漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

東大卒、大蔵省出身、元代議士

2009年01月04日 | Weblog
昔、「末は博士か大臣か」云う映画があった。

文芸春秋社を興した「菊池寛」の、
貧しさの中、作家を目指す苦節の人生を脚色、映画化したもの。

主役にフランキー堺、

映画の中、
貧しい学生菊池寛は、
図書館の蔵書を質入れした疑いを掛けられる。

その本は、
友人に頼まれ質入れしたもので、
この疑いはヌレギヌだったのだが、

その友人の父が教育者であることを知り、
寛は、黙ってその罪をかぶり、退学を決意する。

この映画のひとつのヤマ場です。

その寛の通う学校が「一高」、現在の東京大学。

題名の「末は博士か大臣か」は、
若い日の菊池寛が、周囲の人々から嘱望され、云われたセリフ。

一時は流行語になった。

処で、
この正月中に、
一人の元代議士が高層マンションから飛び降り自殺した。

彼は、
東大を出て大蔵省、そこから代議士と云う、
まさに、「末は博士か大臣か」のコースを歩むはずだった。

しかし、功を焦り、
時の自民党幹事長の醜聞を暴こうとして、
偽メールに引っ掛かり、代議士の地位を失う羽目となった。

それから二年、
再起がはかれず、精神的にも追い詰められていたようだ。

まだ39才、
東大、大蔵省と云う彼の経験を生かせば、違う生き方もあったろうに。

新聞にある彼の経歴を見る限りでは、

これまでが、
あまりに順調な人生だったため、
たった一度の挫折に耐え切れなかったのかなと云う気もする。

菊池寛のように、
艱難辛苦、様々な経験を積んでいたら、また違ったろうにと思う。

飛び降りた場所には、
遺書を記したノートと、
その横に、紙パック入りの焼酎がカラになっていたと云う。




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