風に吹かれて~撮りある記

身近な自然の撮影
詩・雑文・ペット・簡単料理レシピ等

思い出1

2018-01-21 21:29:14 | おもひで


こんばんは。

今日は私の誕生日。

68歳になりました。

長く生きたかな。

父の年を越えたいのでもう少し。

長年心にあった物語を思い切って書いてみようと思います。

おそらく月一のペースでしょう。

それでは。


出生

徹が生まれたのは昭和25年の一月であった。

東北は秋田県秋田市だった。

父親は大きな農家の四男坊。

二人の姉と妹が一人。

長女はなぜか婿養子をもらっていた。

そういう風習だったかもしれない。

母は近くの港町の出身。

生まれて三日目のこと。

徹はお腹がすいたのとお尻が冷たいのとで

大泣きしてた。

いつもならパタパタと走ってくるはずの母が来ない。

泣くしかないので一層声を張り上げた。

それでも誰も来ない。

いい加減泣き疲れたころ

ガラガラと戸を開けて父が帰ってきた。

泣いてる徹のところへ飛んできた。

あれーどうしたんだろ。

みつみつと大きな声で呼んだが

誰もいない。

ちゃぶ台の上に手紙が置かれていた。

実家に帰ります。徹をよろしくお願いします。

ええっ。

しばらく放心状態だった。

我に返った父は兄の家に向かった。

ここは兄のアパート。

兄の家は目と鼻の先。

義姉さん義姉さん大変だ。

どうしたの次郎さん。

かか(嫁)が逃げた。ほら。

そういって手紙を見せた。

なんで、どうしたの。

よくわかんね。

徹の世話をしてくれ、親父のところに行ってくる。

わかった、任せておいて。

吹雪の中を父は走った。

電話などそうはない時代だった。

30分ほどで実家についた。

親父親父大変だ。

どうしたんだ。大声で。

農閑期の冬で祖父は家にいたのだった。

かかが逃げた。

なにっ。

おまえなんでだ。

いやあその。

またか。

父はバツイチだった。

母とは再婚だったのだ。

祖父は急いで母の実家に電話をかけた。

母の代わりに母の父が出た。

どうしても帰りたくないといってる。

今は無理だ。

祖父はすぐに娘たちに

命じた。

徹が心配だ。

お乳をのませてくれる人を捜せ。

要するに世話をしてくれる人が必要だと考えたのだ。

必死に探した結果、

近くに見つかった。

今まさに乳飲み子を抱えてる女性だった。

一生懸命頼み込んで世話になることになった。


徹はその日のうちに預けられた。

お腹がすいて目を覚ました徹の顔を

優しく見ていた女(ひと)がいた。

乳母となったおばさんだった。

徹はおっぱいを飲ませてもらって満足だった。

徹のそばには徹とおんなじ乳飲み子がいた。

女の子だったと思う。

あとでそうだったことを知った。

父はほとんど毎日顔を出した。

寝顔を見たり泣き顔も見ていた。

どんな思いで見ていたのかは今となっては知る由もない。

徹の顔を見てから実家に向かった。

夕食を食べさせてもらっていた。

それから自分のアパートに帰って行った。

2か月後父は離婚した。

何があったのかどうしてそうなったのか、

だれに聞いてもわからなかった。

父は何も語らなかった。

徹はすくすく育った。

おしめおを取り換えてもらい、

おっぱいをもらい、お風呂に入れてもらった。

おばさんは母であった。

穏やかな月日が流れた。




















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