最近、新聞などによく出てくる言葉「政局」を辞書で引いてみる。
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【政局】せい‐きょく
② 政党内・政党間の勢力争い。
特に、与党内での主導権争い。
多く、国会などでの論戦によらず、派閥や人脈を通じた多数派工作として行われる。
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従って「現在の政局」に当てはめれば、
政権与党である、「民主党内の勢力争い」と云う処でしょうか。
重要な登場人物としては三人。
まず、増税法案に「政治生命を懸けている」と云う「野田首相」。
相手役として、「増税の前にやることがある」と反対する「一兵卒・小沢一郎氏」。
消費増税を推進する野田首相と、
反対する小沢氏、とまぁ、ここまでは分かり易い。
ややこしいのは、
この二人に劣らず、重要な登場人物のはずの「輿石幹事長」。
普通なら、幹事長は、首相の意向を受けて、
「小沢さん、もし国会で反対したりしたら除名しますよ」と反対派を抑える立場。
そう言えば、いくら豪腕・小沢氏でも、
いま総選挙にでもなれば、
選挙基盤の弱い「小沢グループは壊滅状態になる」と云う見通しだから、
たちまちおとなしくなるはず。
処が、肝心の輿石幹事長はと云えば、
そもそも、国民に不人気な増税に乗り気では無さそうだし、
首相とよりも小沢さんとの方が仲が良さそうだし、
なによりも「党の分裂を避ける」のが第一でグズグズして、
そんなことは、一向言い出しそうにない。
かくて首相も「このままでは党内はまとまらない」と見て、
野党の自民党との共闘に活路を見つけようとしている、
とまぁ、これが現在の席局の骨格。
で、判断のむつかしいのは、
野田首相も小沢一兵卒殿も、一応、言ってることは、表面上尤もなこと。
ただし、その中身を吟味してみると、どちらも諸手を挙げては賛成しにくい処がある。
そのあたりのことを、屋山太郎氏がこう書いている。
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だが、民主党が掲げた公約は給与の2割削減だったのに、
やったのは7・8%カットして東日本大震災にカンパしただけだ。
仕組みの変更とカンパでは全く意味が違う。
公務員の退職金について、人事院は
「民間と差がない」と主張していたが、民間より400万円高いと判明した。
天下り法人は4500とされ、民主党は「天下り根絶」を高々と掲げた。
しかし、民主党政権が誕生して、
小沢一郎幹事長が最初にやったことは、
日本郵政の社長に斎藤次郎元大蔵事務次官を天下りさせたことだ。
これで「天下り根絶」は消し飛んだ。
天下り退治が至難の業なのかと思えば、
橋下徹大阪府知事(現大阪市長)は就任数カ月で28の天下り法人を潰している。
民主党スローガンはほとんど実行ゼロ。
責任の一端を負う小沢氏が今になって「約束を守れ」と言うのは恥知らずだ。
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国民の負担だけ先行して「身を削らない」のも問題だが、
反対する方だって、「自分のことを棚に上げて」都合よく反対しているのだから、
どうも、どちらにも乗る気はしない、困ったモンですなぁ。