子犬と雨の日の子どもたち
1967年
絵雑誌 “ こどものせかい ”
「あれ? この犬、前もここにいたよね。ずっと前、確か、雨が降っているときに」
「ふふ。何だか、私たちのこと覚えてるみたい」
「まだ帰ってないってことは、やっぱり捨てられちゃったのかな?」
「首輪が付いてないから、野良犬さ」
「でも、あの時と同じように、こんなに尻尾を振ってる。ここでずっと、飼い主を待ってるんじゃないかしら?」
「--やい、お前はまた、どこから来たんだ?」
「わ! そんなにピチャピチャって近寄ってきたら、服が汚れちゃうよ」
「やーい、ずぶぬれ犬!」
「だめ! そんなこと言ったら、かわいそうだよ」
「何だか足がぬれてて、茶色の靴下を履いてるみたいだ」
「あはは、靴下じゃなくて、短足の長靴だよ」
「--ねぇ、あんたの傘を置いてってあげなさいよ」
「え? そんなことしたって、犬は傘を差せないぞ」
「でも、貸してあげて。小さなお家にはなるわ。そうすれば靴下だって、きっと乾くもの。乾いて、また早く走れるようになるよ」
「じゃあ、おまえのを貸してあげれば?」
「あんたの透明の白い傘の方がいいの。だって、向こうから飼い主が来たときに、すぐに見えて走っていけるでしょ」
「あ、見てよ。誰かこっちに走ってくる。僕たちも、そろそろ帰ろう」
---遠き遠き、梅雨の日々の、
遥か私たちの想い出に---
1967年
絵雑誌 “ こどものせかい ”
「あれ? この犬、前もここにいたよね。ずっと前、確か、雨が降っているときに」
「ふふ。何だか、私たちのこと覚えてるみたい」
「まだ帰ってないってことは、やっぱり捨てられちゃったのかな?」
「首輪が付いてないから、野良犬さ」
「でも、あの時と同じように、こんなに尻尾を振ってる。ここでずっと、飼い主を待ってるんじゃないかしら?」
「--やい、お前はまた、どこから来たんだ?」
「わ! そんなにピチャピチャって近寄ってきたら、服が汚れちゃうよ」
「やーい、ずぶぬれ犬!」
「だめ! そんなこと言ったら、かわいそうだよ」
「何だか足がぬれてて、茶色の靴下を履いてるみたいだ」
「あはは、靴下じゃなくて、短足の長靴だよ」
「--ねぇ、あんたの傘を置いてってあげなさいよ」
「え? そんなことしたって、犬は傘を差せないぞ」
「でも、貸してあげて。小さなお家にはなるわ。そうすれば靴下だって、きっと乾くもの。乾いて、また早く走れるようになるよ」
「じゃあ、おまえのを貸してあげれば?」
「あんたの透明の白い傘の方がいいの。だって、向こうから飼い主が来たときに、すぐに見えて走っていけるでしょ」
「あ、見てよ。誰かこっちに走ってくる。僕たちも、そろそろ帰ろう」
---遠き遠き、梅雨の日々の、
遥か私たちの想い出に---
向こうから来た人は買主なのでしょうか?
絵本とはいろいろと想像させてくれますね。
ちひろの優しい色使いによく似合っています。。。!
当初は絵の世界そのままを書こうと思っていたのですが、やや(大分?)僕の物語領域が顔を出してしまいました。
また会って、色々とお話したいです♪