≪バッチに挑戦≫ 水の事故にそなえる(その4)
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Do a Good Turn Daily vol.7も併せて読んでみてください。
□ 5分以内に開始せよ!!
日本では救急車の到着までには、平均約6分かかるといわれています。
スカウトが活動する野外ならば、交通が不便な場所も多いので、もっとかかってしまうことも考えられます。
一方で、呼吸や心臓が止まって3、4分も経ってしまうと死亡の危険性が大きくなります。
ですから、もし人が倒れたら、近くにいる人がすぐに救命措置を行うことが大切です。
今回は、その手順をまとめておきます。
□ 救命措置手順
1 傷病者発見 『人が倒れています。』
2 現場周囲の状況の観察・保護具の装着 『二次事故等の危険性なし。』
救助者が、救助の際に事故に巻き込まれないよう、まずは傷病者の周囲の状況が安全かどうかを観察します。
足場が崩れそうだ、物が落ちてきそうだ、車の往来が激しいといった比較的簡単に危険の有無が認識できる場合ばかりとは限りません。有毒ガス等による中毒、感電などは目で見てわからない場合もあるので、匂いや音などにも注意して十分観察してください。
また、傷病者の血液等からの感染を防ぐために、プラスチック製手袋を装着します。できればメガネやマスクなどの保護具も装着します。
二次事故の危険性があると判断した場合は、速やかに119番に通報し、救急隊の到着を待ちます。
3 傷病者の全身状態の観察 『大出血等なし。』
大出血等をしている場合は、速やかに止血の処置を必要とします。
4 意識の確認 『もしもし、大丈夫ですか……意識なし。』
3回程度傷病者の肩をたたきながら、耳元で問いかけます。ゆすったりしてはいけません。
この時野次馬等に救助者が押されて傷病者に倒れこまないように、安定した姿勢で行います。
意識がある場合は、『私はボーイスカウトの○○です。救急法は訓練していますので安心してください。』などと自己紹介します。
そして、傷病者の名前、どうしてこうなったか、痛いところはないかなど聞き取ります。ここで得られた情報は、救急隊に伝えます。
傷病者の希望する姿勢とし、救急隊の到着を一緒に待ちます。
5 支援の要請・医療機関への通報 『誰か来てください!……あなたは119番に通報してください。あなたはAEDを持ってきてください。』
意識がない場合は、緊急事態ですので、直ちに119番に通報します。
他人に通報をお願いする場合は、相手の目を見て、『あなたは…』と声かけします。
『救急車を呼んでください』よりも『119番に連絡してください』といいます。とっさのときに、混乱して電話番号を間違える恐れがあるからです。
通りすがりの人の場合は、場所を正しく伝えられない可能性があるので、近くのお店や施設の管理者に電話をしてもらうよう指示します。
救急車の要請の電話の仕方を確認しよう!
意識・大出血等傷病者の状況は、電話をかける前に必要最小限把握しておきます。
① 119番消防です 火事ですか? 救急ですか?
「救急です。」と答える。
② 場所はどこですか?
自宅・会社・工場・学校等なら「住居表示の番地」を交通事故等出先での場合は、「付近の大きな目標となる建物名や道路名」を、不明の場合は地元の人に住所を聞くか、電話を変わってもらう。
③ あなたの名前と電話番号を教えて下さい。
「私の名前は○○で電話番号は○○ー○○○○」
※公衆電話の場合は、公衆電話にある5桁のキャビネット番号を告げる。
④ 状況について
現在の状況・年齢・性別を見たままに話し、係員の質問に落ち着いて答える。意識が有るか無いかは、必ずどのような症状であっても先に伝える。
6 気道の確保
鼻(口)から肺までの空気の通り道(気道)を開けることを気道確保といいます。
気道確保をしないと、人工呼吸を行っても肺に空気が入らないため蘇生できません。
おでこに手をあて後ろに押し、もう一方の手であごの先端をあげ、気道を確保します。(頭部後屈あご先挙上)。口の中に異物が入っている場合はこれを慎重に取り除きます。
7 呼吸の確認 (ほほを傷病者の口に近づけ確認) 『呼吸なし。』
