【ガソリン5カ月ぶり120円台で「値上げ地獄」の夏が来る 日刊ゲンダイ2016年6月11日
この夏に始まる“値上げラッシュ”で庶民の家計は、火の車になりそうだ。
最大の原因は原油価格の高騰である。8日のWTI原油先物価格は1バレル=51ドル台。2月の26ドルの約2倍だ。それを受けて、ガソリン価格は上昇、6日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は、122・5円。13週連続の上昇で、約5カ月ぶりに120円台をつけた。
ガソリン価格の高騰が物価に与える影響は甚大だ。経済ジャーナリストの井上学氏が言う。
「何もかも上がると思った方がいい。農業や水産業も油を多く使うので、野菜、イカやマグロ……。包装材や運送費も上がるため、冷凍食品、食パン、アイスクリーム、宅配サービスの値段も上がるでしょう。上がらないものはなく、確実に実行されると考えておいた方がよいと思います」
夏の旅行シーズンも直撃する。現在、燃油サーチャージはゼロに限りなく近いが、原油価格が反映されれば、北米で往復約3万~4万円程度乗っかってくる。
しかも、恐ろしいのは原油価格の高騰は忘れたころに、本格的な値上げにつながることだ。
「電気代は6~9カ月後に、原油の値上がり分が反映される。包装材などの原料は国産ナフサを基準に価格が決められますが、半年後ぐらいの製品に転嫁されるでしょう。今年は値上げラッシュの秋、冬になるでしょう」(化学メーカー資材担当者)
すでに今春にはガリガリ君や東京ディズニーリゾート、食卓塩などが値上げされたが、値上げラッシュの流れは止まりそうにない。おまけにこの夏は猛暑の影響でトマトなどの野菜の値段がドンと上がりそうだという。
踏んだり蹴ったりだ。 】
●WSJは3日付けで「OPECは機能不全、生産枠設定は見送られる」と報じ、原油値上がりは一時的動向?
(GG:「原油の値上がり」はこれまでリーマンショック以来、世界経済の不況期入りを反映した原油安は2016年1月には2003年9月以来の安値となる20ドル台後半にまで下がったが、傾向を方向転換する大きな曲がり角になるのかどうか?
①米大統領選②シリア状勢③シェールオイル企業の窮状④米国債券市場の危機⑤米国の世界一のオイル生産戦略⑥サウジのアメリカからの離反とOECD諸国が減産合意に踏み切れるか⑦ロシアの国力を奪う原油禁輸解禁の変化?……などがどのような比重をもって変わったのか?日本では日銀の黒田バズーカが原油安で不発に終わっている。原油安から原油高に転換すれば日刊ゲンダイが指摘するように物価は例外なく値上がりするだろう。2%の物価目標も現実のものとなる。庶民にとっては物価が値上がりしないから生活防衛策は出来たのだが、原油高は生活防衛策を奪う。デフレからインフレへの転換なのか? 日銀は金融緩和から脱却する出口をここに見出すのか?世界同時不況の最大原因の一つだった原油低価格が終わるとなると世界的なインフレの波が洗うことになる。原油価格反転の規模と深さが注目される。まだ1リットル=120円で先々は不明確だが、WSJは「打つ手なし、機能不全に陥るOPEC」(6月3日付け「やはり打つ手はなかった。2日の総会でもサウジアラビアとイランの溝がOPECの機能不全を招き、結局、生産枠設定は見送られた」と報じている。産油国からの要因ではないらしい。ほんの一時的動向かもしれないが、米大統領選も要因となっていないか注目点だとGGには見える)