万里村奈加の部屋

ネコとつまみ食いと、時々マンガの日々

ふんりゅう その3

2009年07月16日 | 雑感
くだらない話で3回も引き延ばしてしまった。
本日、最終話。



「ここは野戦病院か!」  

しかし、怒りが魔女をひどく冷静にした。
というより、開き直りが魔女に生まれた。
大きくはっきりした声で

「肛門の脇にできものができました! 
 痛くもかゆくもありませんが、心配なので診ていただこうと思いました」


と答えていた。

ベッドで寝ていたおじさんが飛び起き、申し訳なさそうに
「オレ、外で様子みてるから…」と診察室を出ていった。


さすがに先生も無神経だったことを感じたらしく、
カーテンの向こうの診察台に魔女を導いた。
肛門科の診察台は奥にあった。
別に特殊な形もしていなかった。(ここだけかもしれないが)

不思議と恥ずかしさはどこかに吹き飛んでいた。


し・ん・さ・つ



「粉瘤だね」見て1秒で先生が言った。

初めて聞いた“粉瘤”という言葉。
ちなみに明治時代の命名らしい。
ニキビとはちがうが、まあニキビのの親方みたいなもの。
ほとんどが上半身にでき、多くの場合は背中にできるということ。

魔女だけなんでおしり!?

ほおっておいてもガンになったりはしないが、
炎症を起こす可能性もあるので
できれば切って取ってしまった方がいい。
でも、暑い時期はさけて、秋になったら手術したらと勧められた。

秋・・・・この病院に再び来るかどうかは不明。
ともかくも、悪い病気でなくてほっとした。



例の受付で810円の診察代を払った。

「何日かお風呂に入れないし、暑い時は手術しない方がいいのよ」
老看護師(たぶん)は、診察室にはいなかったが、ちゃんと話は聞いていたようだった。
「じゃあ、涼しくなったら考えます」と魔女が答えたら、
またもや「ええっ?!」と聞き返された(〒_〒)

「そのうち来ます!」と大きな声で言い返した。
すると、
「突然来ても手術はできないわよ。一回診察してからよ!」と追い打ちをかけてきた。
人の話を聞かないのに、自分の言いたいことだけ言うんだな。
ま、年寄りはどこも一緒か・・・・


ため息をつく魔女を待合室で怪我おじさんが見ていた。
開き直りの笑顔で会釈して帰って来た。
どうせ、診察室の声も 筒抜け だったに違いない。
同情してくれたかもしれない。




病院を出る魔女の頭の中で『世にも奇妙な物語』のガラモン・ソングがぐるぐると回っていた。
振り返った時、この病院が消えていて
枯草いっぱいの空き地だったとしても驚かないぞ。

看護師はタヌキで先生はキツネかもね。

お祖末様でした。


コメント (9)
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