先日、芝居見物に行ってきましてね、
演目が三本あって、その最後の外題(げだい)が、「らくだ」。
江戸時代のラクダは、遠い外国から来た見世物ですからね、
大きな体のくせに、のそのそしてちっとも働かない、と云うイメージがあった。
舞台となる裏長屋に住む宇之助は、あだ名が「らくだ」。
つまり、怠け者、その上、買い物してカネも払わず、たかってばかり、
だから長屋中の嫌われ者、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
フグにあたって頓死したらくだの宇之助を弔うため、
遊び人仲間の熊五郎は、大家に酒と肴の無心をしますが、
「家賃も払わなかったヤツに出せるもんか」 と断られてしまいます。
そこで熊五郎は、宇之助の遺骸を使うことを思いつき、
いやがる紙くずやの久六を使って、大家を脅し、
まんまと酒をせしめますが・・・・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原作は、初代の桂文枝、上方落語の名作です。
で、この「らくだこと宇之助」を演じるのが、中村亀鶴さん。
なにしろ、外題にもなってるぐらいですからね、
幕開きから終いまで出ずっぱり、・・・・・
処が、ひと言もセリフがない。
なんとならば、
幕が開いた時には、すでにフグにあたって死んだあとだから。
つまり、亀鶴さんは、
はじめから終いまで舞台に出てるけど、それは「死体」として。 (笑)
だから、セリフの有ろうはずがない。
処がこの死体、立ったり座ったり、果ては踊ったり、寄りかかったり、
実に、よく動く。
もちろん、死体のことですからね、自分で動くのではなく、
宇之の友達、熊五郎の指図で、恐喝に使われるだけなんですけどね。
とは云え、文楽の人形じゃないんですから、
使う方の人間に使われていると見せかけて、
鶴亀さん、実は自分で動いてる。
つまり、セリフはないけど、
ケッコウ技術を要するんです、この役は。
死体ですからね、
立たされても、あっちへヨロヨロ、こっちへヨロヨロ、
文句を言う大家に寄りかかって脅すは、
座ってる因業婆あのおかみさんにのしかかって行くは、大暴れ、
そのたんびに客席は、
自分に死体がもたれかかって来たかのような悲鳴、歓声、
さらには笑いの渦。
果ては、死体がカンカンノーを踊らされる場面では、
客席から盛大な手拍子が湧いてました。
亀鶴さん、演じていて気持ちよかったと思いますよ。
それが証拠に、
芝居が終わって幕が半分閉まったあたりで、
死体のはずの亀鶴さん、
後ろから熊五郎役・愛之助さんの手首をつかんでバイバイさしてた。 (笑)
マ、千秋楽でしたからね。
演目が三本あって、その最後の外題(げだい)が、「らくだ」。
江戸時代のラクダは、遠い外国から来た見世物ですからね、
大きな体のくせに、のそのそしてちっとも働かない、と云うイメージがあった。
舞台となる裏長屋に住む宇之助は、あだ名が「らくだ」。
つまり、怠け者、その上、買い物してカネも払わず、たかってばかり、
だから長屋中の嫌われ者、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
フグにあたって頓死したらくだの宇之助を弔うため、
遊び人仲間の熊五郎は、大家に酒と肴の無心をしますが、
「家賃も払わなかったヤツに出せるもんか」 と断られてしまいます。
そこで熊五郎は、宇之助の遺骸を使うことを思いつき、
いやがる紙くずやの久六を使って、大家を脅し、
まんまと酒をせしめますが・・・・・・
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原作は、初代の桂文枝、上方落語の名作です。
で、この「らくだこと宇之助」を演じるのが、中村亀鶴さん。
なにしろ、外題にもなってるぐらいですからね、
幕開きから終いまで出ずっぱり、・・・・・
処が、ひと言もセリフがない。
なんとならば、
幕が開いた時には、すでにフグにあたって死んだあとだから。
つまり、亀鶴さんは、
はじめから終いまで舞台に出てるけど、それは「死体」として。 (笑)
だから、セリフの有ろうはずがない。
処がこの死体、立ったり座ったり、果ては踊ったり、寄りかかったり、
実に、よく動く。
もちろん、死体のことですからね、自分で動くのではなく、
宇之の友達、熊五郎の指図で、恐喝に使われるだけなんですけどね。
とは云え、文楽の人形じゃないんですから、
使う方の人間に使われていると見せかけて、
鶴亀さん、実は自分で動いてる。
つまり、セリフはないけど、
ケッコウ技術を要するんです、この役は。
死体ですからね、
立たされても、あっちへヨロヨロ、こっちへヨロヨロ、
文句を言う大家に寄りかかって脅すは、
座ってる因業婆あのおかみさんにのしかかって行くは、大暴れ、
そのたんびに客席は、
自分に死体がもたれかかって来たかのような悲鳴、歓声、
さらには笑いの渦。
果ては、死体がカンカンノーを踊らされる場面では、
客席から盛大な手拍子が湧いてました。
亀鶴さん、演じていて気持ちよかったと思いますよ。
それが証拠に、
芝居が終わって幕が半分閉まったあたりで、
死体のはずの亀鶴さん、
後ろから熊五郎役・愛之助さんの手首をつかんでバイバイさしてた。 (笑)
マ、千秋楽でしたからね。