奈良先端大で講義をしたときの縁で、
伊原さんと津田さんと
大平先生とお話しした。大平さんはSkypeでカナダから参加。意外となんとかなるもんだとびっくり。多岐に渡って、今後どういったFLOSSの発展を促すような研究ができるか、ブレーンストーミングを行った(と私はそう思っている)。
ま、FLOSSプロジェクトは日本では流行ってないよな~というのが皆の一致点の一つで、わかっていながらもすこしゲンナリした。正直OpenOffice.org日本語プロジェクトはまだ流行っている方である。
ものすごく社会の認知度が無い。だから開発者が殆どなく、単にダウンロードするだけ、というのがあるんだろうな。利用者と、貢献者の立場が全然違うのを悲しく思う。利用者はほぼ確実に上から目線だ。「使ってやっている」が根底にある。firefoxと比較されてもこまるのが、Mozillaは資金が潤沢にあって羨ましい。これだけ企業も行政もコミット無しに、OpenOffice.orgを永続的に使う、というのには限界があるだろう。情けないと思うのは、行政がほぼ、個人ボランティアに依存している現実さえ理解してないということだ。行政は公共のことをすこし考えたほうが良いだろう。
我々OpenOffice.org日本語プロジェクトはリリースする責任はないし翻訳する責任もない。我々があるのは、日本語版をリリースをしたい、英語のまま、は嫌だ、翻訳したい、という人たちをなんとかどうにかして、受け入れて、リリースしたり、翻訳できるようにしたい、ということだけである(それ以外について一切やりたくないのか、というのは、やりたいがやれない、ということで、置いておく)。最悪、英語まじりのユーザーインターフェースやヘルプのままリリースもありうるし、下手すればセキュリティホールがある旧バージョンを使いつづけることになるかもしれない。だれもそのプロジェクトにその目的のため、お金を出しているわけではないからだ。これはLibreOfficeになってもそんなに状況は変わらない。誰かがタダ働きし続けるというのがあれば、ともかく。
これをふまえても、アシストの立場もよくわからない。これだけ
QAに参加しないと新バージョンがリリースされませんよ、セキュリティ対策はまずいのでは(それを顧客に薦めるというビジネスをしている点で)、といっても参加する気配は殆どない。毛井さんという方が参加されており、それはそれでありがたいが、そこまで本腰が入っているようには見えない。まぁ
横浜市でもOpenOffice.org評価検証支援業務委託 (公募型指名競争入札)については、アシストが、たった半年で115万1500円で落札しているので、これでは人件費も出ないだろう。普通SEを雇っても月115万でもおかしくはないだろう。今後談合でもしない限り値段は上げられないのではないか。無料のOpenOffice.orgとともに、タダだということで、買い叩かれているのは事実だろう。
いずれにせよ、アシストが悪いという気も毛頭ない。ただ単に、OpenOffice.orgの日本での社会認知度はそれくらい、ということだ。嘘と思うならば科学技術と比較すれば良い。知的好奇心は大学や研究所という社会組織まで発展し、税金がでる。社会にそれが必要だとコンセンサスができているのだが、オープンソースプロジェクトにはそういうものがない。その上で使うというに無理があるのだ。
一つ疑問に思うのが、日本語圏の人たち、(おもに日本人)OpenOffice.orgの日本語訳は日本語圏でやりたいと思っているのだろうか。それともOracleがやってくれたほうがいいと思っているのだろうか。ソフトウェアを作りたいとは思っているのだろうか、思ってないんだろうな~というのが私の答えである。ただOpenOffice.orgは重要なのでやっているが、発展も少ないだろう。LibreOfficeなってもそう変化は無いとおもわれる。
池田信夫氏が、twitterで、
OpenOfficeでPPTファイルを開くと、旧漢字がでてくるバグは、いい加減に直してほしい。 といっているが、ま~直らんだろ(こういう風に大々的にでると直るかもしれないが、他の多くの課題はそこまでいかない。バブルを作り出すのはとても重要...なのか(?))。使ってくれているのにはびっくり。ちょっとうれしかった。
できればGoogleが、私の認識を変えてほしいところだ。FLOSS開発者や博士号を持った情報系の研究者を多く雇っている。FLOSSをやってよいキャリアパスになる、そういう見本を見せてくれているのが素晴らしいし、そこには一定の期待を寄せている。