侍とはそういうものなのか

いっぽう、幼友達に介錯を頼むと「人なんか切れるか!」と断られる

それも武士なのか

200年続いた武士道ですが、連綿とつづいているものもあり

時代をおって風化していくものもあるていうことでしょうか



まあ面白かったです

















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封印 黒川博行

2024-09-12 11:01:44 | 読んだ本の紹介



封印 黒川博行





黒川御大の本をよみなおしてますが

今回は「封印」1992年の作品。30年以上前の作品ですね





ストーリー



元プロボクサーの酒井は、日本ランカーまで行ったが網膜剥離で

ボクサーとしての将来をあきらめる。

腐っていた酒井だがパチンコ機器卸の津村に拾われ釘師として仕込まれる

そんな折、津村の取引先から津村との取引を断るという話が方々から巻き上がる

ある日やくざの伊島が現れ、酒井に「溝口から預かったものをだせ」と脅される

溝口は、かつての同僚だが数年前に辞めていて、数か月前に町で出会って

1回飲んだだけの間柄であった

意味が分からない酒井は、津村に相談する

津村は、心当たりに当たってみると言い残し失踪してしまう

酒井は、津村の身を案じ、独自で津村探し出そうとするが

伊島以外のやくざが現れ、危機に陥っていく

津村の娘や、大阪府警の不良刑事の助けを借りて

やくざ組織に立ち向かっていくのですが、そこには大きな陰謀が渦巻いるのでした。

果たして、酒井は津村を助けることができるのか!?



とまあこんな感じ

じわじわと脅しをかけるやくざの怖さに、腕っぷし一つで対抗する酒井

敵の敵は味方か?インテリやくざの伊島がいい感じの立ち回りを見せます

酒井が、ボクサーの封印を解いてやくざと立ち回るシーンは

迫力がありますね。

ラストの謎解きもいい感じ。一気に読ませました



















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迅雷

2024-08-30 08:51:08 | 読んだ本の紹介

最近、黒川御大の本を読みなおしてます

疫病神シリーズを全巻読んで、堀内・伊達の暴対コンビシリーズも

全部読み返しました。

しょうもない小説読むより、黒川節は面白い

ストレス発散にぴったりです。



そんな中、黒川御大の昔の作品も読み直してます

今回は「迅雷」

1995年の作品ということで約30年前の作品ですが

面白かったです



あらすじから

主人公、友永はダライコ屋という鉄くずの回収業を一本独鈷でやっていたが

事故にあい、入院する羽目に

トラックを失い、仕事にあぶれた友永に声をかけたのが

入院先で知り合った、稲垣。

稲垣からいい仕事があると持ち掛けられたのが

営利誘拐

それも、やくざを誘拐するという

やくざは、金回りもよく、警察に連絡することもない

誘拐にもってこいだという

友永はもっともだと思い、誘いにのる。

稲垣の連れという日本拳法の達人ケンと3人で事を起こす



最初の誘拐に成功し味をしめた3人は再度、やくざの組長を誘拐する

しかし敵もさるもの、身代金を受け取る際失敗し

ケンが拉致される



情報をあつめケンの居場所を突き止め、ケンを奪還するが

満身創痍のケンを連れ、大阪の街を激走する3人

はたして身代金を手に入れることができるのか?



とまあこんな感じですが

大学の理事長戦というアクセントもかませながら

テンポよく物語が展開します

やくざ相手の暴力沙汰にひやひやしながら

3人の無事を祈りながら読んでました

ラストがまたよかった

30年も前の小説とは思えません

面白かったです

さすが!













