テレビ画面の中、
インタビュアーにマイクを向けられた
二十代後半と思われる、勤め人らしき女性二人が、
「家庭や職場で尖閣ビデオの話をしますか」と問われ、
顔を見合わせ笑った跡、
「全然しない、
だってあんなのクダラナイもの」と言っていた。
なるほど、「クダラナイ」と言い切ってしまえば、世の中は天下泰平、
タレントの恋愛騒動のほうが、よほどに「クダル」のだろうなァ、と妙に感心した。
その「クダラナイ話」、
今日の毎日新聞のコラムから一部抜粋して。
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海上保安庁はそもそも、
今回の衝突事件が発生した9月7日午前の段階では、映像を公開する準備を進めていた。
現場の巡視船「よなくに」から、
衛星通信の秘匿回線で届いたビデオ映像を国土交通相など関係閣僚の視聴用に編集。
政府が映像を基に、
事件の立件の可否などを判断した後、同様の映像を報道機関に提供する方針だった。
だが、半日もしないうちに提供は取りやめになった。
海保は理由を説明していないが、
ある政府関係者は「官邸からストップがかかったと聞いている」と明かす。
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事件が起こった当初、
外務大臣は、
「日本の法律に従って粛々と進めるだけ、
こちらにはビデオがあるのだから、」と自信満々、映像の公開を示唆、
政府首脳の意見も一致していた。
それが一転、「映像は極秘扱い」となったのに、
その理由は何も説明されず、
中国人船長は釈放、特別機まで仕立てて国賓のような扱いで送り返した。
これらの動きを見ていれば、
普通、
ビデオには、
「日本側にとって、よほど都合の悪いことでも映っていたのか」と憶測する処。
つまり、海保が過剰反応して、銃撃したとか、
あるいは船長や船員を手荒に扱って負傷させてしまったとか云う具合に。
処が、今回の「流失ビデオ」を見る限り、
日本側には何一つ、隠さねばならぬような映像はない。
日本側の手落ちを憂慮していた多くの国民は、
「キツネにつままれた」ような気分ではなかろうか。
流出させた公務員を「粛々と」裁判にかけるのは、
政府の勝手だが、
その前になぜ、
公開のはずのビデオが非公開になったのか、
さらに、
流失を知った官房長官が激怒するほどの「極秘扱い」にはいつの間になったのか、
そのあたりの説明を、是非とも聞きたい、と私は思う。