むすんで ひらいて

ぽてぽてと歩く毎日。

のどかに、やさしく生きたいな。

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熱帯の年末

2014年12月31日 | 日記

11月から3月のバリ島は雨季なので、日中じっとりと蒸し暑くて、日が暮れるとほっとしてしまう。

なかでも陽ざしの柔らかな朝と夕方、ビーチサイドで開かれているヨガクラスは、潮風を受けてとても気持ちがいい。

 

ライさんが、空色のベスパ(「ローマの休日」でオードリー・ヘプバーンが二人乗りしていたスクーター)に乗って現れたのは、カンカン照りの午後12:00だった。

大通りの渋滞をすり抜け、住宅街のでこぼこ路地をワルン(地元の人向けの食堂)へと走る

 

以前、二度目にイタリアを巡った時、トレビの泉の前で

「僕のベスパでローマを案内しよう」

と、声をかけるイタリア人がいた。

一瞬想像し、あんまりできすぎなセッティングがちょっとおかしくも気恥ずかしくもなって、その場を離れた。

あれ以来やってきた機会だけど、実際乗ってみると二人には座席が少し短い。

30分くらいならいけそうだが、誘われた片道5時間のツーリングに同行するなら、ベスパかライさんをこよなく愛してる必要がありそうだ。

 

 

植木を眺める奥の席で、たっぷり野菜にチキンを添えた200円ほどの家庭的な昼食をとった。

ちょうどコーヒーを頼もうとしていると、キッチンからややしかつめらしいおじさんが顔を出し、ライさんが笑顔で立ち上がった。

彼は、このお店のオーナーだった。

しばし、おしゃべり好きなライさんが、こんなふうにして知り合ったんだよと、弾んだ紹介をしてくれて、その後急に二人は真剣な顔つきで話し始めた。

 

どうやらオーナーの彼は、こちらのブラックマジックという呪術にかかり、誰かが彼をしっとして具合を悪くさせているために、長いことお腹が痛んでいるという。

「それは、病院で検査してもらったほうが!」

という瞬間の思いを引っ込めて、耳を傾ける。

 

そもそもライさんは、バリカースト制度の司祭(ブラフマナ)に当たり、ブラックマジックというどろどろ魔術を解くホワイトマジックの使い手でもある。 

 

 バリのカースト制度は、バリヒンドゥーに基づき、インドより緩やかな4つの階層がある。

ブラフマナ/ Brahmana (司祭・祈祷師)

クシャトリア / Ksatria (王族)

ウェイシャ/ Wesia (騎士・軍人・村長)

スードラ / Sudra (一般の人・村人) → バリ島人口の90%以上 )

 

おじさんは、メガネを鼻にかけ顎を持ち上げ気味に、ライさんの話を一心に聞いている。
ライさんは、コーヒーカップやライターを場所や人に見立てて、彼の置かれている現状を説明していく。

話しが終わると、おじさんがいそいそとキッチンに戻り、中から丸ごとヤシの実をお皿に載せて出てきた。

デザート? 

ではなかった。

共通言語の足りない分、彼は目で合図を交わし、足早に一番端のテーブルに移動した。

 

ライさんが椅子に片足をのせ、張り切った様子で実の上部を包丁で切り落とし、あとに3本のお線香を挿す。

二人はそれを挟んで向き合い、煙が立ち上ってくると、ライさんが手を合わせお祈りを始めた。

おじさんは、真剣な眼差しで見守っている。

お祈りの最後に目を開けて、短髪の頭の後ろに一束、ポロシャツの白い襟の下に垂らしてあったお下げ髪を取り出すと、ライさんはそれを右手で三度なで下ろし、ヤシの実からお線香を抜いた。

おじさんはうなずき、中のジュースを一息に飲みほす。

ほっ。 それが、かかった負の呪術を解き、かけた相手にお戻しする一連の儀式だった。(戻ってくるから、かける方も命がけらしい。なんとも。)

 

 

二人でわたしの前の席に戻ってくると、おじさんが初めて笑った。

それぞれ飲みかけのコーヒーカップにはハエがとまっていて、お代わりを勧められたわたしは、普段飲む習慣のない冷えたセブンアップを飲んでみたくなった。

ゴクン。 それは、蒸し暑さと、立て続けに起こる見知らぬ出来事たちへの戸惑いをスカッと吹き飛ばしてくれるようだった。

 

