すでに旧聞に属するかも知れないがあまりに重要なニュースなので、書きとどめておくことにする。米上院(定数100)本会議が24日、環太平洋連携協定(TPP)交渉妥結の前提となる大統領貿易促進権限(TPA)法案を、60対38の賛成多数で可決した。同法案はすでに下院で可決されており、近々にもオバマ大統領の署名を経て成立する見込みだと伝えらている。TPAについては、『月刊日本7月号』(南丘喜八郎主筆の、民族派としてはリベラルな、「開かれたナショナリズム」を標榜する月刊誌。鎌倉中央図書館に在架)で、中央大学客員教授・稲村公房氏の「『日本の大安売り』にもなるのではないか」との質問に、マレーシアのマハティール元首相が「資本を持つ彼らは、どこにでも入り込んでカネにまかせて企業を買収できるので、結局は市場を独占してしまうでしょう」「私はTPPによって、マレーシアが自由に国内政策を行うことができなくなると確信するにいたったのです。」また、稲村氏の「盲腸炎を患って手術をすれば日本国内では、負担は10万円程度で済みますが、ニューヨークではおそらく200万円はとられるでしょう。米国では医療保険に入っていない貧困層は手術が受けられないで死んでしまいます。医療保険に入っていても、保険会社が入院する病院まで決めてしまうような制度です。米国は日本に対して、米国の保険制度を採用させようと圧力をかけて虎視眈々と狙っています」とのTPPの狙いを指摘したのに「以前日本では確かに格差が小さかったかもしれませんが、富める者が貧しくなり、貧しいものがもっと貧しくなったのだと言えないでしょうか」と答えている。
また、政治経済評論家の植草一秀氏は6月26日植草ブログ『知られざる真実』で、「現時点ですでに明らかになっている懸案事項のなかで、とりわけ重大であるのが、医療制度と食の安心・安全が根底から崩壊する可能性が極めて高いことである。すべての国民に必要十分な医療を供給することを保障する制度が破壊される。食の安心、安全を守る諸規制が破壊される。」とTPPが最も危険だと警鐘乱打している。TPPは全体像が、日本では明かされていない密室の協議がまかり通っている。こんな乱暴はかつてないことだった。TPPについては不明な個所が多く、情報公開が求められているが、事態はその声は黙殺されて進行している。
また、厚生省は15日、介護保険料は払えず、滞納ペナルティーを受けた高齢者が2013年度で1万2849人に上ったことを明らかにした。大阪が最多の935人、次いで横浜が2位で441人となっている。介護保険滞納が1年以上になると、サービスの利用の際、いったんサービス費用の全額を自己負担し、後から払い戻しをうける「償還払い」となり、1年半以上では、滞納分の保険料を納めるまで、払い戻しが止められる(保険給付の一時差し止め)。滞納2年以上では、利用料の自己負担が1割から3割に引き上げられる。ここでは、介護保険料を天引きされると生活が成り立たなくなり、生活保護を受けざるを得ない事態が発生している。貧困が健康被害を引き起こしている。追い打ちをかけるように、病床数の削減を、政府厚生省は計画しているようだ。朝日の6月16日朝刊によると、「『1割削減可能』 医療から介護、推進 25年政府目標」と見出しして、「政府は15日、2025年に全国の入院ベッド数を16万~20万床削減できるとする目標を発表した。今の1割程度に相当する。入院ではなく、自宅や介護施設で療養できる人がいるためとする。ただ、介護施設が足りない地域も多く、受け皿の整備が課題となる。」と報道している。鎌倉の病院がどの程度のベッド削減を計画することになるかーーはまだ不明だが、いずれにしても、このままでは入院と言う、生命の危機に直結しかねない緊急事態が「医療費削減」と言う名目で、削減されかねない。今回は長くなってしまった。出来るだけ短くするつもりが証明しようとすると長くなってしまうのを、ご寛恕願いたい。