社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

『「在宅療養」するがん患者と家族へのケア』本千春(2006)

2009-08-26 15:50:06 | 看護学
「家族看護」Vol.06 No.02

がん患者と家族への支援について、「在宅」という場に焦点を絞り、看護師の役割等を絡めて論じている。
在宅(医療)の特徴、援助者が持つべき視点、具体的なケアの実際等を細かく整理している。
各項目ごとについては分かりやすい反面、分け過ぎたために論文全体にまとまりがない印象も受けた。


・患者にとっての「家族」「重要他者」は誰を示すのか。その関係性を把握しておく必要がある。
・「在宅療養での患者と家族への支援」を時間軸に沿って表にまとめている。そのなかで、「退院1週間前」では、訪問看護ステーションの選別と往診医の選択がある。
⇒症状の経過と病院の機能にもよるが、「1週間前」には合同カンファを済ませていたほうが、各々の退院に向けての準備がスムーズではないか?と感じた。
・「在宅での今後の課題」について、制度対象外患者への対応とソーシャルワーク活動の不足が挙げられていた。
⇒看護サイドからも問題点として挙げられていることに、その重要さを再認識した
・同じく今後の課題について、介護のマンパワー不足と質の低下があった。
⇒質の低下については詳細な例がない。なにか現場で感じられたことがあるのだと思うが、この文面で終わると誤解を招くのではないかと感じた。


「誰が、何に困っていて、どのような手助けを希望しているのか、各々の役割で可能な範囲は何かなど問題の根幹を見据えた意図的な介入が必要」…この一文を読んだ時に、ここにSWの役割があると感じた。
直接的な介入が定期的に発生しにくいSWだからこそ、客観的に全体を見渡すことが可能であろう。患者家族と医療職のバランスを的確にとらえ、各々が…お互いがスムーズにコミュニケーションがとれるような働きかけができれば、SWの専門性の理解も、より一層得られるであろう。


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