男は、
妻が他の男と肉体交渉を持つことは許せぬが、
ただ、精神的に浮気するだけなら、比較的、寛容だと云う。
コレに対し女性は、
肉体交渉よりも、精神的なつながりを許し難いものだと聞いたことがある。
これは、江戸の事件を書き留めた記録にある話、
さてこの男は、精神と肉体、どちらに嫉妬したのだろうか。
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江戸、白金台町にまかり在りそうろう六左衛門と申す町人の妻、
年二十三・四にて在りしが、
中々の浮気者にて、間男二人持ちそうろう。
内一人の男が、
自分のほかにも間男持ちそうろうことを聞き及び、
右の女房を刺し殺し、
その身も自害つかまつり相果てそうろう由にて、
間もなく六左衛門は転居いたしそうろう由。
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この男は、亭主が居る事に嫉妬はしなくても、
「他に間男が居た」と云う事実は許し難かったと云うことになるから、
本妻には嫉妬せぬが、
他の愛人には嫉妬するおメカケさんのようなものだろうか。
このあたりの心理は私には御手上げ、
どこかで色事の達人を捜して、解説してもらうよりない。