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記念日 anniversary 香納諒一

2024-06-06 06:54:55 | 読んだ本の紹介

記念日 anniversary 香納諒一



康太郎さんおすすめの香納諒一の本を探しましたが

見つからず、これを読んでみました



あらすじ

皆、嘘をついている。

記憶を無くした状態で、横浜中華街の安ホテルの一室で目覚めた男。

そばには、アンと名乗る女がいた。

男が車から投げ出されたところを偶然見かけ、助けたのだという。

俺はいったい誰なのか。

なぜ、そんな目に遭ったのか。

記憶を取り戻すべく男はアンを頼りに行動を起こすが、

得体の知れぬ複数の組織が男を陥れようと蠢き出す──。





結構分厚い本で読むのに時間がかかったw



自分が何者かわからない。名前も国籍もわからない

でも日本語をしゃべり中国語もわかる、英語も問題ない

いったい自分は何者なのか?



わからないまま、横浜の街を歩くと

日本の警察、中国マフィア、CIAが男を追う

必死で逃げながら、記憶の糸をたどるが・・・



とまあこんな感じのハードボイルド小説

登場人物が多すぎて場面が右往左往するし

そのくせ、男が騒動に巻き込まれる動機が弱すぎて

感情移入できない

追いつ追われつ、危機に遭遇するが

同じことの繰り返しでページを稼いでいる感はんぱない

その割に、うまいこと危機を脱する

あっそうっていう感じ



しかしラストの展開は面白かった

そう来るだろうなって思ってたら

思った通りになって、納得。



今度は康太郎さんのおすすめの本を読んでみたいです







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海の稜線 黒川博行著

2024-05-28 09:15:17 | 読んだ本の紹介

海の稜線



黒川御大の初期、1987年の発行作品。

携帯電話も監視カメラもない時代、足で事件解決する



大阪府警の文田刑事、通称ブンさん、総田部長刑事、通称総長

の凸凹コンビに東京から来たキャリアの萩原警部補。

この3人が難事件に挑む。



あらすじ

名神高速で、自動車の爆破事故がおきる。

乗車していた男女が黒焦げ死体となって見つかる。

身元の判明しない遺体。捜査は難航するが

ちょっとしたきっかけから、女の身元が判明する。

そこで事件が、ある海難事故に関係していることが

捜査線上にうかんできた。



船主、傭船主、造船主、荷主、日本の海運業の仕組みが

詳細に描かれています

あとがきでは、黒川御大の親父さんが一隻船長で

海運業の裏表を知り尽くしており

黒川御大も親父さんを手伝っていたそうです



現在の時代からは想像もできないバブル崩壊後の海運不況の

深刻さがリアルにしのばれる作品となってますね



東京から来たキャリアの萩原が年上のブンと

大阪と東京の文化の違いで角突き合わせるのもおもしろい

総長の美人の娘との恋のさや当てもいいアクセント。



足で稼ぐブンと総長、頭脳で謎を解く萩原、3人のでこぼこ

タッグが一歩ずつ真相に近づいていくのが小気味いいですぞ

それにラストがなんかいい感じです

ぜひお読みください。















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絵が殺した

2024-05-22 09:18:29 | 読んだ本の紹介

絵が殺した 黒川博行

黒川御大の本を読み返してますが
大阪府警の初期シリーズ。
切れ者吉永、昼行燈小沢コンビが難事件に挑みます。

時は1990年代 バブル終焉期
発端は、大阪南部の山林の竹やぶで白骨遺体が見つかり
大阪府警が捜査に乗り出す
去年福井の断崖で行方不明になった京都の画家であることがわかり
吉永と小沢の凸凹コンビが動き出す

画家の過去を洗ううちに、画家が過去の贋作事件に
かかわっていたことがわかる。
過去の関係者を当たるうちに、関係者と目される画商が金沢で死体みつかる
連続殺人かと捜査本部が色めき立つ中
吉永は風変りな画商矢野と出会う。
矢野は京都の日本画界隈の裏事情に通じており
なにかと、吉永に知恵を授ける。

いったい矢野は何者なのか?
目的は何か?

