漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

三月のひきずり凧

2011年03月07日 | Weblog

私の子供のころ、
三月の初めに暖かい日が幾日か続き、

また冷え込みが襲うと、

道で出あった大人たちがアイサツ代わり、

「やっぱり、お水取りが終わらんとホンマに温(ぬ)くうはならんな」と言いあっていた。

「お水取り」の何たるかは知らずともその会話だけは覚えている。

お水取りとは、
奈良東大寺の二月堂で、
千年以上も続いている仏前に供える水を汲む行事で、

その名の通り、陰暦の二月に行われていたのだが、
太陽暦となってからは、ひと月ずらして三月に行われるようになった。

つまり「やっぱりお水取りが終わらんと・・・」のアイサツは、
「三月も半ばを過ぎないと本格的な春の訪れではない」と云う意味になる。

ちょっと面白いコトワザに、
「三月の引きずり凧」とか、「三月の下がり凧」と云うのがあるが、

これは、陰暦の三月、
つまりは現在の四月ごろにもなると、
風の静かな穏やかに日が続くようになり、凧も上がらなくなると云う意で、

転じて、「ものごとのチャンスを逸したこと」を云う。

「下がり凧」も「ひきずり凧」も、

決して管直人首相の支持率や、
政権にすがり付こうとして外務大臣を引きとめている図を

揶揄した言葉ではありませんので、念のため。(笑)






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