漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

鐘を離れる 鐘の声

2016年09月24日 | せけんばなし

「涼しさや 鐘を離れる 鐘の声」

蕪村の句です。

北海道に住む人のブログに、
「今朝の気温、14度、さむ~い」とありました。

山では、そろそろ黄葉が始まってるそうです。

むかし、私の子どものころ、
まだ腕時計が貴重品で、柱時計がメインの時代です。

村では、
「昼まで」の11時と、「昼から」の3時に山寺の鐘が鳴りました。

「昼まで」の鐘は、
野良や山で仕事をする人への、もうすぐお昼の報せ、

「昼から」の鐘は、「こびる」です。

こびるは「小昼」、
休憩とお茶、おやつの時間、

おやつといっても、だいたいが握り飯と漬け物ですがね。 

まぁ、当時の農作業や山仕事は重労働ですから、
しっかり食べておかないと体が持たない。

で、その山寺の息子が遊び仲間に居ましてね、
お父さんが葬式や法事で忙しい日曜日には、鐘つきの役目が回ってくる。

まだ、小学生ですが、
遊んでる途中に帰るんですよ、「きょうは鐘やから」と言って。

その鐘も、いつのころからか、
必要ないからと、撞かれなくなりました。

寺だけは残っていて、
跡を継いだそいつとたまに会うと、

「お前が死んだら、お経ぐらいは上げてやる」

と、そう云うのが、
決まり文句でしたが、

先に死んでしまいました。






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