とまあこんな感じ
1990年代初頭、携帯電話もなく
まさに足で情報を集める時代
京都から、福井、山口と広域にわたる捜査がすすみます
連続殺人で、登場人物が限られる中
トリックとアリバイを崩していく吉永。
犯人を突き止めるのだが・・
さすがに初期の作品で粗削りですが
画商の矢野がとぼけた会話でいい味を出してます。

あとがきで黒川御大が書かれてました
当時は、バブルの終焉期
バブル時代は、まさに狂騒だったと
土地や株がうなぎ上りで上がっていく時代
日本画もその例にもれず、芸術品というより
資産として売買されていたという話。
黒川御大も、土地や日本画には手を出せなかったが
株はそれなりに買っていたと
それが一瞬にして消えてしまったという
それから、本腰を入れて作家活動に入ったというような話

なんか今の状況を反省せねば
オールカントリーとかで浮かれてる場合ちゃいますね
でも資産を増やさないと、老後が心配ですしねえ
おっとそんなことはどうでもいいんです

なかなか趣のある作品でした











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燻り 黒川博行

2024-05-16 15:05:29 | 読んだ本の紹介

燻り 黒川博行

黒川御大の本を読み直してます
今回は、短編集。
9編の短編です。

人生がうまくいかず、社会の底辺で燻っている人たちの話

警察が成績を上げるため暴力団に拳銃を差し出せとたのみ、
燻っている下っ端に拳銃をコインロッカーに入れるように言う幹部
しかし運の悪いことに・・

大企業の社長の娘の濡れ場のビデオを入手した、興信所の所長
金にしようと社長をゆするが・・

パチンコのデーター書き換えの証拠のCDROMを
盗み出し、オーナーをゆするが・・

成金が死に、集めた骨董品を遺品整理に出すが
遺品の中に値打ち物の大皿を見つけた骨董商は、安く買いたたく。
数日後、オークションに流れた大皿が実は地方で強盗致傷事件の際盗まれたものと判明。
皿の出先を追ううちに・・

美大の教授の妻が、テニス教室のコーチといるところを写真に撮られ
不倫を疑われるが、その犯人は意外な人物・・

寺の住職の頭蓋骨の白骨がみつかる。住職はバブルがはじけ多額の借金を背負っていた
住職には多額の保険金がかかっており、受取人は若い妻であった。
疑った警察が妻を監視するが妻の前に現れたのは意外な人物であった。

年老いて糖尿を患っている夫。足を切断するなど余命いくばくもない
若い後妻は面倒を見る気もなく、浮気相手に愚痴る。
浮気相手の男は、夫を自殺に見せかけて殺すのだが・・

空き巣の前科を持つ男。仮出所したが空き巣を繰り返していた。
ある日、男の前に刑事が現れ別の強盗殺人のアリバイをきかれるも
男は同時刻にべつの空き巣に入っていた。
答えに窮する男がとった行動は・・

