もし君に星がつかめるのなら
寝ているあの子の耳元に そっと置いてやるといい
ドングリを妖精の帽子だと思っている
あの子にね
下らぬ喧騒に巻かれていた あの子はもう
きっともう
泣かなくて済むだろうから
その小さい耳たぶに
星の生んだ
風の瞬きを受ける度に
あの子は しゅんしゅんと寝返りを打って
ひとつひとつの
新しい夢と握手するだろう
そのにじんだ汗の
喜ぶ歌が聴こえた時
また星をつかんで
あの子に持たせてやってほしい
掌に刻まれた若いシワを水路にして
星はまた
巡るだろうから
しかし やがて
少女は
「あたし」という言葉を捨てて
「わたし」になるだろう
少年は
「裸足」という力を捨てて
「寡黙」になるだろう
この足元に転がる砂と
あの天に散らばる星と
一体
どちらが多いのか 考えた事はあるかい
全体
どちらが尊いのか 考えた事はあるかい
砂は
夢を見終えた星の
亡骸さ
手に入れたくても入れられない夢に憧れている時 胸を踏まれると
砂は
キュッと泣くのさ
そうやって心の間に間に巡らせていくだけで
君は大きくなる
今君が見ている あの子は
君にとってかけがえのない
星の砂時計なのだから
あの日吊るした てるてる坊主は
降るはずだった雨の
無上の単旋律を
この海の底に降らしている
あの日からずっと
人知れず
これからも
それを知っているのは
君の胸の中にある
逆さのてるてる坊主だけだ
それを痛感してばかりなのは
波打ち際で漂うしかない
君の
てるてる坊主その人さ
夢を見終えた星を目にしたら
あの子の輝かんばかりに匂い立っていた唇は
キッと真一文字に結ばれてしまうだろう
奇跡的に晴れたあの日の
一瞬一瞬の想いの嵩を忘れてしまうだろう
深く時の刻まれたその手で
どうぞ拾い上げ
光の指南する欄干に
吊るしておくれ
いいや
今はまだ
そんな贅沢は言わないでおこう
どうか
つまらぬコショウを振りかけて
目を醒まさないで
迷妄と化した雨を避ける傘は
波と戯れるてるてる坊主の足元に
これからも
その砂の中に埋まっているのだから
ごらん
あの子の手の中で
君の差し出した星が生まれ変わっているよ
けだし
空に海が移され
そうして海に
恒久の空は映されるだろう
あの子の瞳に
語り継がれながら
寝ているあの子の耳元に そっと置いてやるといい
ドングリを妖精の帽子だと思っている
あの子にね
下らぬ喧騒に巻かれていた あの子はもう
きっともう
泣かなくて済むだろうから
その小さい耳たぶに
星の生んだ
風の瞬きを受ける度に
あの子は しゅんしゅんと寝返りを打って
ひとつひとつの
新しい夢と握手するだろう
そのにじんだ汗の
喜ぶ歌が聴こえた時
また星をつかんで
あの子に持たせてやってほしい
掌に刻まれた若いシワを水路にして
星はまた
巡るだろうから
しかし やがて
少女は
「あたし」という言葉を捨てて
「わたし」になるだろう
少年は
「裸足」という力を捨てて
「寡黙」になるだろう
この足元に転がる砂と
あの天に散らばる星と
一体
どちらが多いのか 考えた事はあるかい
全体
どちらが尊いのか 考えた事はあるかい
砂は
夢を見終えた星の
亡骸さ
手に入れたくても入れられない夢に憧れている時 胸を踏まれると
砂は
キュッと泣くのさ
そうやって心の間に間に巡らせていくだけで
君は大きくなる
今君が見ている あの子は
君にとってかけがえのない
星の砂時計なのだから
あの日吊るした てるてる坊主は
降るはずだった雨の
無上の単旋律を
この海の底に降らしている
あの日からずっと
人知れず
これからも
それを知っているのは
君の胸の中にある
逆さのてるてる坊主だけだ
それを痛感してばかりなのは
波打ち際で漂うしかない
君の
てるてる坊主その人さ
夢を見終えた星を目にしたら
あの子の輝かんばかりに匂い立っていた唇は
キッと真一文字に結ばれてしまうだろう
奇跡的に晴れたあの日の
一瞬一瞬の想いの嵩を忘れてしまうだろう
深く時の刻まれたその手で
どうぞ拾い上げ
光の指南する欄干に
吊るしておくれ
いいや
今はまだ
そんな贅沢は言わないでおこう
どうか
つまらぬコショウを振りかけて
目を醒まさないで
迷妄と化した雨を避ける傘は
波と戯れるてるてる坊主の足元に
これからも
その砂の中に埋まっているのだから
ごらん
あの子の手の中で
君の差し出した星が生まれ変わっているよ
けだし
空に海が移され
そうして海に
恒久の空は映されるだろう
あの子の瞳に
語り継がれながら