社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「高齢期の孤独・孤立の要因分析とその解消にむけたソーシャルワークの接近方法」高藤真弓(2010)

2014-06-01 06:37:34 | 社会福祉学
『日本社会福祉大学社会福祉論集』第122号 2010年3月

高齢者夫婦、高齢者単身世帯が増加する中で、「孤独」が「孤立」へとつながり、やがて生活の不安定性を作り出していく様相を明らかにし、ソーシャルワークはこの課題にどうアプローチできるのか。文献からの分析、インタビュー調査からの分析を行っている。

引用
・社会的孤立の状態が生活の不安定性を引き起こす要因のひとつとなる。
・2007年の自殺者のうち、60歳以上の高齢者は36.6%を占めている。その動機は健康問題が突出している。
・社会関係を失い、孤立した結果起こってくる社会的モンぢあの一つとして、「高齢期の自殺」「孤立死」がある。(中略)そして、孤立死を予防するためには「孤独」の解消が必要である。
・タントールは孤独の諸形態として、①独居②社会的孤立③孤独不安④社会的植物人間化の4点を挙げている。
・竹中星郎は、孤独とは老いそのものによるさびしさであり、仕事や立場などのラベルをうしなったことによる無名化であり、心身の喪失と生きる空間の狭隘化だとしている。
・(筆者のまとめとして…)孤独な高齢者を発見し、高齢者の社会的孤立を防ぐために、高齢者の身近にいる人や期間・集団との協働を行うネットワーク形成を行うことがソーシャルワーク・アプローチの重要課題である。


その人が持っている「つながり」を知ることが必要であり、それがソーシャルワーカーが果たせる機能であると考える。
筆者の指摘しているように、地域包括支援センターは介護予防の観点からの役割であり、対象者が限定されてしまっているのが現状であろう。
「自宅」という枠組みが拡大されている。法的な根拠を有しない、民間の独自事業として、ソーシャルワーカーや看護師がサービスを提供しているところもある。
誰とつながっているのか、どこと繋がっているのか。それを把握することは法的な根拠の有無を超えて、援助者として最低限必要な果たすべき役割であろう。

コメント
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