BOYSCOUT TROOP74, NAGOYA, AICHI, JAPAN

ボーイスカウト名古屋第74団のブログです。
各隊のプログラム、活動報告、コラムなどを掲載しています。仲間になろうよ!

Do a Good Turn Daily vol.24

2006年01月06日 | コラム:日日の善行


 『1月7日、私の最愛の人は1日のほとんどを眠っていた。夕食後、そこに座っていたシスター・レイは、彼が突然悪くなり、もしかしたら今夜はもたないかもしれませんと、言った。彼は呼吸が重くなり、全く意識がなくなり、ただ時々手を動かすだけだった。私は今終わりが来るとは信じられず、ベットに行き、眠りに落ちた。

 1月8日、午前2時30分、シスターが「ご臨終を迎えています」と、言いながら私を起こした。私は彼の部屋に行き、ベットの側に座り、最愛の人の生命の灯が消えゆくのを見守った。彼は全く意識がなくなり、まだゆっくりとあえぐように白くかすかな呼吸をしていた。シスター・レイは、ベットの反対側に座り、かすかに打つ脈を取っていた。
 午前5時頃、私は彼が今日はまだ大丈夫だろうと思い暖をとるためにベットに戻ることにした。私は愛する彼の額にキスをし、シスター・レイは彼の側に残っていた。そして午前5時45分、彼女が突然こちらへ来るのを横になったまま聞いた。
 「お亡くなりになりました」
 彼は生前のように魅力的で、完全に見えました――言うことのないほど気高く、善良で、いとおしく、素晴らしく、偉大で、完全無欠でした。』

(W・ヒルコート著 根岸、安斉監訳「ベーデンパウエル 英雄の二つの生涯」p548-549)


 スカウト運動の創始者であるロード・ベーデン・パウエル・オブ・ギルウェル(B-P)は、1941年1月8日にこの世を去りました。
先に掲げた文は、B-Pの妻であるオーレブの日記から、B-Pの臨終の様子を記した箇所です。
 次に掲げるメッセージは、彼が遺した文書の中から死後発見されたもので、君たちスカウトにあてたものです。
 スカウトハンドブックにも載っていますが、有名で名文ですのでよく味わってください。


  
 
 スカウト諸君

 「ピーターパン」の劇をみたことのある人なら、海賊の首領が死ぬ時には、最後の演説をするひまはないにちがいないと思って、あらかじめその演説をするのを、覚えているであろう。私もそれと同じで、今すぐ死ぬわけではないが、その日は近いと思うので、君たちに別れの言葉をおくりたい。
これは、君たちへの私の最後の言葉になるのだから、よくかみしめて、読んでくれたまえ。

 私は、非常に幸せな生涯を送った。それだから、君たち一人一人にも、同じように幸福な人生を、歩んでもらいたいと願っている。神は、私たちを、幸福に暮らし楽しむようにと、このすばらしい世界に送ってくださったのだと、私は信じている。金持ちになっても、社会的に成功しても、わがままができても、それによって幸福にはなれない。幸福への第一歩は、少年のうちに、健康で強い体をつくっておくことである。そうしておけば大人になった時、世の中の役に立つ人になって、人生を楽しむことができる。
 
 自然研究をすると、神が君たちのために、この世界を、美しいものやすばらしいものに満ち満ちた、楽しいところにおつくりになったことが、よくわかる。現在与えられているものに満足し、それをできるだけ生かしたまえ。ものごとを悲観的に見ないで、なにごとにも希望を持ってあたりたまえ。

 しかし、幸福を得るほんとうの道は、ほかの人に幸福を分け与えることにある。この世の中を、君が受け継いだ時より、少しでもよくするよう努力し、あとの人に残すことができたなら、死ぬ時が来ても、とにかく自分は一生を無駄に過さず、最善をつくしたのだという満足感をもって、幸福に死ぬことができる。幸福に生き幸福に死ぬために、この考えにしたがって、「そなえよつねに」を忘れず、大人になっても、いつもスカウトのちかいとおきてを、堅く守りたまえ。神よ、それをしようとする君たちを、お守りください。

 君たちの友

 
 ベーデン-パウエル・オブ・ギルウェル