【法人企業統計16年1-3月期~企業収益の悪化が鮮明に ZUU Online - 2016年6月1日
■製造業、非製造業ともに減益に
財務省が6月1日に公表した法人企業統計によると、16年1-3月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比▲9.3%と2四半期連続の減少となり、減少幅は10-12月期の同▲1.7%から拡大した。
製造業(10-12月期:前年比▲21.2%→1-3月期:同▲20.4%)が2四半期連続で20%台の大幅減益となったことに加え、非製造業が前年比▲4.5%(10-12月期:同12.7%)と13年1-3月期以来、3年ぶりの減益となった。(GG:非製造業は)
製造業は輸出数量の減少が続く中、円高の進展に伴う輸出価格の減少幅拡大から売上高が前年比▲2.2%(10-12月期:同▲1.4%)と減少幅が拡大したことに加え、売上高経常利益率が15年1-3月期の5.4%から4.4%へと3四半期連続で悪化した。
製造業の売上高経常利益率(前年差)を要因分解すると、人件費要因、変動費要因が利益率を大きく押し下げた。変動費は原油価格下落などから前年比▲1.3%と6四半期連続で減少したが、売上高の減少幅がそれを上回ったため、利益率の押し下げ要因となった。
非製造業は、売上高経常利益率は5.0%と前年と同水準で踏みとどまったが、個人消費を中心とした内需の低迷を反映し、売上高の減少幅が10-12月期の前年比▲3.2%から同▲3.8%へと拡大したことが収益を悪化させた。
非製造業の売上高経常利益率(前年差)を要因分解すると、円高、原油価格下落を反映し、変動費要因が利益率を大きく押し上げる一方、人件費要因のマイナス幅が大きく拡大した。非製造業の人件費は8四半期連続で増加し、1-3月期は前年比3.5%と10-12月期の同0.7%から伸びを大きく高めた。
経常利益の内訳を業種別に見ると、製造業は、食料品(前年比10.0%)、化学(同10.3%)は増益を確保したが、海外経済減速や円高の影響などを受けて、はん用機械(前年比▲14.8%)、生産用機械(同▲33.5%)、業務用機械(同▲36.1%)、電気機械(同▲60.7%)、輸送用機械(同▲28.7%)が軒並み前年比二桁の大幅減益となった。
非製造業では、不動産市場の好調を反映し建設業(前年比4.1%)、不動産業(同2.3%)は増益を維持したが、個人消費の低迷などから卸売・小売業が前年比▲15.7%と4四半期ぶりの減益となった。
季節調整済の経常利益は前期比▲6.8%(10-12月期:同▲3.3%)と3四半期連続で減少した。製造業(前期比▲8.0%)、非製造業(同▲6.2%)ともに前期比マイナスとなった。
経常利益は13年度後半から15年前半にかけては過去最高水準の更新を続けてきたが、完全にピークアウトする形となった。直近のピーク時と比較すると、非製造業の低下幅は1割以下にとどまっているが、製造業は約3割も落ち込んでいる。
■設備投資は堅調を維持も先行きは減速へ
設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比4.2%と12四半期連続で増加したが、10-12月期の同8.5%からは伸びが鈍化した。製造業(10-12月期:前年比10.2%→1-3月期:同6.7%)、非製造業(10-12月期:同7.6%→1-3月期:同2.9%)ともに前期から伸び率が低下した。
季節調整済の設備投資(ソフトウェアを除く)は前期比1.4%と小幅ながら2四半期ぶりに増加した。製造業(10-12月期:前期比▲0.1%→1-3月期:同1.2%)、非製造業(10-12月期:前期比▲0.0%→1-3月期:同1.5%)ともに2四半期ぶりの増加となった。
企業収益が大きく悪化する一方、設備投資は底堅さを維持しているが、これは企業収益が好調だった時期に計画された設備投資がようやく実施されたことを反映した動きと考えられる。企業の設備投資意欲を示す「設備投資/キャッシュフロー比率」は依然として50%台後半の低水準で推移しており、企業の設備投資意欲がここにきて大きく高まったわけではない。
内閣府の「企業行動アンケート調査(2015年度)」によれば、今後5年間の実質経済成長率見通し(いわゆる期待成長率)は1.1%となり、前年度から0.3ポイント低下した。「設備投資/キャッシュフロー比率」は期待成長率との連動性が高いため、先行きも企業の設備投資意欲が大きく高まることは見込めない。企業収益の悪化を受けて先行きの設備投資は減速基調を強める可能性が高い。
■1-3月期・GDP2次速報は小幅上方修正を予測
本日の法人企業統計の結果等を受けて、6/8公表予定の16年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.5%(前期比年率1.9%)となり、1次速報の前期比0.4%(前期比年率1.7%)から若干上方修正されると予測する。
設備投資は前期比▲1.4%から同▲0.4%へと上方修正されるだろう。設備投資の需要側推計に用いられる法人企業統計の設備投資(ソフトウェアを除く)は前年比4.3%と12四半期連続で増加した(10-12月期:同8.9%)。一方、金融保険業の設備投資は前年比▲9.0%と4四半期ぶりに減少した(10-12月期:同4.5%)。
法人企業統計ではサンプル替えに伴う断層が生じるため、当研究所でこの影響を調整したところ、設備投資の伸びは前年比3%台後半となった。公表値より伸びが若干低くなったが、GDP・1次速報の設備投資は名目・前年比▲1.5%となっていたため、本日の法人企業統計の結果は設備投資の上方修正要因と考えられる。
民間在庫は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映され、1次速報の前期比・寄与度▲0.0%から同▲0.1%へと下方修正されるだろう。その他の需要項目では、3月の建設総合統計が反映されることなどから、公的固定資本形成が1次速報の前期比0.3%から同▲0.5%へと下方修正されると予想する。
斎藤太郎(さいとうたろう)ニッセイ基礎研究所 経済研究部 経済調査室長】
●現状はカネジャブジャブ漬けした実需無しの株バブル、日銀は出口戦略取れず 出口戦略取ればバブルは破裂!
(GG:安倍の言葉と裏腹に現実を示している。果たして日本はデフレを脱却したのか?確かに証券市場は高騰している。QEをやりマイナス金利にしたものの効果が思ったほど上がっていないから、黒田は金利をさらに下げる用意もあると言って民心を安定化させようとしているが、逆に民心はマイナス金利に違和感を覚え始めたのではないか。実需が無いのにカネをジャブジャブ注ぎこんで証券市場はバブル状態なのだ。現状は不況下の株高なのだ。この株高は円安によって演出されているが、それさえメッキの塗料が剥げ落ち始めたのが昨今の乱高下だ。
もちろん企業にとってもマイナス金利は剰余金の運用に証券市場しか残っていない、危険を感じている。有効求人倍率が上がっている、就職率が上がっていると言っても、企業は多くの人員を採用して、中途退職するロスを見込んで大量に採用しているが実態ではないのか。
企業業績の指標の落ち込みが激しいのは以上の記事の通りで、サミット閉会での安倍の「G7伊勢志摩経済イニシアチブ」は事前にこの法人企業統計を知っていたのではないかと思えるほど悪い。
世界的に、株式市場からの資金流出が7週間連続で続いており、著名投資家は株式投資から撤退しつつあると言う。株式市場のみ意気軒高は終わったようだ )