東急電鉄 田園都市線の混雑緩和策

準急設定で分散乗車図る

東急田園都市線の混雑緩和策

　東京急行電鉄は、田園都市線の当面の混雑緩和策として、4月5日から特に混雑する朝ラッシュ時の急行を準急に変更して、各駅停車との分散乗車を促進するとともに、乗り換え客が集中しがちな渋谷駅ホームの階段付近に停車する車両の6ドア・座席格納タイプへの変更を進める。混雑緩和の決め手として取り組んでいる大井町線の溝の口延伸・急行運転の開始まであと1～2年。それまでに現在の輸送設備で改善が可能な対策を、ラッシュ時の利用実態に基づいて検討した結果で、平均乗車とそれによる遅延の防止が利用客全体の快適度の向上につながるという判断につながった。

　渋谷－中央林間を結ぶ田園都市線は民間による、わが国最大の町づくのとして成功した東急多摩田園都市の鉄道アクセスで、1977年（昭和52年）に渋谷に直通する現在の運行形態となり、翌78年から地下鉄半蔵門線と直通運転を開始した。

大井町線への誘導が鍵に

沿線人口増続き、見極め難しく

　町づくりの成功と都心へのアクセスの利便性が住宅地域としての価値を高め、沿線人口とともに輸送需要の増加が続いた。信号設備の改良などで朝ラッシュ時には10両編成の列車を29本運転しているが、ピーク1時間の最混雑区間（池尻大橋－渋谷間）の平均混雑率は194％。郊外の私鉄通勤路線では最も高い数字だ。

　都心への速達性を高めるため、83年から二子玉川－渋谷間は三軒茶屋しか停車しない急行を運転しているが、この急行の混雑が特に目立っている。二子玉川－渋谷間は急行で13分、各駅停車は途中の桜新町で急行を待避するため17分かかり、この差が少しでも急ぎたい朝の通勤客が急行に集中する要因となっている。

　実際、朝の各駅での利用実態を調査したところ、既に混雑して到着した急行に溝の口や、二子玉川で各駅停車から乗り換える利用客が少なくなく、混雑を覚悟して先発の各駅停車を途中で追い越す急行に乗車していることが確認された。

　そこで、二子玉川までは急行運転して、二子玉川－渋谷間では各駅に停車する準急を新設して、ピーク1時間の急行13本すべてをこの準急に変更することになった。二子玉川－渋谷間の所要時間は急行より2分長い15分になるが、それによって各駅停車は待避がなくなり、準急と同じ15分に早まる。つまり、溝の口や二子玉川では列車種別に関係なく先に発車する列車が渋谷、都心方面に先に到着することになるため、利用客が分散する効果が見込める。

　また、渋谷駅ホームの中ほどにある2つの階段が乗り換えに便利なため、この階段付近に停車する5号車と8号車の混雑が目立ち、乗り降りに時間がかかって、後続の列車の遅延につながっている。

　その対策として一部の列車に5、8号車を6ドアの座席格納タイプとした編成を導入しているが、9月までに6編成を追加することも決めた。渋谷駅で調査すると、このタイプの車両を組み込んだ列車は停車時間がほかの列車より3～4秒短く、1時間では1分以上縮める効果のあることが確認されている。

　東急では田園都市線の混雑緩和の決め手として、二子玉川で接続している大井町線を溝の口まで延伸し、急行を運転することで都心への速達性を高める工事を進めている。二子玉川からの急行運転は2008年（平成20年）3月、溝の口からは2008年度の予定で、大井町経由、あるいは大岡山、目黒線経由の都心ルートの利便性が高まり、利用客の分散効果が見込めるという。

　現在、通勤時間帯に二子玉川に到着する上りの利用客のうち、そのまま田園都市線で渋谷方面に行く利用客と大井町線に乗り換える利用客の比率は4対1。溝の口から大井町線の急行運転が始まり、一定の期間が過ぎてこのルートの利便性が周知されれば、この比率は3対1程度に変化するのでは、とみている。

　そうなった時点で、今回田園都市線に新設する準急を再び急行に戻すかは現在未定。田園都市線の沿線人口は当分、今のペースで増加が続き、その後も2030年ごろまでは緩やかに増加していくと予想されている。決め手となる大井町線延伸の効果が長期的にも田園都市線の混雑緩和を支えていけるのか、見極めるのはまだ難しいのかもしれない。

私鉄が不動産も手がけて成功したいい例が田園調布なのかもしれないね。でもこんなに人口が過密になるのは予想できなかったんだろうね。朝の通勤客は1分でも早い列車に乗りたいのは当然のこと。対策が後手に廻った感じがしないでもないけど、これでも幾分は緩和されるのかな？まだまだ抜本的な対策にはなってないと思うけど、利用者としてはもっと快適に乗れる対策を早急にしてもらいたいと思ってるんだから、なんとかしてもらいたいですね。