とまあこんな感じ
燻りつつ、一発逆転をねらう輩たち
なかなかそう旨い話は転がっていない
結局は手痛いしっぺ返しを食らうのであった。




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切断 黒川博行

2024-05-15 05:23:24 | 読んだ本の紹介



切断 黒川博行



黒川御大の本を読み返してます

いつもの大阪府警シリーズや疫病神シリーズのように

バディもののミステリーではなく

どちらかというと、大藪晴彦を思わせるような

ハードボイルドな作品でした



冒頭、何者かにより入院中の男が惨殺されます

男の耳がそがれ、耳の中には小指がつっこまれていました。

小指の主は、沢木。取り込み詐欺の罪で服役後、出所して行方知れず。

小指の断面には生体反応がなく、沢木も死んでおり連続殺人となる。



物語は、謎の犯人の男の目線で進んでいきます

男は詐欺事件に絡む故買屋の男を殺し、舌を切り取ります

男は続いて詐欺事件の首謀者の暴力団組長を襲うが未遂に終わる

組長の娘を誘拐し、組長を誘い出し殺そうとするが、またも失敗

娘の局部に故買屋の舌を突っ込み解放する

警察は沢木の犯行を疑うが、切断された小指は沢木が死んでいることを示している

警察は沢木の妹のはるみを追ううちに、事件の真相にたどりつく



とまあこんな感じ

謎の男の視線で物語がすすみ

ハードボイルドに関係者を殺していきます。

道具の用意から始末まで詳細に描いてあり

リアリティがあります。



携帯電話もネットもない時代のクライムサスペンスですが

古臭くない

いつの間にか、犯人に感情移入してます

なかなか面白いですぞ













































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キャッツアイころがった

2024-04-30 07:07:15 | 読んだ本の紹介

キャツアイころがった  黒川博行


第4回サントリーミステリー大賞の受賞作です

緻密な取材で有名な黒川御大。
今回は宝石業界の裏幕を描いてます。
宝石として価値があるのは、ダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、キャッツアイだけだとか
そんな高価なキャッツアイを飲み込んだ顔なしの遺体が滋賀県の余呉湖であがります
顔はつぶされ、指先も切り取られ指紋もない。滋賀県警は威信をかけて捜査に取り組むが
身元すら判明しない。
そんな中、京都で美大生が死んでいるのが見つかる。
美大生の口の中にはキャッツアイ。
滋賀県警、京都府警は連続殺人と断定し、解決に向けて弾みがつくが
そんなおり、大阪の西成のドヤ街で浮浪者が凍死していました。
浮浪者の口からキャッツアイが転がり、大阪府警も入った広域連続殺人事件へと進展します。

美大生の同級生、啓子と弘美は死んだ美大生が殺される直前にインドへ
言っていたことを知っており、原因がインドにあるのではないかと考え、
好奇心からインドへ旅立つ。

滋賀の顔なし遺体と美大生と浮浪者、3人の殺人事件のカギを握るのがキャッツアイ。
キャッツアイの線から容疑者を絞り込もうとするが
宝石というものは正規のルートをもたず密輸入で入ってくるものが多く
有象無象のブローカーが跋扈しており
警察も手をこまねいていた。
インドにむかった啓子と弘美は美大生が描いたスケッチから一人の女性にたどり着く
そこから絡んだ糸がほぐれていきます


うまいこと作ってますね
警察の手が届かないインドでの捜索を女子大生にやらせる手法が上手いです。
まったく違和感なし。ミステリー大賞しかるべしです。
切った張ったの活劇はないですが、足で情報を積み上げる警察の地道な捜査が
まったく進展せず、空回りして読んでるほうも焦りが募ってきますが
インドでの女子大生の活躍が大きなホームランを放つ展開が小気味よいですぞ
ぜひ読んでみて。



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テトロドトキシン

2024-04-22 07:07:22 | 読んだ本の紹介

てとろどときしん 黒川博行


黒川御大の本を読み返してます。今回は『てとろどときしん』(2003年講談社文庫)。
大阪府警の捜査一課の刑事「黒マメ」コンビの二人が活躍するバディー物のミステリー。
大阪弁のボケとツッコミがつぎつぎに飛び出してきて、関西人の私には読みやすい。
出てくる地名も知ってる場所で、土地勘があってよりリアル。

黒豆コンビですがシリーズ化されてます
主人公「私」は、黒木憲造巡査部長で、通称「黒さん」独身ちょんがー。
相棒の「マメちゃん」は亀田淳也。
嫁さんと娘1人。千里の公団に住んでます。
2人は大阪府警捜査一課の刑事でマイペースながらきっちり犯人を追い込んでいくのが
面白いです

競馬か競輪で儲けた豆ちゃんに、フグをくわせろと迫る黒さん。
昔の記憶をたどり「ふぐ膳」に向かうが、店はなくなっていました。
近所の人から話を聞くと「ふぐ膳」がフグの中毒死事件を起こしたことで
一気に廃業に追い込まれたという。
ふぐ膳は地上げにあっていたという話。その跡地にはビルが建ち、1階にステーキハウスが
ステーキハウスのオーナーがふぐ膳の中居であったことに気づいた豆ちゃんは
犯罪のにおいを嗅ぎ取り、黒さんの手を借りて独自に真相を究明する。
表題のテトロドトキシンはフグの毒で猛毒ですね

