漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

小話ニ題

2010年11月03日 | ものがたり
冬の小話です。
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「おめえら聞いたがや、
 おらが村の庄屋どんが大坂からコタツとやら云うモンを持ち帰ったげな」

「そら、どげなモンかや」

「おらも知んねぇ、
 だれも知んねぇからな、おめえら一緒に見に行くべえか」

「行くべ、行くべ、」と、大勢でゾロゾロ行くと、

向うから帰って来る男が、

「コレ、おめえたちゃどこさ行くべぇか」

「みなしてコタツを見に行くのさ」

「ああ、それならよせよせ、
 庄屋のヤツ、蒲団をかぶせて見せねえだよ」。

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もうひとつ。

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大坂の気のあった若い者どうし、
コタツにあたりながら、

「今夜はフグでも食いたいような夜やなぁ、
 どうや、今から喰いに行かへんか」

「イヤ、わしゃ喰わん」

「ナンヤ、フグが恐いのんか、エライ甲斐性なしやナァ」

「恐いことは無いけど、・・・

 わしゃ魚より四つ足のほうが好みや、
 その代わり四つ足やったら牛でも猪でも腰掛けでも机でも何でも食う」

「ナニ、ナンでも喰う、偉そうに言うたな、
 ほなら、このコタツヤグラも食うか、これも四つ足やで」

「イヤ、それはアカン、あたるモンは嫌いやさかい。」

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