六月博多座大歌舞伎 夜の部

６月４日（火）

市川猿翁丈、市川猿之助丈、市川中車丈の襲名披露公演に行って来ました。


大体いつも歌舞伎を観る時は、昼夜通しで観るんだけど、今回は昼の部がスーパー歌舞伎だったので、ま、いっかと思って夜の部だけの観劇でした。


　小栗栖の長兵衛
乱暴者の小栗栖村の長兵衛は、博打や酒におぼれる村中の嫌われ者。しかし、この度の山崎の合戦で明智光秀の首を取っていたことがわかると、村の英雄だと褒め称えられ、長兵衛は意気揚々と褒美を受け取りに京へと向かうのです。
市川中車丈が小栗栖の長兵衛役で大奮闘でした。この作品は歌舞伎とは言え、まだ芝居っぽい雰囲気だったので、さすがは上手い役者さんである中車丈は活き活きと演じていらっしゃいました。
嫌われ者だった長兵衛が、手柄をあげていたと知るや否や、村人達が手のひらを返したように長兵衛に親切になったのが面白いですね。人間ってやっぱりいつの時代でもゲンキンなんですね。

　口上
今回の公演は二代目市川猿翁丈、四代目市川猿之助丈、九代目市川中車丈の襲名披露だったのですが、猿翁丈は体調不良のため休演されていらっしゃいました。
他のご出演の坂東彌十郎丈、片岡秀太郎丈が、猿翁丈との思い出話や猿之助丈や中車丈への期待などをお話され、襲名披露らしい華やかな雰囲気でした。

　桜門五三桐
猿翁丈と中車丈の親子共演が目玉だったはずなんですが、さっきも書いたように猿翁丈が体調不良のため休演。どうも初日から休演されていたようで・・・。
私はいつも歌舞伎を観る時は中日以降に行くのが常なんですが、今回は猿翁丈がご出演とは言え、後半だと休演されるかもと思い３日目の観劇でした。
なのに既に初日から休演とは、言い方は悪いですが　「詐欺？」　と思わなくもないですね。
猿翁丈の代役は市川右近丈でした。
この演目は１５分ほどの短いものなんですが、ご出演予定だった猿翁丈の体調を考慮してか、更に短く捕り手のシーンなどがカットされていました。
右近丈の真柴久吉はさすが。「石川や浜の真砂は尽きるとも」の言い回しもたっぷり聴かせてもらいました。
中車丈の石川五右衛門は、一生懸命型に合わせようとしているだけに見えて、やっぱり普通の役者と歌舞伎役者との違いって、「歌舞伎」の中では歴然と表れるんだなーって思いました。そりゃそうだよね、２歳３歳から「歌舞伎」の中で過ごしてきた役者には、どんなに上手くっても敵わないだろうなぁ。
でも「生涯を掛けて精進する」と仰ってる通り、中車丈のこれからに期待します！

　義経千本桜　～川連法眼館の場～
これは猿之助丈演じる、源九郎狐の宙乗りが見もの～。
源九郎狐が両親の皮で作られた初音の鼓を恋しがって、佐藤忠信に変化し、静御前に供として源義経の元へやってきます。が、忠信の様子がいつもと違うと不審がられ、詮議をすると忠信は正体を現し「実は自分は狐で、その初音の鼓の皮は自分の親であり、それが恋しくて鼓に付いてきたのだ」と白状します。
不憫に感じた義経は初音の鼓を源九郎狐に渡すと、源九郎狐は喜び勇んで去っていくのです。
早替りや数々の仕掛けがあり、最後は花吹雪舞う中、宙乗りで３階席まで飛んでいくという、歌舞伎の楽しさがいっぱいに詰まった作品でした。
猿之助丈、やっぱり上手いねぇ。狐の可愛らしい仕草やしゃべり方、嬉しさで踊りだす身のこなしなど、さすが！って唸るシーンがたくさんありました。
で、歌舞伎の公演でアンコールなんて、勘三郎さんの公演でくらいしか見たことなかったのですが、拍手がなりやまず舞台から猿之助丈がご挨拶に出てこられました。
純粋に芝居に感動してのアンコールなら良いのですが、福岡の客は「なんとか有名人を少しでもたくさん観たい」と思っているような節があって、とにかくアンコールを強要しているような気もします。あれってどうなの？

ともあれ全体的に満足しました。澤瀉屋の未来が楽しみですね。

夜の部の分の錦絵。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

襲名披露の特大ポスター。

猿之助丈と親交の深い、福山雅治氏撮影ですよ。
背景は襲名披露公演がある土地ある土地で変わるみたいです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こちらも福山雅治氏デザインの幕です。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ステキですね。

今日のささやかな幸せは、歌舞伎を観に来れた事かなと思っていたら、隣の席のオバサマが「どうぞ～」と言って、お饅頭をお裾分けして下さったので、そのことになりました。
千鳥饅頭、美味しかった。