社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

診療所利用患者へのソーシャルワーク介入システムの検討(副題は字数の関係で省略)

2008-10-01 15:33:49 | 社会福祉学
村田 真弓 『第28回 日本医療社会事業協会 抄録』

残念ながら学会での発表は聞けず、抄録から。

沖縄県では2002年から、浦添市役所内にメディカルインフォメーションセンターを設置し、ソーシャルワーカー(市内の病院からの派遣)と保健師が対応している。
目的としては、ソーシャルワーカーの介入機会がない診療所利用患者と市民全般に対する、相談窓口となり、相談支援ならびに地域のネットワークを進めること…とのこと。

紹介されている「相談支援業務実績」では、福祉関連に関するのものは低かったが、役割期待として「保健・福祉・医療制度や施設に関する相談」が高かった。

結論として、当センターの設置により、診療所利用患者や市民の不用な不安や病院ショッピングが取り除くことができる。行政サイドからとらえてみると、行政への信頼という波及効果とともに、医療費の節減といった実質的な効果をもたらすことができるとしている。


抄録からの読み取りであるため、調査方法の詳細や人件費捻出の詳細など、知りたい部分はまだ多くあるが、行政機関にこのようなソーシャルワーカーがいることはとても大切だと思う。
介護保険が始まる前は、その質の差はあれど、市役所(区役所)の高齢者担当や保健所が、よろず相談の拠り所になっていたと思う。現在は、行政はサービス提供者の後ろに隠れ、先陣を切って地域をコーディネートしている印象はない。包括支援センターにその役割が期待されているが、アレモコレモも転嫁され、現場のスタッフは首が回らないという話をよく聞く。
「ちょっと気になるから、これについて知りたい」「どこで聞いたらいいのか分からない」など・・・ほんの些細な疑問や不安を解消する役割こそ、縦割り行政ではない、違った形の行政に担ってもらいたい。
赤ん坊は保健所、子供は児童相談所、高齢者は包括支援センター、障害者は福祉事務所…こんな分け方を知っているのは、おそらく医療や福祉に従事したことがある者だけであろう。
コメント
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