表題作のほか短編が数本。
どの短編もなかなか面白い。
30年も昔の話なので、携帯電話はないし、監視カメラもありません
もちろんネットもない
そんな中、足で情報(ネタ)を稼ぎ、口で犯人を落とす。
緻密な捜査で事件を解決するミステリーの王道です
面白いです



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八号古墳に消えて 黒川博行

2024-04-18 06:56:15 | 読んだ本の紹介
八号古墳に消えて 黒川博行

いろいろあって疲れてるときには
黒川御大の本に限りますね
2004年の作品ですが、古さを感じさせない
リアルな展開がすごい

あらすじから
考古学の権威・浅川教授の遺体が大阪・八尾の遺跡発掘現場で見つかった。
体内に残された土の成分から、別の場所で殺された後に運ばれたことが判明。
考古学関係者の犯行が疑われ始める。
捜査に乗り出したのは大阪府警の名物刑事、「黒さん」こと黒木と「マメちゃん」こと亀田の“黒マメ”コンビ。
やがて、浅川の裏の顔が明らかになり始めた矢先、またしても発掘現場で不可解な死が。
手がかりは、失踪した研究者が残した写真。
そこには謎の古墳壁画が写されていた。
能天気だが、やるときはやる二人組が学界の闇に隠された真相に迫る

とまあこんな感じ
大阪を舞台に大阪弁で会話が弾む。読んでいて楽しいです
知った地名が出てくると土地勘もあるので、よけいに面白いですね

黒川御大の緻密な取材により考古学界の闇にせまります
特に古墳は、天皇の墓ということで
宮内庁の管轄。簡単に調査発掘のできるものではないそうで
いまだ発掘されていない古墳も多々あるとか

私が幼少期、高松塚古墳が発掘され
きれいな壁画が発見されたニュースはすごかったですね
その壁画が切手シートになった時は
生まれて初めて郵便局に並びましたわ

一発逆転の発見により地位を築いたり財を成したりするのが
名前を上げるのが考古学者たちの夢なんでしょう
なもんで、遺物を偽造する輩が出てきたりするわけですな

そんなどろどろとした考古学界の闇を描きつつ
能天気を装う黒豆コンビが、緻密な捜査で
証拠をひとつずつ積み重ねていく、黒川御大の真骨頂ですね
リアルな展開がすきです

巷にあふれる、映像化されて調子に乗ってる
ミステリー作家の作品の浅薄さには辟易します
そういう時に黒川御大の作品を読むとほっとしますな。



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左手首

2024-03-28 07:10:29 | 読んだ本の紹介

左手首 黒川博行

黒川御大の本を読み返してますが
やっぱ面白いですね

あらすじから
美人局のはずだった。だが、頭の弱い女が誘い込んだのはヤクザで、相棒の男が凄んでも脅しが効かない。
逆ギレするヤクザ。
女は消火器を振り下ろした。バラバラにした死体をいざ埋めようとするが……「左手首」。
解体業者と組んで事故車で稼いでいた損保・車両鑑定人(アジャスター)の悪どい手口……「解体」。
一攫千金か奈落の底か、欲の皮の突っ張った奴らが放つ最後のキツイ一発! なにわ犯罪小説七篇。

転載ここまで
浪速の雑魚犯罪者が陥る陥穽の話
世の中には旨い話はないという・・

他には
堅気が開く賭場を襲撃して賭け金を奪う話。
夫婦がマルチ商法で稼いだ金を強盗する話。
産廃業者の違法投棄をネタに脅迫する話。
ホストあがりの占い師が株券詐欺に関わる話。
元刑事が違法カジノの売上金を警察のガサ入れと騙して奪う話。

いずれも、落ちぶれた小市民が金に目をくらませて
行き当たりばったりに勝負をかけるが、世の中そう甘くなはい
完全犯罪なんかあり得ない
絶対悪事はばれるのだ
警察に追われるのはまだいいほう
やくざに追い詰められるとどうなるのか
怖い話ですぞ

