社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「家庭医の現状と展望 ・家庭医に期待される五つの機能」 酒井忠明 (2004)

2008-07-16 10:50:34 | 医学
「医療改革時代の在宅ケア 死ぬも生きるも我が家がいちばん』 
                        佐藤智/編 日本評論社

ライフケアシステムのシンポジウムをまとめたもの。
他に、柳田邦男氏、日野原重明氏の発言録も収録されているが、目新しさは感じなかった。

・家庭医に期待される機能
①継続性…医師が患者さんに対して、診察をしたその時だけではなく、患者さんの健康について、継続的に関心を持つこと

②包括性…病気毎に診るのではなく、その人に健康上の問題があるんだという観点から、患者さんを全体として診る。

③常時性…24時間での電話対応がその一つの方法。継続性と包括性があってこそ、常時性も実現できる。

④人間関係…患者と医師との人間関係。お互いに「普通の人」として認め合うことが必要。

⑤調整能力…医師が専門家とのネットワークを自分で持っていて、さらにそれを自分で統制する力を持っているべきだ。


④について…「普通の人」とはどういう人か?おそらく、医師と患者という垣根を取り払うべきだという趣旨だとは思うが、あまりに垣根がなさ過ぎて、専門家たる信頼性が無くなってはいけないと感じた。

⑤医師個人のいわゆる人脈のことか、はたまたネットワーキング(能力)のことか?「統制する」というのは何についてか?何もかもを医師がやる必要はないと思うし、できていないのが現状ではないだろうか。「できていないこと」を整理し、他職種に振ることも、大切な「機能」だと思う。


副題となっている「死ぬも生きるも我が家がいちばん」…家で過ごすのは心地よいことではあるが、万人がそうとは限らないだろう。この言葉(理念)でつぶされている患者さん本人やご家族がいることを、援助者は見落としてはいけないと思う。
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2 コメント

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在宅の看取りもあるでしょう (syounosuke)
2008-07-17 10:25:32
syounosukeです。
この著書は未読なの勝手なことしかいえなしのですが、
④人間関係:家庭医から見た人間関係ということでしたら、医師が患者をみるという立場ではなく患者を普通の人と見ようという趣旨ではないかと思います。患者側に求めているのは医師という壁を意識せずともに病気に向き合おうと望んでいいるのかと思います。
⑤調整能力:医師が行うかは別として調整は必要でしょう、ただ、それが医師であるかどうかは別の議論ではないでしょうか。

そしてよくある議論ですが1つのテーマの議論を進めるとき、そのテーマだけをよしとする風がありますが、選択肢があることが重要だと思います。
当社は居宅を単独で行っていますが併設の居宅は否定しません、ようは多様な選択肢があることが重要だと思います。
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syounosukeさん (のだみ)
2008-07-20 11:42:00
在宅での看取り…という機能は、24時間体制で見守るということもあり、どうやら「常時性」に含まれているようです。
多くの選択肢を提供できる…本当にそれが重要だと思います。しかし、最近の政策や研究などは「在宅=ベスト」で、「いいことばかりではないんだけどなぁ…」と感じてしまうこともあります。
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