風に吹かれて~撮りある記

身近な自然の撮影
詩・雑文・ペット・簡単料理レシピ等

小学校1

2018-04-11 22:20:42 | おもひで


母は洗濯物のたたみ方を教えてくれた。

3歳の徹でもできることだった。

母と一緒に洗濯物をたたんでいた。

できることから少しづつ教えてくれたのだった。

じいちゃんがよく来ていた。

じいちゃんは靴屋さんに勤めていた。

よくゴム靴を持って来てくれた。

これ大きいよ、小さいよというと

そうかそうかこんどまたもってくるからと

何時も優しかった。

たぶん小学生のころに亡くなったような気がする。

怒られたことは一度もない。

徹のわがままをニコニコと聞いていた。

じいちゃん家(ち)はおおきなS家と言われた家だった。

他の家と区別するためにそう言われていた。

おおきな庄屋のようであった。

佐竹さん(秋田藩主)からお伊勢参りの許可状ももらっていた。

もちろん苗字帯刀であった。

改築の際に書付が出てきたのである。

徹も見せてもらった。

信次郎の実家など比べ物にならないくらいの家だった。

しかしじいちゃんのお父さんが一代でつぶしてしまった。

かなりの放蕩三昧だったのだろう。

そのままなら左うちわで生きて行けたはずなのに、

じいちゃんは靴屋に

ばあちゃんは駄菓子屋をやる羽目になってしまった。

そこら辺の詳しいいきさつはよくわからない。

徹は中学の時にそれを知った。

父の兄から聞いたのである。

ばあちゃんもじいちゃんも昔のことは何ひとつ言わなかった。

いつもニコニコ接してくれた。

暫くして妹が生まれた。

妹は体が弱かった。

母は心配した。

よく風邪をひくのであった。

いつもビービー泣いていた。

その後、もう一人妹が生まれた。

この子は元気な子だった。

妹が生まれるときに騒動があった。

男の子だったら大変だとみんなが思ってた。

お家騒動になるだろうと。

継母によるいじめの話がはやってた時代であった。

女の子が生まれて皆がほっとした。

母には辛いことだった。

二人目の妹の時はさらに大騒動になった。

母が出産の際に反論したのである。

男の子でもいいじゃあないか、

女の子でなければというのはひどいと反論したのである。

確かに正論であった。

しかし生まれたのはまたも女の子であった。

信次郎の親族は一様にほっとした。

最初の妹が生まれたころには周りに家が増えた。

お向かいにタバコ屋ができた。

祖父母と両親と3人の子どもがいた。

お姉さんは年が離れていたが、2歳上のお兄さんと

同い年の女の子がいた。

近くには子供たちも増えた。

やがて幼稚園に行くことになった。

坂を下って国道をこえてお寺に行くのだった。

お寺が経営してる幼稚園だった。

安いので近所の子はそこに行ってた。

通園班を組んで通っていた。

冬などはたいへんだった。

吹雪の中、泣きながらお兄ちゃんたちにつれられて通った。

幼稚園は楽しかった。

友達とおしゃべりばかりしてた。

お墓も面白くて探検していた。

お昼寝の時間があったのだが、寝起きが悪かった。

徹君起きるんだよと言ってくれた男の子をいつも殴っていた。

見かねた先生が女の子の中に寝せた。

さすがに殴るのはやめた。

しかし先生の言うことはまるで聞かなかった。

ある日とうとう園長先生に本堂の柱に縛られた。

母が呼ばれて、これ以上言うことを聞かないのなら

出て行ってもらうと脅された。

年長の夏だった。

父にしこたま怒られた。

徹は思った、いま出されては困る、

友達と離れるのは嫌だ。

辛抱しよう。

おとなしく先生に従った。

そして小学校に行くことになった。

初めてのランドセルはうれしかった。

ばあちゃんやじいちゃんに見せに行った。

もちろん祖父にも見せに行った。

みんな喜んでくれた。

さて初登校。

