「涼しさや 鐘を離れる 鐘の声」
蕪村の句です。
北海道に住む人のブログに、
「今朝の気温、14度、さむ~い」とありました。
山では、そろそろ黄葉が始まってるそうです。
むかし、私の子どものころ、
まだ腕時計が貴重品で、柱時計がメインの時代です。
村では、
「昼まで」の11時と、「昼から」の3時に山寺の鐘が鳴りました。
「昼まで」の鐘は、
野良や山で仕事をする人への、もうすぐお昼の報せ、
「昼から」の鐘は、「こびる」です。
こびるは「小昼」、
休憩とお茶、おやつの時間、
おやつといっても、だいたいが握り飯と漬け物ですがね。
まぁ、当時の農作業や山仕事は重労働ですから、
しっかり食べておかないと体が持たない。
で、その山寺の息子が遊び仲間に居ましてね、
お父さんが葬式や法事で忙しい日曜日には、鐘つきの役目が回ってくる。
まだ、小学生ですが、
遊んでる途中に帰るんですよ、「きょうは鐘やから」と言って。
その鐘も、いつのころからか、
必要ないからと、撞かれなくなりました。
寺だけは残っていて、
跡を継いだそいつとたまに会うと、
「お前が死んだら、お経ぐらいは上げてやる」
と、そう云うのが、
決まり文句でしたが、
先に死んでしまいました。