漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

「大きな鼻」の象形文字は?。

2008年12月03日 | 言葉遊び
きのうの続き。

白川静氏の批判には、
当用漢字を決める際に行った「字形の変更」もあるのだが、

素人としては、むしろこちらの方が興味深い。

例えば、
「害」や「告」などの元の字は、
タテ棒が、口の上まで突き抜けていたし、

「臭」、「器」、「類」、「戻」などは、
元々は「犬」であったものを「大」へと変更されている。

氏は、これを「理由なき変更」と非難し、

「大」は「人」が手足を広げて立つ姿であり、
イヌの象形文字である「犬」と入れ替えては、

「字の構造的な意味が失われた」と批判する。

確かに、
「犬を人へ」では、
「点一つのこと」と、軽く見過ごす神経にはなれない。

因みに同字書で、「臭」を引くと、概略次のようにある。
 
  ~~~~~~~~~~~~
【臭】 しゅう(シウ) くさい におい におう 
会意文字。
元の字は、自と犬を組み合わせた形。

「自」は正面から鼻を見た形、
これで「犬の鼻」をあらわす。

犬は動物の中でもことに嗅覚が鋭いから、
これで「においをかぐ」の意味となり、
「わるいにおい、くさい」の意味に用いる。

今の常用漢字では、
「大きな自
(鼻)」となり、においの意味とならない。 

常用漢字はこのように、
字の構造や意味を理解できないように変えている場合がある。


  ~~~~~~~~~~~~~


ついでに、「類」と云う字も紹介しておくと、

こちらは、
「米と犬と頁を組み合わせた形」で、
「頁」は、儀礼の時の衣冠を整えた姿。」

これで、
「米と犠牲(いけにえ)の犬を供え、礼装して拝む形となる。」
とあるから、

わずかに「点ひとつ」のこととは云え、

常用漢字のように、
「犬」を「大」に変えては、

生贄(いけにえ)が、犬から人に変ってしまう。

もし、白川先生がご存命なら、

「子供に聞かれてこまる」と云うような理由で、
「しんにょう」の点を、
一つにまとめようとする意見に、どう反応されるか、

それもまた興味深い。





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