お向かいの美代子ちゃんが来た。

母はお向かいに頼んでいた。

徹は好奇心が旺盛でまともに学校へ行けるか心配だ。

美代子ちゃんと一緒に行かせてくれないか。

わかったいいよ。

おばさんが号令をかけた。

さあ二人とも元気で行っておいで、

仲良く手をつないでいくんだよ。

えっ手をつないでいくの。

そうだよ、美代子を守ってね。

途中で放せばいいやと思ってわかった行ってきます。

途中で小鳥を見つけてそっちに行こうとすると、

徹君学校はこっち。

手を離さないのである。

しかもぐいぐい引っ張って行くのだ。

さほど大きくもないのに。

徹は知った。美代子ちゃんはお目付け役だったのだ。

まいったな。

しかも一本道だから後ろから見えるのだった。

手を放しちゃだめだよ。

しかたなく学校まで手をつないでいった。

目ざとく見つけた上級生たちがひやかした。

わーいわーいアベックだ。

手をつないでらあ。

お前もだれかとつないでみろよ。

あっという間にアベックだと広がった。

あんまりからかわれると頭に来て

かかっていったがいつも負けていた。

下校時は別々だった。

でもまあ仲は良かった。

昨日どうしたとか宿題のこととか

気さくに話してた。

まるで兄弟のように過ごした。

相変わらずからかわれてはいたが。

徹は学校では最初のうちはおとなしくしていた。

でも慣れてきたら幼稚園の時のようになっていった。

おしゃべりばかりでいうことを聞かないのである。

とうとう外に出された。

立たされたのだ。

始めはまじめに立っていたのだが飽きてきて

グランドに出た。

走り回ったり、虫を追いかけたりしていた。

突然声がした。

徹お前何してんの。

母がいた。

グランドの向こうには父が借りてる兄の畑があった。

野良仕事に来たのである。

まずいなあと思った時、先生が気付いた。

全てを聞いた母は怒った。

殴りかからんほどだった。

家に帰るのが嫌だった。

案の定父親にしこたま怒られた。

立たされたら母に見つかると思うと

おとなしくせさるをえなかった。

しかも美代子ちゃんが校内でも目付になっていた。

母に報告するのである。

これには参った。

そうこうしてるうちに父が胃潰瘍になった。

暴飲暴食とストレスだった。

おかげで胃を半分切除した。

母に連れられて初めて病院に見舞いに行った。

何時もは怖い父が妙に優しかった。

3年のころおばさんと母が買い物に行くことになった。

父は実家の手伝いに行くことになっていた。

そこで妹たちをばあちゃん家に預けた。

徹に留守番をさせることにした。

しかし不安だったので美代子ちゃんに頼んだ。

タバコ屋にはおばあちゃんがいる、何かあったら

対処できる。

最初は二人で遊んでいた。

すごろくなどしていた。

飽きてきたので家の中を探検した。

いろいろ探してるうちに縁側の隅に

瓶を見つけた。

新聞紙でふたをしていて縄で結わえてあった。

なんだろこれ。

開けてみた、いい匂いがした。

梅が入ってる、梅漬けかな。

手を入れて一つ食べてみた。

これ美味しいや、酸っぱくないよ。

ほんとにどれ一つ。

あ、おいしい。

その後のことはおぼえていない。

3時過ぎに帰ってきた母は

徹、美代子ちゃんと呼んだが返事がない。

縁側の隅に瓶のふたが開いて梅の種が散乱していた。

二人とも寝ているようだった。

よく見ると真っ赤な顔をして

うなっていた。

これ食べたんだ。

梅酒の梅だった。

これって酔ってるんだ。

すぐさま水を飲ませてそこに寝せておいた。

母もおばさんもあきれてしまってものが言えなかった。

夕方妹たちを連れて帰ったきた信次郎も

ただあきれるばかりだった。

その後梅酒は物置に移された。



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