社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「特定妊婦に対するチーム・アプローチとソーシャルワーカーによる援助」井上健朗、藤井しのぶ(2015)

2016-12-11 11:20:53 | 社会福祉学
『ソーシャルワーク研究』Vol.40 No.4

 特定妊婦への関わりについて、多職種連携、チーム・アプローチの視点からの事例検討、ソーシャルワーカーへのインタビュー調査を通して考察している。
 妊娠後期、出産後の入院中、退院後といった時間の経過とともに、構成されるチームは異なる。それを丁寧に掘り下げているところが読み応えがあった。

引用
・特定妊婦とは…若年妊婦、経済的問題、妊娠葛藤(望まない妊娠など)、母子健康手帳未発行・遅れ、妊婦健康診査未受診、多胎、妊婦の心身の不調、その他
・インタビュー調査結果より…「出産が無事に終わったならば、かなり早期に医療機関を退院することになる。充分な支援機関を確保できない」「未受診妊婦は周囲との関係性が希薄な印象がある。インフォーマルなサポート体制が少ない」「病院に来るまでの経過で、いろいろと悩んでくると思うんです。あっけらかんとしている人は少ない」



 ハイリスク妊婦を受け入れるという役割を持つ総合周産期母子医療センター。ハイリスクは、母子の身体面は当然のこと、いわゆる飛び込み受診といった社会的な側面も指すという。高度な医療の提供をしながらも、母子を取り巻く社会環境の整備も求められる。場合によっては、3泊4日という超短期の入院期間中に介入をはじめ、地域に送り出さなければならないという。だからこそ、病院と地域の濃密な連携が必要であり、円滑な多職種協働が必須である。妊娠、出産、育児には、本当に多くの職種が関わっている/関わることができるのだと思った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする