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猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

藤子・F・不二雄 異色短編集 4 「パラレル同窓会」

2007年09月25日 11時09分36秒 | マンガ家名 は行
          小学館文庫 1995年8月10日 初版 写真は1998年12月1日の 第8刷
 
 最近はお借りしているマンガの記事ばかり書いていたので、自分の持っている古いマンガの記事をたまには書かなけりゃと。

 この文庫が出たのは1995年と比較的新しいものの、収められている短編14編は1976年8月から1983年7月までのビック・コミック系やSFファンタジア、マンガ少年、マンガ奇想天外などに発表されたもの。もう30年経っているものもあります。 
 
 大体がSFものですが、日常に潜む知られざる恐怖(?)とかブラックユーモアが効いているものが多く、ひとつひとつは短いのにちょっと考えさせられます。同じ作者の初めての大人向けSFマンガ 「ミノタウロスの皿」 から続く系列の作品たちですね。

 全体的に、よりブラックユーモアのきつい 星 新一 といったら感じが分かるでしょうか。それをあの どらえもん の絵柄で描いているんです。見たこと無い人は え~、でしょうが、この方のこういう作品は評価が大変高いのです。皮肉が効いてて私も好きですね。


簡単に作品紹介

 値ぶみカメラ  
その名のとおり、写したものの値段が、本価(原材料費)・市価(正札価格)・産価(将来被写体が生み出す利益)・自価(ここでは自分にとっての価値)の4つとも分かるカメラ。求婚する大金持ちの青年と、まったり付き合ってきた居心地のいい貧乏なカメラマンを写した竹子の自価はどちらが高いのか。

 女には売るものがある
表紙を入れても6ページの超短編ながら、いやこれ傑作。この中で一番好きかも。近未来が舞台。夜の歩道で客の男を物色するおんながひとり。さえない中年男を捕まえ、値段の交渉を済ませていざホテルへ。風呂場で轟然と女に体を洗わせて 「ああ久しぶりだなぁこんな気分」 とご満悦な男。
 新聞や茶を持ってこさせたり腰をもませたり、そのくせ女が裸でベッドに入ろうとすると 「金を払ってまでそんなことするか !」 と突き飛ばす。
 その後二人は警察につかまってしまうのだが、さて、罪状は ? 最期のコマの前のコマでやっと明かされます。どんな世の中になっても、女には売るものがあるのね。いいんだか、悪いんだか。

 同録スチール
「値ぶみカメラ」で登場の、怪しげなカメラのセールスマンが又登場。このシリーズに良く出てきます。今度の商品は写真を複写して手を触れると、最初に写真を写した時の音を10分間再生するカメラ。友達に映して貰った、好きな女の子のしゃべった言葉とは。

 並平家の一日
45歳会社員並平 兵順(ひょうじゅん)、妻、子供二人生活意識は中流の中、起床から出勤までの所要時間が38分。妻、凡子(なみこ)40歳、自由時間は平均一日4時間54分。子供二人も流行に敏感なイマドキ子供。熱心にこの家を隠しカメラで観察する隣人がいた。その隣人の旺盛な商魂とは。

 夢カメラ
またまたカメラのセールスマン氏登場。今度のカメラは寝ている人を写すと、見ている夢がセリフ付で写るカメラ。無理やり預けられた係長さん。会社の好もしい女の子の夢を見たのはいいが…。

 親子とりかえばや
これはなんとなく分かりますよね。立場を換えれば相手のことがよく分かる…。

 懐古の客
4回目出演のカメラのセールスマン、ヨドバ氏。今度はセールスでなく、旅行客として過去にきたようです。ここに出てくるボロアパートはまんま トキワ荘 がモデルのようで、玄関、2階に上る階段、懐かしがって描いているのが分かります。未来のパック旅行 「グッドオールドデイズ一週間」 の滞在先として押しかけられた、かけだしマンガ家君は6泊2食つき20万円という大枚に目がくらみ、ヨドバ氏の世話をするが…。

 パラレル同窓会
人生の転機に過たず正しい決断をしてきたと自負する高根氏、今は極東物産の社長だ。成功したといえる彼の唯一の趣味は、深夜つかの間小説を書くことである。そんな彼に「パラレル同窓会のお知らせ」というハガキが届く。それは一生に一度、人生の転機に枝分かれしたすべての自分が一同に会するという 自分だけの同窓会 だった。しかもそこでは人生を取り替えることも出来るという…。

 その他 「コラージュカメラ」「かわい子くん」「丑の刻禍冥羅(カメラ)」「ある日」「四海鏡」「鉄人をひろったよ」などなど題名を見ているだけでも内容がわかるようなわからないような。
 しかし、鉄人みたいなロボットを拾ったら凄い迷惑だよなぁ~。庭にも置いとけないからこの作品の主人公の中年男性の戸惑いも分かります。たとえ一国が命運をかけて開発し、三つの国が大いなる犠牲を払って追い求めたものであってもね。SFと現実のギャップがおかしい藤子F氏のSF好きなセンスにひたすら脱帽。


 ※ 最近又、拙ブログをお訪ねくださる方が多くなり、大変ありがとうございます。多分昔のまんが関係を見に来られる方が多いと思います。画面左のカテゴリー マンガ家○行 と まんがエリートのためのCOM をチェックして、マンガ雑誌 COM の表紙や石森(当時) 章太郎、水野 英子、西谷 祥子氏などの表紙絵だけでもご覧になっていってくださいませ。
 又、記事にまさったコメントを下さる方も数多く、ぜひそちらもお見逃しなく、よろしくお願い申し上げます。m(_ _)m 

 

萩尾 望都 「山へ行く」 シリーズここではないどこか

2007年09月20日 09時43分35秒 | マンガ家名 は行
 萩尾 望都氏の新刊です。連載中にちよっと立ち読みとかしていたんですが、我慢できなくて買っちゃいました。まだ連載中です。

 月刊 「Flowers」 2006年4月号~2007年5月号まで掲載された短編10篇収録。夢か現実か、日常と非日常のハザカイを描いたモト様流の作品達の中に。うっこ、これは最後の一遍は誰でも心をつかまれそう。

 「柳の木」 壮年といわれる年を迎えた人達がこれを見て、泣かないでいられるだろうか。どこにもなかったという話ではないけれど、普遍なものは普遍です。

          

 話変わって、先日の猫病院詣での折、私の好きな一色猫ちゃんがいました。白猫君です。いっぱい写真撮ったので、載せちゃおう。


                  

                  13年目には見えない美丈夫さんですね~。(オス) 美童グランマニエ (有閑倶楽部) みたい えへへ今読んでいるんで。


                  

                  飼い主さんを見上げて不安そう。病院へ来る前に察知して逃走したそうです。


                  

                  あきらめてしゅんとしてます。


 ネッ友さんの うめさん所の えりちゃん →  うめさんのブログ 百花の魁! 梅日記 の男の子版みたいに立派な白猫さんでした。

まんがバカの休日

2007年08月17日 10時23分14秒 | マンガ家名 は行
 
      写真は 講談社 モーニングコミックス 弘兼 憲史 「専務 島耕作」 1巻 2巻まで有り。

 前書いた 島 耕作 の記事はこちら → 島 耕作さん いつ社長になるの? 

 自分の夏休み1週間のうち、最後の1日はだんなは会社、1日中同居の叔母 (82歳) といて年寄りの繰言を聞いているのも大概なので、マンガ喫茶に逃げ込むことにした。
 最初に足を向けたのは近所では割合新しいS店。以前の記事 → マンガ喫茶よどこへ行く。 でさんざんこんなんマンガ喫茶じゃね~! とこき下ろしときながら又来てしまったのは、1時間タダになるという夏限定のハガキが来たから。え~え、こういうのにオバさんはコロリと弱いのよ。

 しかし、その日も ハンパじゃない暑さ、10時前だというのに大通りの歩道のコンクリの上は卵が焼けそうな温度で陽炎が立ってます。日傘が無ければ500mも歩けません。ほんとに今年の夏は観測史上最高の熱さですね。(昨日8/16は東京は40度近かったです。熊谷では40度以上 !) 

 閑話休題 (それはさておき…。)

 マンガ喫茶に入店したらまず新刊の並んでところをざっと見ることにしています。どうせこういうところに来たなら自分が買わないものを読まなけりゃ意味が無いので、新刊チェックは欠かせません。ピンと来るものが無かったので、弘兼 憲史氏の 「専務 島耕作」 1巻と2巻、冷たいコップ2つを持って席に。
 
 島 耕作シリーズは昔から好きで、もちろん全て読んでますがお察しの通り持ってない。もっぱらマン喫で読んでますが、最近はビジネスマンガになって来て展開としては面白くなくなってきた。
 「ヤング 島耕作」 全4巻 耕作1970~1983年分の話、 「ヤング 島耕作 主任編」 1巻続き中とかの方が楽しいのは、やはり人間あらかた冒険が終わって先が見える物語より、さあこれから何がおこるか ? という若い主人公にワクワクドキドキするものだから。(自分が中年でも)

 でも、耕作と同じ年の作者も同様に、多くの団塊の世代の人たちだって定年で人生終わりじゃない。へたすればまだ40年くらい余生があるんだから、59歳の耕作にはまだまだ頑張って欲しいものだ。
 私の知り合いでもあれ ? こんな人がというような人たちが耕作のマンガを読んでいる。一級建築士の穏やかな紳士Y氏の事務所の本棚には1巻からズラリとコミックスが並んでいたし、団塊の世代の男性なら話を振れば必ず1度は読んでいる。連載が始まった時、課長に昇進したばかりの耕作と自分をシンクロさせて一緒に歩んできたのだろう。仕事の合間のいい潤滑話である。

 耕作の話と接待カラオケで 「人形の家」 弘田 三枝子 「恋のバカンス」 ザ・ピーナッツ 「真夏の出来事」 平山 三紀 なんて歌ってあげれば商談はバッチリ、だてに5歳と3歳上の姉妹 (きょうだい) は持ってないわよ~。おほほいつもそんなに上手くはいかないんですが・・・。

 2巻読み終わってちょっとまだ時間があったので 一条 ゆかり氏 「プライド」 の5巻を読む。コミックスではまだ6・7巻出ているし、月刊コーラスで連載中なので一気読みはまだ出来ません。

 さてそれから遅い昼ご飯を食べに外に出て、ブック○フ行って、今度地元に2号店が出来たというあの店に行こうかな・・・。
 ブック○フにて立ち読み (いえ調査中) ・・・・ えっもうこんな時間、犬の散歩の時間じゃん。せっかく新規開店のマンガ喫茶店を割引券で開拓しようと思っていたのに~ (またかい) 

         かくして私の夏休みは終わったのだった・・・。

萩尾 望都 「訪問者」

2007年07月18日 19時41分21秒 | マンガ家名 は行
         初出 プチフラワー 1980年 春の号


 私が読んだのは小学館文庫 1995年9月1日初版 2000年7月1日 第13刷 のもの


 名作 「トーマの心臓」の中の読者一番の人気キャラクターである オスカー・ライザー の子供の時の話がつづられています。

 6月12日の記事はこちら → 「トーマの心臓」 

 「トーマの心臓」 の中で彼の母親は父親に殺されたらしい事、その後父親と1年くらい各地を放浪した事、実の父親である ルドルフ・ミューラー 校長のいるシュロッターベッツ学院に半ば置き去りのように入学させられた事、などが語られていますが、その詳細が明らかにされてきます。ちょっと刑事などが絡んでミステリーにもなっている。

 直接 「トーマ~」 とは関係のないストーリーですが、オスカーが 「トーマ~」 の中であのような冷たいとも取れる落ち着いた大人の態度が取れるのが、1年留年しただけでなく皆より経験が豊富だから、という事が分かります。こんな1年を過ごせばどんな子供でも大人になってしまうよね・・・・。

 ラスト近く、ミュラーと初めて会うオスカー。オスカーを始めて見るミュラー。二人の何も言わない、けれど二人とも分かってしまった、描写が胸にズシンと…来ます。読者は先に 「トーマ~」 を読んでいるからこの重さが分かるのですね。

 それから私、最後になってこの題名の意味が分かりました。― 訪問者 ―は雪の上を歩いてくる神様のようでいて、それぞれの心の中にあるものだったのね ?


 同収録の 「城」 (初出 プチフラワー 1983年9月号) という作品は初めて見ましたが、表紙のイラストが 岡田 史子氏 を思い出させるもので、そう言えば、COMを通じて萩尾氏は彼女の影響も受けているのかな~と考えました。

 他に問題作で作品としても暗い 「エッグ・スタンド」 (初出プチフラワー 1984年3月号) 女子高校生の恋愛と心と体のアンバランスを描いた 「天使の擬態」 (初出 プチフラワー 1984年11月号) を収録。 
 「城」 と 「天使の擬態」 では、子供の自我の確立を、「エッグ・スタンド」 では 死 を、「訪問者」 ではその両方をテーマにしているように見えます。この頃 (1970年代後半~1980年半ば) は 「恐るべき子供たち」 (1979年)などもそうですが、萩尾氏はこのテーマを繰り返し描いているように見えます。そしてそれがその後の 「残酷な神が支配する」 などに繋がっているのでしょうか。

萩尾 望都 「トーマの心臓」 その②

2007年06月12日 10時10分27秒 | マンガ家名 は行
     写真は私の持っているフラワーコミックス 1巻~3巻


 この作品に関して、6月7日の記事 → た~だいま 読書中 のコメント欄につるさんより長文のコメントを頂き、とても共感できるものが有りました。私のコメント返しも含めて少し引用させていただこうと思いつるさんの了解も得てここに再録させて頂きます。

 青字はつるさんコメント、黒字はトミーコメントの再録です。

 有名なのでご存知の方多いと思いますが…「トーマ」は、萩尾さんが竹宮さんに連れて行かれた映画、、、タイトル忘れちゃったけど、先輩に恋してむくわれなかった少年が列車に身を投げて自殺するというようなラストの、外国の男子寮を舞台にした少年愛がテーマの映画、、、を観て、自分だったらこう考える、と発想したものを、趣味で描いていたもののようです。

当時短編作家として描いていた萩尾さんがある日編集部を訪ねると、「ベルばら」を読んだばかりで興奮していた編集者が「萩尾さん!長編やりましょう!」と言い出したんだそうで。長編となると強いキャラが必要だけど短編しかアイディアのストックがない、趣味で描いてるのが一本あるけどウケないと思いますよ、ということで、まとめて読めそうな分60p.ほどを見せると気に入られ、「これでいきましょう!」ということで連載スタートしたのだそうです。
ところが暗い内容とタイトルで連載第一回目のアンケート投票の結果が最下位と悪く、担当編集だった人も編集長になってしまい、「編集長になると無責任に人気のないものを続けさせるわけにはいかない」ということで、第三回目の原稿を持っていった時点で「終わらせてくれ」と言われたのだそうです。
萩尾さんも「でも一年以上続けるもの、という前提で受けたものですし」「この話はこれから面白くなるのです、絶対面白くします」と食い下がり「せめてあと二ヶ月」「せめてあと一ヶ月」と戦いながら、結局当初の予定の半分以下の半年で終わらせた作品だったのだそうです。

連載二ヶ月頃のとき「ポー」三巻の単行本が発売になったそうです。
編集では萩尾さんの実力は高く評価されていたようですが、どちらかというと低学年しか反応しないようなアンケートでは数字が悪かったようです。どの作品を単行本にするか、という会議の時、長く読まれる良作を、ということで「ポー」の発刊が決まったようです。
この「ポー」三巻は『発売後三日で売り切れ』という少女漫画界にかつてなかった『事件』を起こし…
「トーマ」は益々めんどくさい状況になったんだとか。「人気のないトーマをさっさと終わらせて週刊のほうでポーを連載させろ」とか。お偉方が。
いくらでもポーを描くからとにかくトーマをそれなりに終わらせてくれ…ということで当時まだ20代前半の萩尾さんは頑張った…涙なしでは語れません

…かような背景で「トーマ」は描かれたようです。それなのにあの作品としての質の高さは萩尾さんの果てしない実力の高さを物語っているように思いますが、作者としては仕方なくはしょったエピソードなどもたくさんあったのでしょうね。後に発表されたオスカーの幼い頃のエピソード「訪問者」を読んだときに思いました。

萩尾さんにとってはもともともっと追求したいテーマだったのだと思うのです。一旦は「トーマ」の形で終わらせたけど、40代の自分はどう考えるか。。

『愛のために列車に飛び込み自殺をした少年の心に何があったのか』というのが「トーマ」、それをさらに深めて『魂を引き裂かれた人間がどうやって回復していこうとするのか』が描かれたのが「残酷な神が支配する」なんじゃないかな~とつるちゃん思うのでちゅ


 早速読み出したのですがーーやっぱりよく分からないところがあって、もっとよく読みこまなくては。趣味で描いてたというの読んで、さも有りなんと思いました。

 しかしこの裏話面白いです。はしょったとは思えないほど完成度高いですが、なるほどそう言われればもっと描きたかっただろうと思われる所はちらほらと。


 長編を依頼されて趣味で描いてたものを出したとかそれなのに打ち切られそうになったとかのあたりは萩尾さんご自身が書いてることです。
描きたかったのに描けなかった事があるんじゃないかとかいうあたりはソレに基づく私の推測なんですが。

萩尾さん作品をはじめて雑誌で読んだのが「ランプトンは語る」で、その後友達から借りたポー三巻は読みましたがまだあまりにも「びっくり」した状態から抜けてなかったので強烈な「萩尾体験」になったのが出合った年の冬に読んだ「トーマ」になりました(わかったようなわからんような書き方だなぁ)。…眠れなかった。。。なんでそんなにショックを受けてるのかわからなくて。

繰り返し読むうちトミー。さんと似たような疑問を持ちました。私はキリスト教をそんなに知らなかったんですが、トーマに描かれていることはキリスト教になじみのない日本人にはわかりづらいんじゃないかなあ、とやっぱり思いました…私はなんで掴めたのかな~と思ったときはじめて大好きだった「ナルニア国物語」がキリスト教をベースにしていることに気づきました…だから「キリスト教」としては知らなかったけど「キリスト教の精神」みたいなものは知らずに学んでいたと思うんですよね。。ともあれそういうベースのない人にはわかりづらそうに感じました、やっぱり。

自殺があかん、というのはトミー。さんが仰ってる通りだと思います。同性愛があかんというのもトミー。さんが仰ることのように思いますがそういえばどうしていけないのかハッキリわかりませんね…ただそゆことに励むと滅ぼしちゃうよ、っていうソドムの街の話がある、っていうふうにしか。(ゴモラはなんで滅ぼされたの??)

トーマは「自殺」という形をとっているけどたぶん正確には「自殺」じゃない…「ユリスモールを救うための手段」だということだと思います。「自」分を「殺」すために飛び降りたのじゃなく「ユリスモールの閉ざした心の扉を開くため」にほかに方法がなかった。『彼は今死んでいるも同然だ そして彼を生かすために 僕は僕の身体が打ち崩れることなんかなんとも思わない』のところです。
だからトーマは神に背いていないの。

そして同性愛といえば同性だからそうなんだけど、そどみーな快感をむさぼりたいための同性愛なんじゃなくて、『きみとならずっと遠くまで手をとって歩いていけそうな気がする』愛なんですよね(これはエーリクのセリフだけど。この場合トーマの気持ちと同じと解釈して良いと思います)。

いずれもそれでもカミサマがダメって言うならダメなのかもしれないけど。。。

ナルニアで、、、ナルニアを創った神様的、またキリスト的な存在は「アスラン」と言うのですが、アスランがアスランではなくほかの神を信仰していた男を支持するところがあるのです。その男が「なぜ」と訊くと「信仰が本物であれば、それが向けられる対象が何であってもあんたは私を信仰していたことになる」というところがあるのです。カタチを祀るのではなく真実に忠実であれ、というようなこと。

 キリスト教にしろ何にしろそこが「信仰」というものの本質じゃないかと思う。それは私がナルニアから学んだことですが。。。



>「ユリスモールの閉ざした心の扉を開くため」にほかに方法がなかった。

としても、自殺は×

>きみとならずっと遠くまで手をとって歩いていけそうな気がする』愛 

なら、一生プラトニックで高めあって生きなさい。

キリスト教は許さない気がする。西洋の宗教は厳格ですよ。

 「トーマ~」 は私勝手に日本の女の子にゃ難しいだろと思ってましたが、名作として名が残っているところを見ると結構理解されていたと言うか、分からないなりにもショックを受けた人がいっぱいいたと言うのは事実なんですね。
 西洋絵画の展覧会を見に行くと、旧約・新約聖書のお話を絵にしたものがいっぱいあって、マグダラのマリアなんてこれ見ている人の何人わかるの、イエスの母親の方じゃないのよ、とかモーゼは 「十戒」 (映画) が有名だから知ってるか、とか余計なこと考えちゃうけど、そんなことお構いなく、よい絵は誰が見てもよいと思えるの。それはバックボーンを知っていればよりよく分かるけれど。
 同じことでマンガといえどショックを受けたことで興味を持っていろいろ調べ始めるきっかけになった人は多いと思う。「トーマ~」 でキリスト教にはまった人は何人いる ? 

 調べればもっと分からなくなって深みにはまる話とは思われますがね~~ハハハ(いやみな笑い)

>「信仰が本物であれば、それが向けられる対象が何であっても

 昔、仏教系の偉い方に同じような話が有りましたね。凄く乱暴に言ってしまえば、信仰は同じだ、みたいな。東洋的な考えだなーと思っていたら、西洋にも同じ考えは有るのですね。信仰って面白いなー。


 同じコメント欄で、夜さんのコメントに

>神を否定することを強制されたくらいで何故!?

と思ったとあるんですが、私も

 普通の日本人ならそう思いますよね。とりあえずこの窮地を逃れるために、うそ付いたっていいじゃんと思います。キリスト教徒は殺されたって宗教を捨てないのか、生きていりゃこその宗教でしょ?本末転倒よ。
 踏み絵を踏んでコロンだって生きてこっそり信仰を続けた方が良くないか?これは今の自分だから言えるセリフかしら。

>今でもトーマの自殺に関しては
頭では理解しても、共感できないのです!

これも同感です ! なんたって10いくつの子が自分で死ぬなんてどんな理由があったって・・・・だめですよ。この後輝かしい人生が何十年もあるのに・・・子供に先立たれた親の嘆きはどうなるの・・・いづれ誰でも死ぬにしろ、順番というものが有りますよ。
 萩尾氏もこれを描くことによって考えさせているのかも知れない。いきなりこの場面なのでショックですけれどね~。

 精神的な事プラス肉体的にも神を裏切ったと考えてユリスモールはあそこまで 死んだも同然 になっていたんですね。そう考えればなんとなく納得できます。辛いけど。

 と返信しました。その後もつるさん、夜さん、ブックさん、カツゴンのママさんら熱っついコメントが目白押し。興味のある方、是非さかのぼって読んで見てください。管理人は・・・あっちっちっ、ちょっと熱を冷ましてこよう。

萩尾 望都 「トーマの心臓」 

2007年06月11日 12時33分26秒 | マンガ家名 は行
      「トーマの心臓」 フラワーコミックス 1巻~3巻 
     初出は 週間少女コミック 昭和49年(1974)5月5日の第19号~12月15日の第52号(終わりはつるさんに教えていただきました~)



 「トーマの心臓」 は6月12日のアップにしようと思っていたら、すでに拙ブログの過去記事コメント欄で意見が沸騰しているではないかいな。一応書き終わったので、さっさと出します。
 コメント欄にはとても良い考察がいっぱい入っているので、後で引用させてもらおっと。でも、読んだこと無い方も中にはいると思われるので、とりあえず概要だけでも。


 最初はミステリー

 西ドイツにある男子高等中学のシュロッターベッツ学園。転入生のエーリクにそっくりだった死んでしまったトーマ。フロイライン(お嬢さんと言う意味 男の子です)と言われたくらい可愛いトーマと真面目なユリスモール(ユーリ)委員長の間には半年前に何かあったらしい。
 始めのうち、読者はエーリクと共に謎解きに必死だ。上級生の お茶会 に出たりして少しづつトーマとユーリの恋愛茶番劇の顛末 (お堅いユーリがトーマに落とされるか) について分かってくるが、エーリクにはそれ以上よく分からない。

 一方読者はユーリの唯一の友人、学園で特別待遇の大人っぽいオスカーのおかげでユーリの首の下にあるキズと、それによってユーリが 天使の羽 (神の加護?) を失ったことが分かる。しかし、何がどうなってそうなったかはこの作品の最後になるまで結局分からないのだ。

 その間にも、シュロッターベッツという小さい世界の中で少年達のキスや、幼い愛や、押さえ切れない激情や、涙によって学園生活は華やかに繰り広げられて行くのだ。

 それぞれの事情

 ユーリとエーリクは同室となるが、嫌でもトーマを思い出して不機嫌になるユーリ。そしてトーマを茶番劇の前からどんなに愛していたか思い出すのだ。
 そんなある日、エーリクに手紙が届く。それはあれほど待ち焦がれたムテ(ママ)・マリエからでなく弁護士からで、マリエの死を告げていた。
 以前住んでいたケルンに無断で行ってしまったエーリクを迎えに行くユーリ。その帰り道、なにやらユーリとの間にいわくありげなサイフリートという人物に出会う。その日のうちに学園に帰れなくなった二人はユーリの家に泊まるが、ここも又家庭環境が複雑そうだ。
 校長に特別扱いを受けているオスカーにもなにやら秘密のカードがあるらしい。

 気持ちが近づいたり又遠ざかったり・・・。ユーリのキズが背中にもあることが分かるが、あれは羽をもがれた後 ? エーリクはついにユーリに好きだと告げる。

 ユーリは元から許されていたのか?

 最終第3巻では上級生バッカスがユーリとサイフリートのイースターの休日の謎に迫る。この後すぐにサイフリート達素行不良の何人かが追放になったので、この時にユーリとの間に何かあったのは間違いないらしい。
 バッカス好き。最初の登場のエーリクとの出会いの場面からいい味です。大人でみんなを (オスカーを) 心配している。オスカーもみんなの中では大人だけれど、ユーリが好きだしバッカスより深く入り込んでしまっていて身動きが出来ないので、バッカスのような人物は読者にとって頼もしい。しかし、バッカスをもってしてもオスカーからイースター休日後のユーリの首のキズやユーリのどこか変わってしまった心理状態を聞き出すことが出来たくらいだ。

ユーリ 「僕には翼が無い!」

エーリク 「翼 ? 天国へいたる翼…のこと ? 」 

エーリク 「僕の翼じゃだめ ? 」


 その瞬間ユーリは分かったのだ。トーマが自分の翼をユーリにくれたことを。同時に自分はどれくらいトーマを愛していたかを。

 ユーリは長い間不思議に思っていた。キリストが裏切り者と知っていてもユダを愛していたのだろうかと。そうだ、その後のことまで全て許してキリストはユダに 「行って自分のなすべきことをせよ」 と言ったのだ。
 そこに考えが至るとユーリには人が何であろうと神様はいつも愛して下さっているという事がしみじみと実感できた。自分もいままでどんなことがあっても神に愛されて幸福だったのだ。

 では、自分のなすべきことは…。許された者として神に仕える事…。ユーリはボンの神学校へ行って神父になることを選ぶ。トーマはついにユーリを捕まえたのだ。

 ユーリがこれほどまでに悩み、それに気が付いてトーマが自分の身で償おうとした事件とは。最後の最後にユーリの口からエーリクに知らされる。神を裏切り、愛していたトーマを裏切り、自分を裏切ったイースター休暇の夜のことを。

 ジャジャーン 前述のサイフリートが絡んでくる事件の事ですが、長くなったので、明日つるさんたちのコメントを含めて書きますね~。えっ、ここまで来てひどいって ? 次回をお楽しみにって言うのは連載マンガの常套手段でしょ。
 あと、オスカーのことあまり書けませんでしたが、連載中から人気NO1、今も多分そうじゃない ? 私ももちろん好きですよ。明日は少しオスカーのことも書けるかな

萩尾 望都 「あぶない丘の家」

2007年05月28日 14時18分06秒 | マンガ家名 は行
      今回始めて読みましたが知らなかった、これは力作ですね~。萩尾先生のはこれも、と言うべきか


 少し前に買っておいて、いろいろ本 (まんがです) がたまっていたので本棚に放置しておいたもの。旅行に行った先の夜に読もうと持っていったら読み応えありで寝る前に4/1も進みませんでした。

 初出は1992年 ASUKA 夏の号~1994年6月号まで。つまり 「残酷な神が支配する」 のすぐ後の作品です。あんな作品の後なので、ポップで可愛い感じかと思いきや、全体にSF、ホラーが2割、歴史が25パーセント、あとは・・・、後は・・・萩尾 望都 
 はぁ~、ボキャブラリーの不足に悩みますが、萩尾作品は萩尾作品で他の誰の作品でもないのよね~。
 

 ちょっとあらすじの端っこだけ

 神社に飲み込まれるように建つ 平羅坂(ひらざか) さんちの 真比古(マヒコ) は 安曇(アズミ) アズ兄ちゃんと二人暮らし。両親を亡くしたばかりだ。両親が死んでから何か家が変だ。アズ兄ちゃんもオカシイ?
 事故した車で父さんが帰ってきたような・・・・、あれっアズ兄ちゃんて姉ちゃんだったっけ ???? もう一人兄ちゃんていたっけか ???? 夢でおかしな格好の女の子に 「もうすぐわたしのもの」 なんて言われるし。
 とどめに死んだ両親が家の中にいるもう、何がなんだか・・・信じられるのはネコのエリザベスだけ
 
 その後も過去と未来、あの世もこの世も縦横に駆け巡って4話の話しが入っています。

 個人的には歴史好きなので第3話の 「あぶない壇ノ浦」 の話が面白かったです。源平合戦ですよ義経ですよ一ノ谷が、屋島が、壇ノ浦が~~ あ~れ~ SF はぁはぁ。
 このお話が又、NHK 2005年の大河ドラマ 「義経」 の原作なんじゃないかと思うほど歴史観が同じで、「義経」 の脚本家はこれ読んでるだろ~と言いたいくらいです。

 もっと続編が読みたい作品です。アズ兄ちゃんの来た世界も見てみたいし。バルバラもいいけど、こういったちょっとコミカルが入っているものも読みたいな~萩尾先生ーー。

萩尾 望都 「恐るべき子どもたち」

2007年04月12日 10時51分36秒 | マンガ家名 は行
 私の読んだのは ㈱小学館 の1997年5月10日初版、これは1997年8月 2版の文庫。

 たまには少し新しい作品の記事でもと、書棚から引き出してパラパラ読み終えたのが1時間前。 (出典 山田 ユギ氏 ピクニック ←BLボーイズラブなので興味ない方無視して可) 
 でもこれ、初出が1979年の『月刊セブンティーン』なのよね、新しいとも言えません。私の時空間って・・・。でもでも、私が始めて読んだのは1997年頃なのよ~。これでも10年前。

          ネタバレ有ります。
 
 この、まったく救いのない悲劇的な結末はどうなんでしょ。ジャン・コクトーの小説詩を元にしてはいるが、読み終わってしばし呆然・唖然。こっこれで終わり ? 
 しかし、この話は女流漫画家たちのお気に入りらしい。竹宮 惠子氏は ペーパームーン 少女漫画ファンタジー 「少女漫画妖精国の住人たち」 というムック本の中で登場人物の一人 「ダルジェロ」 のイラストを描いて彼のまぶしさを讃えています。
 だが彼は主人公ではないのです。他の脇役人物よりも登場場面の少ない、学校の問題児として1回、この話が終わる頃に1回づつちょっと出てくるに過ぎません。
 だが印象度は抜群でこのお話の主人公、姉と弟の二人兄弟のうち、弟は死ぬまで彼の影を引きずっています。子供の時から大人になってもずっと恋してたんじゃないだろうかと疑うほど。あっぜんぜんBLではないです、念の為。「ポーの一族」 ぐらいのそこはかとしたもの。
 
 ちなみに、萩尾氏は同誌の中のアンケートで好きな作家としてヘッセ、サリンジャー、トゥエイン、フレッド・ホイル、オスカー・ワイルド、モーム、ロマン・ロラン、クリスティーなどと一緒にジャン・コクトーをあげています。

 萩尾氏は、ダンジェロス (こちらの漫画ではこう表記) を限りなく魅力的な悪魔顔で表現しているが、弟のポールにとっては憧れの闇のイメージそのもの。最後は彼に取り憑かれるように死んでいます。
 ダンジェロスってなんなの  何度読んでも分からない。でも読むほどに余計気になる ああダンジェロスさま 

 おっとっと、私まで取り憑かれそう。姉は弟が死ぬと同時に自殺するのだが、さるBBSで聞いたところによると、主人公が自殺する話は少女漫画界では長い間ご法度だったらしい。そうよね、感受性豊かな年頃にそんな漫画を読んだら青少年の自殺が増えます。『月刊セブンティーン』 だからかろうじて発表出来たのか。「月セ」 には他に池田理代子氏の 「オルフェウスの窓」 とか 大島弓子氏の 「バナナブレッドのプディング」、しらいしあい氏の 「ばあじんおんど」 等、「週間セブンティーン」 では水野英子氏の 「ファイアー!」、西谷祥子氏の 「花びら日記」、津雲むつみ氏 「おれは男だ!」 を載せるなど、比較的問題作・話題作を読めるちょっと大人な雑誌群でした。「月セ」は今はファッション誌になっていて、まんがの部分は違う雑誌に引き継がれているらしいです。

 この作品は、好きな人とそうでもない人と評価が分かれるかも。萩尾 望都氏好きな女の子はみんな好きかなー読んだ事ある方、コメントお寄せください。

波津 彬子さんの短編集3冊

2007年01月19日 10時22分19秒 | マンガ家名 は行
        
 お姉さまの花郁 悠紀子さんに続いて、波津 彬子さんを読んでいます。

 最初に読んだのは「水に棲む鬼」 「秋霖の忌」 「鏡花夢幻」(泉 鏡花原作) いづれも白泉社 刊の短編集3冊。

 詳しくは波津先生のファンサイトに書影及び収録作品について載っています。 → 波津ぱらだいす


 みな読みきりなのですが、初出年が近くなるほど絵柄が私好みになるというか、この人の昔の絵柄があまり好きでなかったので、コミックス買った事なかったのですが、夜さん箱に入れて頂いたので、今回しっかり読んで見ました。
 この中では泉 鏡花原作つきの1冊をじっくり読んでしまいました。もちろん他の作品も良いお話でしたけど、これは3話みな戯曲なのでドラマチックなのですよ。

 最初の一遍、「天守物語」 は以前玉三郎がやりましたよね。姫路城の五重の天守が舞台なので、最初の場面にドーンと遠景が出てきます。この建物の絵が細かい。
 私はいつの頃か忘れるほど昔に銀閣寺をペン画で描いた事があるのですが、(もちろん素人の絵) えっらい時間がかかりました。たったの1枚でこうですよ。まんがを描くのは大変だけど、見るほうは ぱっと 見て、綺麗ねー、で次のコマでしょ。因果な商売ですよねー。
 もちろん印刷して日本中にあまねく (時には世界へも) ばら撒かれるわけですし、印刷物だから、手元において何度も見られるという利点もあるけど。

 作者は手抜きしたくないのでしょう。好きなんですよ、結局。納得するまで描き込んでいます。その気持ちは分かる、分かるけれど、自分にはできない・・・。だーからマンガ家にはなれなかったのね。 ああ納得。 (いや、そういうことじゃなくて、そもそも才能がーー) 
 今読んでいる 「雨柳堂~」 でも、着物の柄からもちろんメインの骨董品から、お気に入りらしいランプまで、細かく描き込む方ですね、ため息ものです。

 今回はストーリーどころじゃなくてすみません。ひたすら流麗な筆致にうっとりの3冊ではありました。


PS 1 そろそろ本職 (?) の60年代及びCOM話もやらなくちゃと思っています。
 「COMの中の あすなひろし」 とか、
 「COMの中の 松本 零士」 もしくは
 「COMの中の 女流まんが家たち」
なんていかがでしょ。良い短編がありますぜ、だんな。


PS 2 1月17日の、「花郁 悠紀子氏の9冊」 の記事に、つるさんの長文のコメントを頂きました。大泉サロンについて詳しくコメントして頂いています。もったいないので、遡って読んで見てくださりませ~

萩尾 望都 「イグアナの娘」

2007年01月10日 14時18分32秒 | マンガ家名 は行
      TVドラマにもなった、モー様(萩尾 望都)もうひとつの代表作。

 私が読んだのは小学館版 PCコミック 1994年7月20日初版のもの

 もうひとつって、後は何(?)それは人それぞれですけど、短編なのに問題作でしたよね?暮れ前に最寄のブック ○フをふらふらしてたら、このPCコミックが何と105円のバーゲン価格で売ってまして、持っていなかったので即購入。しばらく夜さんから借りた70年~80年代ご本に熱中してましたが、思い出して読んでみたところ、よけい気持ちが重くなり…。

 50ページほどしかないですが、発表当時から今に至るまで母と娘の間にあるトラウマ (この言葉嫌いなのだけど) を問い続けて色あせていない。一時流行った 今の私がこうなったのは、母との関係が幼少の頃のトラウマとなって、全ての原因はそこに・・・。 てな考え方は、「そうじゃないだろ?!自分の責任は!」 と思うけど、母と娘ってここまで極端でなくても何かしらあるよね

 えっない!幸せな方だ・・・。これを読むとそれを思い出して、そして気づいてしまうのよ。だから娘達はこのマンガが恐いんだわ。でも、よくぞ描いてくれたとも思うわけ。

 私も着物を着ると母親そっくりになって、写真に撮ったりするとうっとします(汗)小さい頃は父親似だったのに。そういえば、父親と息子の関係ってどーなっているんでしょ?

 
 収録作品 

イグアナの娘   初出  プチフラワー   1991年11月号

カタルシス     初出   プチフラワー  1992年5月号
 
午後の日射し   初出  ビッグゴールド  1994年14号

学校へ行くクスリ 初出  ビッグゴールド  1994年16号

友人K       初出  グレープフルーツ 1985年21号

 他の4編も短編ながら 「残酷な神が支配する」 や 「バルバラ異界」 に通じる精神世界をちゃんとまんがにしていて、読ませて、しかも面白いから凄いです。

 私が読んだのもこれ → イグアナの娘