銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

未来の先生へ

2012年02月24日 00時38分29秒 | 散文(覚書)
将来の夢は先生と書いた君

意志のはっきりしたとても太い字に

人知れず僕は微笑んだ



果たして君が教師になっている頃

世界はどうなっているだろう

子どもたちは

その親たちは

今と同じようにガンジガラメなのだろうか

今以上に神経質になっていはしまいか



『しごとはつらいけど

 あきらめないでがんばれば

 なんでもできるよ!』



大人になった時の自分へ向けた君のメッセージ

今度は

他人が当然知る由もなく

僕の胸は熱くなった

何度も何度も君の

君自身へのメッセージを読み返した

小さな小さな1年生の

大きく頼もしいメッセージを



果たして君が教師となった頃

僕はもうきっと君が分からないだろう

君は僕を知らないだろう

知り合ってたった1ヶ月ばかりの

触れ合いだったのだから



でも

僕はこの小さな緑の紙の中で

未来の君と

今隣の教室で勉強をしている君と

握手ができた

何物にも代えがたい絆を結べたようで

深く深く胸が震える



また僕が臆病になったとき

君のメッセージを夢の中ででも読ませてもらえたら

僕たちはまた一緒に遊べる




思い出

2012年02月22日 00時49分14秒 | 散文(覚書)
窓辺を海に見立てると

夢は舟になり

白い雲を連れてくる

そうしてわたしは

白雲に

幾多の幻影を預けてみる



駆け抜けた青春

寂れた夢

芳しい母の横頬

石塊

嘆き……

そうだ

無粋な隣人もいたが

あどけない笑顔も星のようにあった



けれど

引き出せる記憶は限りがあるようだ



手に届かなくなってしまった思い出よ

お前たちは今

どこにいる









思い出は

あなたの周りに確かにある

あなたの頭上に

肩向こうに

その唇の先に



謙虚でいるあなたの傍らに

思い出は

そっと息づいている

生まれてきたあなたを

安らぎ見守ってくれた人たちのように



木の葉を透かす木洩れ日は



あなたの手の中を通り抜けようとして

芳情なその手の中にある