帰りがけに、裏庭の神殿に立ち寄って、そこでもライさんがお祈りをした。

 

ライさん。

色違いに揃えた6台のベスパを、カフェのテーブルで

「そのメモ用紙、ちょっと貸して」

と、ボールペンで精密に描いてくれる。

 

頭の後ろのお下げは、なにか神聖なアンテナかもしれない。

 

いつもは、バリ島のカフェやレストランの設計をして、ベスパで依頼主を訪ねている。

電話の声が、マシュマロのようにやわらかく、甘い。

信じている、愛しているものがある。

 

 

今日が大晦日なんてまるで思えない、お蕎麦も紅白も初詣もない永遠の夏日にもニューイヤーはやって来るようすで、いつもより街のあちこちがにぎわって、打ち上げ花火が上がりだした。

それは、日本より一時間後にやってくる。

みなさんにとって、新年が心の平和と豊かさに富む時間となりますように。

2014年、お会いできてうれしかったです。

 

お読みいただいて、ありがとうございました。

 

 


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やっぱり、ホワイト クリスマス

2014年12月24日 | 日記

 Merry Christmas!

 

バリ島の街のレストランでは、よくハエもごちそうに集まって来るけれど、ちょっと気の利いたホテルではそういうことがない。

どうしてかなと思っていた。

ある夕暮れ時、海辺のホテルの庭を歩いていたら、聞き慣れないごう音が近づいてきた。

そちらを見ると、真っ白な煙が五階の屋根をすっぽり包み込んでいる。

とっさにヒヤリ!として、踵を返した。

そばにいた人たちも、「おっと!」という反応で避けているけれど、どうやら非常事態ではないらしいので、殺虫大作戦かなと見当をつけた。

あんな光景を見たのは、初めて。

 

 

 

昨日は、友人と、ニューヨークから前夜着いたばかりの友人の姪っ子さん、彼女のボーイフレンドと4人で海辺のランチをした。

ボーイフレンドと言ってもマイクは職場の同僚で、純粋にフレンドらしく、彼にはインディアンの血を引く、れっきとした彼女がいるそうだ。

ふたりでほほ笑んでいる、雰囲気のいい写真も見せてくれた。

「えぇ! それで(27歳のかわいい友人の姪っ子さんと旅していて)、彼女はしっとはしないの? だいじょうぶなの?」

「だいじょうぶ、だいじょうぶ。 彼女も今、コスタリカに旅行中だから」

と、目の前のふたりも笑っている。

へぇ

そういうこともあるかもしれない。

 

 

その夜、友人のヴィラでお茶を沸かしていたら、急にその地区一帯が停電した。

よくあることらしいが、モーターで汲んでいる水も出なくなる。

友人のジーンさんは、庭でも部屋でも敷地内は裸足なので、わたしもそれに倣っていた。

「真っ暗だし、なんか踏まないといいな。。」

と思っていた矢先に、チクチク、ジーン!と、両足に痛みが走った。

懐中電灯で照らすと、黒いツブツブ。 アリだ!

次第に、あちこちから痺れるような痛みが広がって、すぐにジリジリ痒みがやってきた。

こんな痛痒さは初めてなので、熱帯の虫はキケンじゃないかしらんと、焦りながら思い出した。

そうだ! ジーンさんはお医者さんだった。 頼もしいゾ。

 

電力会社に電話をかけようとしていた彼が手をとめて、

「それなら石鹸で洗って熱いお湯に浸すんだ! そうすると痒みが和らぐ!」

と、意外とナチュラルな処方をしてくれた

 

たしかに。 

水洗いしてお湯に浸けたら、熱さで痒みが和らいだような紛れたような、とにかく落ち着いてきたので、仕上げに石鹸で洗い、流そうとしたその時に・・・水が止まった。 

え・・・。 

懐中電灯の光が、蛇口につたう滴を照らしている。

「OK! このお湯を使えばいいよ」

ジーンさんが、さっき足を浸けていたお湯と、お茶のために沸かしていた台所のお湯を持ってきてくれて、それがちょうど間に合った。

 

さて帰宅しようと門を出ると、街灯も消えた住宅街の上に星がくっきり浮かび、路地の先に停電を免れた地区の大通りが光っていた

 

 

 

と、今ホテルのテラスで書いているのだけど、ブォーンと低い不吉な音が聞こえてくる。

もしかしてあの、白い煙ではないかしら・・・と、塀の向こうの茂みを見ていたら、やっぱり!