関西弁のピカレスク小説は類を見ませんね
やっぱ黒川御大の本は面白いです



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剱岳 点の記

2024-03-25 09:37:51 | 読んだ本の紹介

剱岳 点の記 新田次郎

あらすじから
明治39年、参謀本部陸地測量部の測量手柴崎芳太郎は、五万分の一地形図作成のために三等三角点網を完成すべく、
北アルプス剱岳への登頂と三角点埋設の至上命令を受ける。当時の剱岳は前人未踏の信仰の山であった。
ほぼ同時期には日本山岳会(当時は山岳会と呼称)が結成され、剱岳初登頂を虎視眈々とねらっていた。
 柴崎は、かって剱岳に挑んだが登頂できなかった先輩の古田盛作ふるたせいさくを訪ねる。
古田は信頼できる案内人として、宇治長次郎を紹介した。
そして柴崎は現地へと向い、宇治長次郎と登頂路を探すが、なかなか見つからない。
そんな中、不思議な行者との出会い、山岳会の小島烏水との出会いがある・・・。

 悪天候や地元の反感、山岳会との葛藤など様々な困難と闘いながら、
柴崎測量隊は山頂をめざして進んでいく。
そして、難行苦行の末、剱岳山頂に至るが、そこで柴崎らが見たものは・・・。

※「点の記」とは - 国家基準点(三角点、水準点)ごとに、点名、所在地、設置年月日、選点者、観測者、
そこに至る順路と略図等を記載したもの。

転載ここまで
日露戦争後、地図を作成するのは軍の仕事であった。
本州で唯一地図が作成されていない空白部が剱岳であった
なぜなら、剱岳は前人未到の針の山であり、地元の立山信仰という宗教上の理由からも
人間が上ることができない山とされていた。

しかし軍はそんなことは関係ないとばかりに柴崎に剱岳の測量を命じる
それは日本山岳会が剱岳初登頂を狙っているという情報を得たためで
軍の威信をかけて初登頂を柴崎に強いるのであった。

地元の案内人長次郎の協力を得て、剱岳周辺から登山口を探すが
針の山と恐れられる剣へ足がかりが見つからず時間が過ぎていく
また地元の立山信仰の信者たちや長野県の役人などが
柴崎の邪魔をする。

あきらめかけた柴崎の前に、不思議な行者が現れ
剣を極めるなら、雪を前に上り雪を背負って帰れという不思議な言葉を
柴崎に与えるのであった

果たして柴崎一行は苦難の果てに剣の頂に到達するのだが
そこで一行が見たものは・・・

という話
明治時代の装備なんか、今とは比較にならないでしょう
藁で編んだ靴に、布製のテント。
アイゼンなんかなく鉄製の爪を草鞋に結び付けて雪山を上る
草鞋で登れない岩は裸足で登らねばならない
そんな時代に、いかにして剱岳に上ったのか?
実話ならではの迫力に満ちた小説でした。

地図を作るというのはどういうことか
ぜひ読んでほしい本です



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人面瘡探偵

2024-02-29 06:56:00 | 読んだ本の紹介

人面瘡探偵  中山七里

古本屋であまりにも奇抜な表紙を見て買ってしまった

あらすじアマゾンから
三津木六兵には秘密がある。子供の頃に負った右肩の怪我、その傷痕がある日突然しゃべりだしたのだ。
人面瘡という怪異であるそれを三津木は「ジンさん」と呼び、いつしか頼れる友人となっていった。
そして現在、相続鑑定人となった三津木に調査依頼が入る。
信州随一の山林王である本城家の当主・蔵之助の死に際し遺産分割協議を行うという。
相続人は尊大な態度の長男・武一郎、享楽主義者の次男・孝次、本城家の良心と目される三男・悦三、
知的障害のある息子と出戻ってきた長女・沙夜子の四人。
さらに家政婦の久瑠実、料理人の沢崎、顧問弁護士の柊など一癖ある人々が待ち構える。

