水に降る雪

おもに宝塚、そして日々のこと

星組「鎌足」

2019-05-18 | 星組

素晴らしかったですセットも凄く綺麗でしたし、生田くん調子いいですね

オススメです

前情報ゼロで行ったので、二幕の展開が若干腑に落ちないというか、理解しきれてない感じが残ってしまったんですが

もう一回見たらスッキリするんだろうなぁ

ひろさん(一樹千尋)、みつるくん(華形ひかる)、みっきー(天寿光希)、くらっち(有沙瞳)がお芝居を締めまくってました

ネタバレとってもあります、かつ長文です

 

 

 

 

 

 

志を持った少年たちが出会い、成長して大人になって成功して終わり、じゃないのね。

そこから先、道が分かれて権力を握っても思い通りにはならないもどかしさ。

頂点に立ったからこその疑心暗鬼。

年月や立場や環境の変化で移り変わっていく人の心が、きちんと描けていたと思います

 みつるくんの一幕のお芝居、素晴らしかったですお歌はアレですけど

 

改革を志す入鹿(みつるくん)は鎌足(紅ゆずる)より一足先に大人の世界、政治の世界へ。

大臣になったものの実権は父蝦夷にあって、何一つ思い通りにはできない傀儡。

同じように女帝として奉られる皇極帝と出会い、恋したことで運命が大きく変わってしまいます。

 

一幕の、くらっち皇極帝のあやうく儚げな美しさといったら

“守ってあげたい”と思うでしょうよ

愛する人を守るため政敵を排除し、殺し続けて暴走する入鹿。

血みどろの道にはまりこんで抜けられない‥‥。こんなはずじゃなかったのにね

 

一幕の最後、結局入鹿は、鎌足と中大兄皇子に暗殺されるわけですが、そこで入鹿が鎌足に

「お前も(俺と)同じ道をたどる。殺し続けなければならない」(だいぶテキトー)などと言って死んでいくのがね。

二幕を象徴していて、なんとも不吉

 

目の前で愛する人を殺された皇極帝。入鹿を助けられない苦渋を滲ませながら、踵を返しその場を去ります。

それを知り「それでいい」と呟く入鹿。愛する人の無事に安堵して死んでゆくのが切なかったです

 

中大兄皇子は皇太子となり、鎌足と共に改革を進めます。

その手始めが“元号”~めっちゃタイムリー勿論狙ってましたよね?生田くん

 

改革を進める中で入鹿の予言通り、敵対する者、裏切りそうな者たちを次々と排除していく二人。

そんな時退位した宝皇女(くらっち)は、皇子に鎌足に対する疑いの目を向けさせようとします。

鎌足に限って裏切ったりしないと言う皇子に対して、それならば「人質を取るように」と勧めます。

ここの、くらっちが怖かった~

あの儚げだった皇極帝が息子を守るためでもありますが、愛する入鹿を殺した鎌足を憎んでるんですね

当たり前と言えば当たり前なんですが。

皇子も共犯なのに、鎌足に唆されたと考えるのがとっても母親の思考回路でした

人質として取られたのは最愛の妻与志古。与志古は異を唱えようとする鎌足を抑え、皇子の元へ。

 

月日が経っても妻を諦められない鎌足は、ある日死を覚悟して天智帝の元へ。

力ずくでも取り返そうとする鎌足ですが、謀反など考えるはずもなく、与志古を返してもらえなければ自刃するつもりでした。

その決死の覚悟に天智帝も折れ、無事に与志古は鎌足のもとへ。

 

ところがこれで終わりにはならない。与志古は帝の子を身ごもっていたんです

帝のところに戻りたくない、子どもも取られたくないという与志古に、

天智帝から下賜されて鎌足の妻となっていた采女の安見児が、自分の子どもとして育てることを提案するのが凄い

 

そして生まれたのが不比等で、実際に天智帝ご落胤説あるそうで

家臣の妻を寝取ったり、家臣に側室をくれたりする時代ですから、ありそうな話ですよね

数年後、療養中の鎌足を見舞いに来た帝は、不比等を見て勘付いたようでしたが、無理な追究はせず。

その方が子どもにとって幸せだし、立派に育つだろうと

 

 

いつの時代も入鹿が言ったように、権力闘争には終わりがなく、血が流され続けるのですが、鎌足は入鹿と同じにはならなかった。

もしかしたら不比等を育てることによって、救われたのかもしれないな、という気がしました。

というのが二幕の解釈でいいのかなもう一回見て確認したいです

 

 

ひろさんと、みっきーが語り部の役割なのですが、どちらも喰えないというか、複雑というか

二人とも現世ではないところで鎌足の一生を振り返ってましたが、時々話の中に混ざってました。

ひろさんは師として、みっきーは歴史家として。

 

志ソングとか、歴史ソングとか、それ歌にするんだっていう歌もあって面白かったです

みっきーを通してもう一つ、生田くんが言いたかったのは、“歴史は作られる”ってことなのかな。

“勝てば官軍”と言いますが、歴史書って、勝ち残った者が遺したものですから。

改竄したり、まるごと消し去ったり。古代史は他に資料がほとんど無いですから特にね。

それがまたロマンを掻き立てるわけですが

 

 

ベニー(紅ゆずる)は恵まれてるなぁ、と思います。

こう言っちゃなんですが、なんだかんだ代表作と呼べる作品に出会ってますよね。

アナワとかサンファンとか。「鎌足」もそう言っていいんじゃないでしょうか。

そして最後の大劇場作品も期待出来そうですし(そこは菜穂子に頑張ってもらうしかないですけど

 

実力的にはね、2番手の、まこっちゃん(礼真琴)に遙かに及ばないと思うんですよ(すみませんね、ファンの皆様

でもやっぱり、まこっちゃんには無い、真似の出来ない魅力があるんですよね。学年とか経験とかだけでもなく。

客席からだけでは見えてないものが、作り手側にいる人たちには見えてるのかもしれません。

実力が全てではない、宝塚スターの典型、かも


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