ドライアイスのようなモクモクが、予告もなくプールサイドめがけてなだれ込んできた。

あっという間に、1メートル先が見えなくなった。

撤退しよう

 

・・・

 

ロビーにやってきた。

「あ~あ? あれね。 蚊をやっつけてるだけだから、問題ないよ。 蚊はデンジャラスだからね。」

プールを飛び出してきた水着の女性に、くっきりメイクをしたフロントの女性が答えている。

蚊もデンジャラスそうだが、モクモクもデンジャラスそうである。

 

あ、洗濯物、外に干してたんだっけ。 

今頃、煙のまっただ中だ! もう間に合わない。。

 

だけど、別の意味で、ホワイト クリスマスだなぁ

 

 

 

これから、友人の通う教会のミサに。

 

どうぞ、素敵なクリスマスを

From Bali 

 

 
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グリーン クリスマス

2014年12月21日 | 日記

9月に長野県白馬村を歩いた時の写真が出てきた。

まだ光は夏のようだったけれど、15時過ぎたら冷たい風が強さを増し、帽子を押さえながら日向に向けて足早になった。

 

葉が落ち、緑が少なくなってきたせいか、これを眺めていたらふと、この間お鍋に入れた水菜が頭に浮かんだ。

キャベツやレタスより野生的で、ルッコラやパセリ、パクチーや紫蘇など風味の強い草より親近感がある、冬の緑。

   

あんまり寒いので、暑かった時のことなど思い出せないでいたけれど、昨日バリに着いたら、もう寒さを思い出せないでいる。

日向に停めていた黒いバイクのシートは、ホットプレートのようになっていたので、タオルを敷いて乗った。

小さな子の持っているサンタクロースの人形は、タンクトップとショートパンツに赤い帽子だけかぶっている。 

ビーチサイドのレストランに飾られたツリーは、周囲の濃い緑に溶け込んでいる

 

 

お蕎麦の白い花が、こまかく揺れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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どうぞのお粥は、照れくさい

2014年12月05日 | 日記

永平寺で修行されたお坊さんに

「冬になると、修行僧に振る舞われる玄米がゆには、お餅が入るんですよ」

と聞いて、

おいしそう。わたしも作ろ~」

思ったからかどうなのか、その3日後に久しぶりのカゼを引き、さっそく試作のチャンスが到来しました

冷凍玄米にお餅を混ぜて、グツグツとろけていくお鍋を覗いていたら、ずい分前のこと、一人暮らしでカゼを引いた晩、買い物袋を下げ、お粥を作りに来てくれた友達を、ほわほわ思い出しました。

あの夜、灯りを消した部屋のお布団から、台所のたのもしい彼女をぼんやり見上げ、

「お粥って、いつものご飯がやわらかくなっただけじゃないんだ」

と、思いました。

 

「最近ご無沙汰だけど、どうしてるかな・・・」 

力のつきそうな、もっちりお粥に満足して部屋に戻ると、だいだい色の夕陽が差し込んでいました。

のくらい眠ったのか、次に目覚めた時は真っ暗で、一瞬、何時かわからないでいるうちに、携帯が鳴り出しました。

はいはい。 

手に取ると、そこに光っていたのは、懐かしい名前!

 

「もしもーし!」

「久しぶりー、今だいじょうぶー? 〇ちゃん最近どうしてるー?」

「わぁー、久しぶりー、わたし今カゼ引いてるよぉ」

「あれぇ、この間もカゼひいてたねー」

「えー、そうだっけ? 一年ぶりくらいだよ」

「そうだわ、じゃあ一年ぶりくらいなんだよー」

彼女のカラッとエネルギッシュな声を聞いてると、あっという間にかつて過ごしたあの日この日につながって、なんだかくすぐったくなります

 

切り際の、

「忘れないでねー」

が耳に熱っぽく残っていて、ちょっと目の慣れてきた暗がりで、師走だな。。と思いました。

知らないとこで、生きてる何かに気づいたりする、年の暮れ

 

温かい日々を

 

 

 

 
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