風に吹かれて~撮りある記

身近な自然の撮影
詩・雑文・ペット・簡単料理レシピ等

とんび

2020-06-25 22:42:35 | おもひで
とんび

5年生になった頃新しい友達ができた。

父に言われてグランドの先の畑を見に行った。

グランドを横切った小道の先に畑はあった。

養鶏業をやっていたおじさんから借りた土地だった。

キュウリとトマトの出来を見てきてくれと言われた。

一つまみの塩をもっていったのだが、

まだ食べられる状態ではなかった。

帰ろうとしたとき一人の少年を見つけた。

シャツに半ズボン、手には網とバケツを持っていた。

何してんだろう。

せきと呼ばれる小川が流れていた。

網を入れてなんかすくってる。

気になって声をかけた。何してんの?

ひょいと振り向いたその子はニコッと笑って言った。

餌をとってんだよ。

餌ってなんの?

トンビだよ、俺んちトンビを飼ってるんだよ。

へえっすごいな。

餌っていうのは。

カエルやドジョウ、ナマズなんかもね。蛇もだよ。

見たい?

ああうん見たいな。

手伝ってよ、バケツもってて。

バケツの中はカエルやドジョウ、小魚などがいっぱい。

すぐそこだから。

グランドを横切ってすぐだった。

いいなあ学校に近くて。

はははでも遅刻するんだよ。

グランドは周りを網で囲んでいるのっだが、

ところどころ破れていた。

隙間の一つから裏庭に入っていった。

庭の真ん中に2mほどの柱が1本立っていた。

先端にはT字になるように木材が添えてあった。

そこにトンビがいた。

足に鉄の輪を付けて、鎖でつながれていた。

すごいだろ。

ピーちゃんっていうんだよ。

トンビは徹をにらんでいるようだった。

さて餌をやるか。

ステンレスのエサ入れを持ち出してきた。

その中に取ってきた獲物をぶちまけた。

それを見ていたピーちゃんは、

一度飛び上がりそれから急降下してきた。

食べてる姿は迫力があったが気持ちのいいものではなかった。

いつから飼ってんの?

もう2年かな。

お父さんが捕まえてきたんだ。

隣のクラスの子だとわかった。

毎日いくのかい。

土砂降りでない限り。

冬はどうするの?

小屋に入れるんだよ、そこでお肉などあげるんだ。

食事を終えたピーちゃんは元に戻って羽を休めていた。

明日も来る?手伝ってよ。

いいよ来るよ。

彼の名前は健太。

笑顔の素敵な明るい子だった。

どこかじめっとしている徹とは正反対だった。

徹は思った。

千秋公園の近くに鷹匠町があった。

秋田藩主の佐竹さんが鷹狩をするときの

鷹匠たが住んでいるところだった。

そこには父の後押しをしてくれる人がいた。

いわゆる後ろ盾なのだ。

トンビも鷹狩りには使えないのかなと調べたが、

ちと無理のようであった。

おなじ猛禽類であっても能力は劣るようだった。

しかしその精悍な顔は迫力十分であった。

夏の間エサ取りに付き合うことになった。

一つまみの塩をもって畑に連れて行って

キュウリやトマヨをよく食べたものだった。

僕たちは仲良くなった。

北国の早い秋がきたときにエサ取りは終わった。

ピーちゃんは小屋に入ったのだ。
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