漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

英国の検証 「イラク戦争」

2016年09月08日 | 政治・経済・こぼれ話
今から十数年前の、
アメリカ大統領を目指す、ジョージ・W・ブッシュ候補の選挙演説。

「アメリカは自由を慈しむが、それを所有しているのではない。

我々は我が国の民主主義の素晴らしい制度を大切に思うが、
他国の制度は異なっていることを認識している」

そして、さらにこう続ける。
「我々は原則を推すが、我が国の文化を文化を押し付けててはならない」。

しかし、この姿勢はのちに一変する。

彼は首尾よく当選し、
第43代アメリカ合衆国大統領となったが、

その就任からわずか数か月後、
ボストン空港を飛び立った二機の旅客機がハイジャックされると、

二機はそのまま、
ニューヨークの貿易センタービルへ突っ込み、

巨大なビルはまたたく間に崩壊、
死者は3千人を超えると云う大惨事となった。

いま思えば、これが
「イスラム過激派によるテロ」の幕開けだった。

怒りに燃えたアメリカ国民の圧倒的な支持もあって、
彼は、タリバンのアフガニスタンへ攻め込み、

さらに、サダム・フセインのイラクへも戦いを挑み、「イラク戦争」を起こす。

圧倒的な戦力で両国の勢力を駆逐した彼は、
高々と、「アメリカの勝利」を宣言した。

しかし、その後の統治に失敗し、
両国はいまや、イスラム過激派の巣窟となり、世界中にテロを撒き散らしている。

さらに、中東の戦火を逃れた難民が、
ヨーロッパへ押し寄せると云う混乱の元凶ともなっている。

そのブッシュ大統領とともに、
イラク戦争に参加したイギリスで、

二カ月ほど前、だったかな。

同国による調査委員会が、
7年間かけた調査検討の結果を発表した。

本来なら、こう云うモノは、
イラク戦争の中心となったアメリカが行うべきものであろうと思うし、
それなら、ブッシュ大統領候補の演説にまで戻らねばなるまいと思うが、

それはともかく、そのイギリスの結論は、

「当時のブレア政権が、
イラクのサダム・フセイン大統領の脅威を過剰に表現し、

準備不足の英軍部隊を戦地に送り出し、
戦後の計画も「まったく不十分だった」という見解だった。

現在、EU離脱でとやかく言われるイギリスだが、
この調査に懸けた粘り強さと、正当性を問う頑固とも思える姿勢には、

この国の歴史の持つ「凄みと伝統」を感じます。

勿論、日本が同じことを行うなら、
当時の小泉首相の判断の是非を正さねばならないでしょうけれど。







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