ほほをが傷病者の口に着くぐらい近づけ、呼吸音やほほに伝わる感触で、正常な呼吸の有無を確認します。ガッ、ガッと言うような呼吸は正常な呼吸ではありません。
よくわからない場合は、なしとして判断すべきです。
正常な呼吸(自発呼吸)がある場合は、傷病者を回復姿勢にし、毛布などで来るんで暖かくして、観察し続けます。
8 人工呼吸を2回
呼吸がない場合は、人工呼吸をします。
気道確保し、指で鼻をつまんで閉じ、自分の口で傷病者の口をおおいます。
ゆっくり(2秒かけて)と息を2回吹き込みます。
傷病者の胸が上がれば、有効に吹き込まれています。横目で確認します。
感染予防等のため写真ようにフェイスシールド等を利用します。
スカウトならば、人を助けるための救急用具として、フェイスシールド、プラスチックス製の手袋、三角巾、包帯、ガーゼなどは最小限個人でも用意しておきます。薬は自分用です。
9 循環のサインの確認 (傷病者の呼吸、咳、身体の動きの有無を確認) 『循環のサインなし。』
人工呼吸を2回した後に、循環(心臓が働いているかどうか)のサインを確認します。
確認方法は、傷病者の自発的呼吸、咳、体が動くかどうかでみます。
循環のサインがあり、自発呼吸もあれば傷病者を回復体位にし、観察します。
循環のサインはあるが、有効な自発呼吸がない場合は、人工呼吸を続けます。
循環のサインの確認に10秒以上かかってはいけません。
わからなければ、なしとして心肺蘇生に移ります。
10 心肺蘇生(CPR)の開始
循環のサインが確認できなければ、胸骨圧迫を15回、その後人工呼吸を2回します。
胸骨圧迫は、胸の真ん中辺り(乳頭を結んだ線の真ん中ぐらい)のところを両胸の中心部を、手の踵の部分を使って、肘を伸ばして垂直に成人で4~5cm押し込みます。1分間に100回できるリズムがよいとされています。
これを4回繰り返した後、再度循環のサインの確認します。
循環のサインがない場合は、CPR継続し、AEDや救急隊の到着を待ちます。
11 AEDの到着
AEDが到着したら、準備の間、可能であれば協力者にCP(胸骨圧迫から)を代わってもらいます。
AEDは、まず電源を入れます。あとは、機械の指示に従って操作します。
処置の期間中は、傷病者に触らないようにします。
3回電気ショックを行った後、循環のサインを確認するよう、機械から指示があります。
循環のサインがあれば、それに応じた処置をします。
循環のサインがなければ、CPRを再び始めます。
このとき、電極パッドははずさず、傷病者の身体につけたままにしておきます。
救急隊の到着したら、これまでの状況を報告し引き継ぎます。
まとめ 溺れた場合に君たちがすること・できること
溺水者 落水したら、落ちついて水面を目指す。あわてて泳ぎださない。
救助者 近くの人に119番通報を依頼する。大人の支援者を求める。溺水者から目を離さない。
溺水者 浮くことに専念する。呼吸をするために仰向けになって、鼻と口を水面上に出して浮く。(背浮き)
救助者 「大丈夫だぞ!」などと溺水者に声をかけ、励ます。浮くもの(ペットボトル・ゴミ袋・ランドセル等)をたくさん投げてあげる。陸上から救助を試みる。
溺水者 何とか浮いて呼吸しつづけ、救急隊が現れるまで待つ。
救助者 救助車、救急車の音が聞こえたら、誘導する。
一人でも多くの人が「水」の怖さと知り、「そなえよつねに」で行動すれば、事故が減っていくということは言えるのではないのかな…
<この章終わり
≪ 参 考 ≫
日本赤十字社 救命手当て
http://www.jrc.or.jp/safety/kinkyu/index.html
名古屋市消防局・小中学生を対象とした救命講習会
http://www.city.nagoya.jp/kurashi/shoubou/shoubou/koushuu/nagoya00020866.html
<関連バッチ> B-3 水泳
1 水泳するときに特に危険から身を守るために守らねばならないことを説明する。
2 足から水にとび込み、100メ-トル以上泳ぐ。(場所と所要時間を制限しない)
3 岸・船・プ-ルサイドなどから水中に飛び込むとき、注意する事柄を説明する。
4 バディシステムについて知り、実際に隊または班の活動で実施する。
5 溺れている人を、水に入らないで救助する方法を説明する。
6 隊長の指導を受け、服を着たまま泳ぐ体験をする。