家父長制度が色濃く残る本城家で分割協議がすんなり進むはずがない。
財産の多くを占める山林に希少な鉱物資源が眠ることが判明した夜、蔵が火事に遭う。
翌日、焼け跡から武一郎夫婦の焼死体が発見された。さらに孝次は水車小屋で不可解な死を遂げ……。
一連の経緯を追う三津木。そんな宿主にジンさんは言う。
「俺の趣味にぴったりだ。好きなんだよ、こういう横溝的展開」
さまざまな感情渦巻く本城家で起きる事件の真相とは……!?
転載ここまで


あらすじのとおり
横溝正史の世界観。内容は劣化版犬神家、悪魔の手毬歌ってとこでしょうか
長野の山奥、隔絶された田舎の豪邸で行われる殺人事件に
巻き込まれる、三津木。肩にできた人面瘡、ジンさんが本体をからかいつつ真実に導く
という設定です。
設定はいいんですけどね。いわゆる私が好きなバディー物ですが
私が好きなのは、バディー同士が互いにたりない部分を補いつつ
解決していくというパターン
今回のように、瘤の分際で偉そうにものをいうだけのバディーっていうのは
なんかむかつくだけで
面白みに欠けます

それはさておき、ミステリーとして
登場人物が限られているのに、みんなどんどん死んでいくので
犯人がおのずとわかってしまいます
書いてる本人も、はじめ設定していた犯人ですが、それではあまりにも
突飛すぎるとわかったようで途中で犯人を変えようと必死に
ラストをひねくり回してましたw
ラスト20ページ作者の苦労がしのばれます

こんなやっつけ仕事しているようでは
横溝正史の足元にも及ばないでしょうねえ

わしらが小中学生のころ、ちょうど横溝正史ブームで
犬神家の一族の助清で度肝を抜かれて
ませた連中が横溝正史を読み漁ってました
横溝正史世代にこの本は、あまりにレベルが低いねえ




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コーチ 堂場瞬一

2024-02-20 09:19:30 | 読んだ本の紹介

コーチ 堂場瞬一

古本屋の「店員おすすめ」という棚に置いてあったので
思わず買いました

ストーリー
アマゾンから
期待されながら、行き詰まっている若手刑事たちにコーチ役として派遣される人事課所属の向井。
捜査中のミスに悩む女性刑事、有名な俳優の取り調べに苦戦する刑事、尾行に失敗する刑事。
彼らに適切な助言を与える向井はなぜ刑事課ではなく人事課にいるのか?
三人は向井との関わりを語り合い、彼の過去の謎を探る。
そんな向井の過去と、三人の刑事が取り組むことになったある事件に関連が……?
堂場瞬一が描く刑事たちの人生。

この人の本初めて読みましたが
この人多作ですね、東野さんばりに書いてますね
警察小説とスポーツものがお得意だそうです
今回読んだのは警察ものでしたが

個人の感想として
うすっぺらい小説
ストーリーもとってつけたようなやっつけ仕事
伏線の回収もくそもない
中途半端感半端ない
人気タレントの傷害事件は、その犯罪動機について
思わせぶりなこと書いてて、それには触れないまま終わるし
女子大生殺人事件に至っては、元彼を出してくるのですが
何の意味があるのか?
ページ稼ぎか

だいたい
ロートルの刑事が新人を教育するという設定からして
長岡弘樹さんの「教場」をほうふつとさせます
教場はすごかった。
話の組み立て、展開もすごかったし
主人公の風間のキャラがたってましたからね
そらキムタクでドラマ化されるはずです

それを知ってるとこの本の薄っぺらさ
盛り上がりもどんでん返しもない

黒川博行御大の綿密な下調べで描かれる
警察小説からは想像もできない緩さに
軽薄さに苦笑してしまいます

次を読むことがあるのか?
スポーツものは読んでみたいですけどね







コメント (2)
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