漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

「てぇへんだ、てぇへんだ!」と瓦版売り

2020年10月11日 | せけんばなし

プロ野球も歌舞伎芝居も
観客が居なくてはどうにもならない商売ですが、

競馬だけはちょっと違うようで、
コロナ騒ぎが起きても、ずっと開催してました。

それはつまり、
競馬が、見ると云うよりは「賭けるスポーツ」で、

馬券さえ売れれば、
開催費用が回収できるからですが、

それでもやる側としては、
観客が居ないと、なんだか頼りないようで、

今朝のスポーツ紙には、
「競馬場に観客を入れて開催」と云うニュースの中に、

 こんな記述がありました。

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~

ある騎手が、

「久々にパドックにお客さんが居て、
 ジョッキーが物見をしていた」と話した。

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

読んで一瞬、
「アレッ」と思いましてね、

私の中で、
「物見」と云う言葉に「偵察」のイメージが強かったので。

でも考えてみれば、
「物見遊山」と云う言葉もあるように、

「見物すること」も物見のうちですから、この言い方でおかしくはない。

試みにネット辞書を引いてみたら、
「物見」には、見物や偵察以外にもこんなのが出てました。

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㋐牛車 (ぎっしゃ) の左右の立て板に設けた窓。

㋑壁や編み笠などに設けた穴。

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牛車の窓や編み笠の覗き穴、
つまり、透かし窓みたいな部分も「物見」って云うんですね。

編み笠と云えば、
江戸時代の瓦版売りって深編み笠で顔を隠してたそうですね。

最近のCMで、
「てぇへんだっ てぇへんだっ」と大騒ぎしてる

瓦版売りが登場しますが、あれはウソ。 

なにしろ当時の瓦版は、
「世間を騒がす出版物」と云うので幕府の御禁制。

とてもじゃないが、
目立つ所では売れないシロモノで、うっかり売ったら逮捕されてしまう。

だから、
物陰や路地裏など人目に立たない処でそっと売った。

つまりは、
昔の温泉街で売ってたエロ写真のように、

「ちょっとお兄さん」と袖を引くような売り方。 (笑)

でもまぁ、

江戸時代もなかばと云えば、
庶民の識字率もかなり上がったころ、

クチコミ以外に、
文字情報を求める庶民の需要は強かったんでしょうね。

江戸時代も後期になると、
相当数の瓦版が出回ってたようですから。

性器は勿論、
女性の乳首やアンダーヘアーも禁止だった昭和にも、

陰では、
エロ写真やブルーフィルムが生き続けたようにね。 (笑)

 

 


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