中田真秀(なかたまほ)のブログ

研究について、日常について、その他。

大学の授業と予備校の授業

2015-02-16 11:52:22 | 日記
高校から大学に入ってきて、予備校の授業を受けてきた人にとっては、大学の授業が如何に下手かには衝撃をうけるだろう。
情熱もなく、わかりやすくもなく、教科書棒読み(これも必ずしも悪いことではないが)...
「大学に入って学生に勉強させるのが正しいか否か」ここから多分議論には成るかもしれない。

端的には、予備校の講師には激しい競争があるにもかかわらず、大学での一般教養で教えることには競争が全く入ってこないからだ。
特に旧帝大での典型としては、先生は教養で教えることには興味がなく(さらに一番よいのは授業に出ず自分で本を読むことだと思っている人が多い)、専門ではまだもう少し興味がある。

専門で教えることには次の二点で興味がある。
* 優秀な学生に自分の研究室に入ってほしいということ
* 最先端の自分の研究を教えると、自分にとって考えが整理されるということ

30年後にそこはかとなく重要性が解る、そんな教育も悪くはないだろうが、せっかく授業をしているのにお互いモチベーションが低いというのは、お互いの時間、能力の無駄となり、大変もったいない。アンケートは多分そこまで意味はないだろう。学生は単位が欲しいから媚びるだろうし、先生も甘めの授業をすればよく、媚びるだけで、お互いサボるのがwin-winとなってしまう。
行動経済学的にモチベーションを上げるのはどうしたらいいのだろうか。

* 一コマあたり手当を出す(非常勤である僕は出てる)
* 授業は実は進路に非常に影響を与えている(なんとなく感じる)
* 今を生きるには幅広い知識が必要(学際的な研究が重要?)
* むしろ授業をなくしてしまって、研究室配属、専門決定過程でもう一度試験をする(東大の進振りみたい?)

とか思った。




理論化学、量子化学、理論物理の違い...学生にとって:構造化学

2015-02-16 11:20:00 | 日記
理論化学、量子化学は面白いんだけど、化学の中ではかなり不人気である。理由は、数式が苦手な人が化学には多いからだ。
確かに有機化学の人は多分数式をほとんど見ないだろうなと思う。Gaussianは触るだろうけど。

理論物理は全く逆で、物理の学生は数学も大好きで、理論物理はむしろ人気がある。数学か物理か。迷う学生は多い。
ということで、理論化学や量子化学でやる気のある学生を集めるのはなかなか難しい。

化学には進んでほしいけれど工学系だろうが理学系だろうが、まさか情報系だろうが、量子化学が出てくることはある。
他にも有機化学、無機化学、物理化学、薬学、物性物理、原子物理...様々なところで顔を出す。計算を流すだけの場合がほとんどだが、大まかに知っていないと全くわからないだろう。
基礎的なところはもはやほぼ完成してしまったが、応用をすること、より巨大系に適用できるようにする研究は
まだまだ重要である。

分野はもはや垣根がない。当たり前だが物性物理の人は、例えば超電導などを考えたい場合銅のd軌道が、
ということを平気で使う。

構造化学は、そんな学生たちにとってもサラッとでも量子化学を学ぶ機会を提供できる。

なんだかんだいってちゃんと第一原理から化学を説明できて学んでもらえる機会を作ってもらえてすごく嬉しい。