パソコンに打ち込んだら、「山大鈴」と出て来た。
思わずニヤッとして、
「無礼者メッ、この大女優を何と心得おるかっ」とつぶやきながら打ちなおす。
【山田五十鈴】
戦前から戦後、つい10年ほど前まで70年余りの長きにわたって、
映画や舞台の第一線で活躍し、出演した映画・舞台は数知れず。
溝口健二、黒澤明、小津安二郎、他、日本の名監督との仕事も多数残し、
女優として初めて文化勲章を受章した大女優。
二度の離婚のほか、
共演した役者や監督と流した浮名は数知れず、「恋い多き女性」として有名でした。
サテ、訃報の「享年95歳、とあるのを見て、
「オヤ、同い年じゃないか」と気付く。
「誰が?」ってアナタ、
もちろん、きのうの新聞に訃報が出ていた「アーネスト・ボーグナイン」にです。
この人、名前に心当たりはなくとも、
あの個性的な顔と演技を見たら「ああ、あの人」と、思い出す方は多いはず。
古い西部劇から戦争映画、テレビでも活躍した渋い脇役です。
【アーネスト・ボーグナイン】
1955年の映画「マーティ」で米アカデミー賞の主演男優賞を受賞した名優。
イタリア系移民の子として生まれ、トラック運転手を経て海軍に入隊、
第2次大戦に従軍した後、映画界入り。
主な出演映画は「ワイルドバンチ」「ポセイドン・アドベンチャー」など。
享年95歳だった。
こちらも、
「私生活では女優らと計5回、結婚」だそうですから、そのあたりも共通点かな。
それにしても、
「父は役者で母はキタ新地の売れっ子芸者」とか、
「第二次大戦で海軍に従軍」とか云う経歴は時代を感じさせますネェ。
「へぇ~~、あのお二人が同い年とは気が付かなかった」と驚いていたら、
今度は日本の名脇役の訃報がネット記事に出ていた。
【遠藤遠藤太津朗】
京都市出身。
テレビの草創期から強い個性と関西弁で、主に悪役を演じる名脇役として活躍。
大川橋蔵主演のテレビ番組「銭形平次」の万七親分で親しまれたほか、
映画「座頭市」や「仁義なき戦い」、テレビドラマ「京都殺人案内」などに出演した。
この方も、
あの演技とあの声を聞けば、「知ってる、知ってる」と思う方は多いはず。
享年、84歳とは、山田さんより11歳も年下、
84と95ならあまり違わない気がしてしまいがちだが、
遠藤さんの経歴に、
「新京極の盛り場で育ち、映画館に日参、映画好きが高じて役者を目指す。」とあれば、
山田五十鈴25才のころ、遠藤辰雄14歳、ひと世代違う。
ならば、五十鈴さんやボーグナインの映画を、
薄暗い映画館の片隅で熱心に見ている子供が遠藤辰雄少年であったはず。
しかし、なんです、
人間、生まれるときも別々なら、死ぬ時も別々ながら、
こう日を接して亡くなられると、
映画ファンとしては、
「共に手を取り旅立った」ような気がしてしまうのもむべなるかなと云うモノ。
まぁ、それはともかく、
遠藤さんの訃報に、
「葬儀は近親者で済ませた。住所は非公開。」とあるのを見て、
なんとなく、ホッとしてしまったのですが、・・・これって、ヘンですかね。