辞書で「女道楽」と引けば、
「女色にふける男のこと」こととなるが、
寄席芸で「女道楽」と云えば、女性が演じる芸の一種となる。
手元の「上方語源辞典」にはこうある。
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【女道楽】おんなどうらく
大正初期に始まる。
俗曲・憂世節などの吹き寄せを主要演目とした点が、
道楽を尽くした女であるかのごとき印象を与えるによる命名か。
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「吹き寄せ」と云うのは、
様々な音曲から、面白い処、小粋な部分などを抜き出して歌い演奏する芸。
で、その女道楽。
いま日本で女道楽と名のるのは、内海英華嬢ただ一人。
先日の落語会で、この人がゲストだったのですが、これがなかなか、
肩の力が抜けた話術と、
張りのある声が良く伸びて、三味線もケッコウでした。
出演時間は短かったのですが、あの夜の彼女は大忙し。
なにせ落語の演目が、
「地獄八景亡者戯」と云う旅ネタと、「蛸芝居」と云う芝居話。
両方とも盛大にハメ物が入るネタ。
ハメ物と言うのは、
落語の所々で入る三味線や太鼓などの伴奏、まぁ効果音のようなもの。
彼女はそのハメ物の名手でもあるのです。
と、云うか、元々はそちらが本職、、
だから、舞台に出ていない時でも大忙し・・・だったはず。
同じ一座で東京でもやるそうですが、
今夜の出来だったら、東京のファンも喜ぶのではなかろうか・・・などと。